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無自覚破壊神と恋の物語  作者: 南蛇井


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序章scene6 

朝六時。

目覚まし時計が、無慈悲な電子音を響かせていた。

「……うぅ……」

水無月実花は、布団の中でうめき声を上げる。

腕を伸ばして止めようとするが、距離感を完全に誤った。

――ゴン。

「……っ」

次の瞬間、ベッドから転げ落ちた。

床は冷たい。

視界はぼんやり。

(起きなきゃ……)

そう思いながら、意識は再び闇へ――

「……っ!?」

ぞくり、と背筋に悪寒が走った。

眠気が、一瞬で吹き飛ぶ。

(なに……?)

胸の奥が、ざわつく。

理由のない不安。

「……なんか、嫌なものが……目覚めた気がする……」

呟いた、その直後だった。

「へいへい!!

 どうやら転生して、破壊神が誕生したっぽいぜ!!」

「――っ!?」

声の出どころは、部屋の隅。

水無月の視線が向いた先には、

ベッド脇に置かれた――牛のぬいぐるみ。

丸くて。

かわいくなくて。

どちらかと言えば、憎たらしい目つき。

それが、口を動かしていた。

「……え……やっぱり……」

水無月は、頭を抱えた。

「やっぱりだぜ!!」

牛は、やたら元気だ。

「えー……どこのどいつよ……

 破壊神なんかに転生したバカは!!」

苛立ちを隠さず吐き捨てる。

「ちょっと待て!

 今、確認してる……」

牛の目が、怪しく光る。

「……おっ、出たぞ![

 実花、お前の学校の生徒だ。

 しかも、同じクラスの奴っぽいぜ!!」

「うっそ!?」

水無月はベッドに手をついた。

「誰よ! 最悪……

 そいつ、すぐ殺すわ」

「おいおい物騒だな」

そう言いながら、牛は――

「破壊神に転生しやがったのは、こいつだぜ!!」

――おえっ、と嫌な音を立てて、

口から一枚の写真を吐き出した。

「……相変わらず、汚いわね」

水無月は顔をしかめながら、写真を拾い上げる。

そこに写っていたのは、

見慣れた男子生徒。

短い黒髪。

少し頼りなさそうな顔。

「……中谷君……」

「知ってるやつか?」

牛が、にやりと笑う。

「うん……まあ、同じクラスだし……」

声が、少しだけ曇る。

「まあ、関係ねぇよな!!」

牛は楽しそうに言い放った。

「勇者に転生したお前ならよ、

 悪に転生した奴は倒すのみだぜ!!」

部屋に、短い沈黙が落ちる。

水無月は、写真を握りしめた。

(……中谷…君…)

一瞬だけ、迷いがよぎる。

だが、すぐにそれを振り払った。

「……わかっているわよ」

小さく、しかしはっきりと。

「それが……私の役目なんだから」

早朝の部屋で、

水無月は勇者としての覚悟を静かに固めた。

その相手が、

クラスメイトの男子であっても――。

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