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無自覚破壊神と恋の物語  作者: 南蛇井


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序章scene5

教室の空気が、完全に変わった。

水無月実花は一切の躊躇なく、剣を振り下ろした。

「ちょっ――!?」

省吾は反射的に身を引く。

風を切る音が耳元をかすめ、剣先が机を叩いた。

ガンッ!

机が悲鳴を上げる。

「ま、待って! なんで!?」

答えはない。

水無月は間髪入れず、再び踏み込んだ。

二撃目。今度は本気だ。

(無理!!)

足がもつれる。

避けきれない。

「――っ!!」

省吾は咄嗟に腕を上げた。

考えなしの、防御ですらない防御。

(死んだ!!)

確信した、その瞬間――

パァン!!

乾いた音とともに、

剣が――砕け散った。

刃は粉々に崩れ、光の粒となって宙に消える。

「……え?」

腕は、無傷だった。

痛みも、血も、ない。

ただ、そこに自分の手があるだけ。

省吾は呆然と、自分の手を見つめた。

「……なに、これ……?」

一方、水無月は。

「……っ!」

悔しそうに歯を噛みしめていた。

「くそっ……もう、力が混ざり始めているのか……」

その呟きは、明らかに独り言だった。

(ちから? まざる?)

理解が、まったく追いつかない。

剣が砕けた理由も。

殺されかけた理由も。

そもそも「破壊神」が誰なのかも。

頭は真っ白だ。

――なのに。

省吾の口は、勝手に動いた。

「……す、好きです!!

 水無月さん!!」

静まり返る教室に、

今度ははっきりと、その言葉が響いた。

水無月の動きが、止まる。

「……っ!?」

顔が、みるみる赤くなる。

「な、なにを言って――!」

剣の柄だけを握りしめ、視線を逸らす。

「は、破壊神のくせに……!!」

声が、わずかに裏返っていた。

「力が目覚めている以上……

 勇者十傑の力は、必要不可欠……」

何かを振り払うように、彼女は踵を返す。

「……ここは一旦、引くわ!」

そう言い残すと、水無月実花は教室を飛び出していった。

残されたのは――

粉々になった剣の名残と、

ぽつんと立ち尽くす、中谷省吾だけ。

「……え?」

数秒。

十秒。

教室は、何事もなかったかのように静かだ。

「……?」

訳がわからない。

本当に、何一つ。

破壊神。

勇者十傑。

力が目覚めている。

全部、意味不明だ。

だが。

省吾は、ふと胸に手を当てた。

心臓が、まだ激しく鳴っている。

恐怖ではない。

――達成感だ。

「……告白、できた」

ちゃんと。

はっきりと。

二回も。

理由も状況も最悪だったが、

目的は、果たした。

その喜びと興奮が、

殺されかけた恐怖も、

意味不明な世界の違和感も、

全部まとめて、押し流していく。

「……まあ、いっか」

中谷省吾は、そう結論づけた。

彼はまだ知らない。

この告白が、

世界規模の勘違いの引き金だったことを。

そして――

自分が、

本当に「破壊神」なのかどうかを。

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