表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無自覚破壊神と恋の物語  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/23

第4話 Scene2

三人は、相変わらず妙な並びで歩いていた。

中谷省吾と水無月実花、その間に無理やり挟まる冨永翔。

その背後――少し距離を置いた場所から、青峰咲良がその光景を見下ろしていた。

(……なに、あれ)

眉をひそめる。

(気持ち悪いわね……)

破壊神と勇者。

本来なら刃を交えるはずの二人が、

しかも第三者を挟んで仲良く下校している。

(あの二人……破壊神を倒したかったんじゃなかったの?)

一瞬の苛立ちのあと、青峰はふっと口元を歪めた。

「……まあ、いいわ」

次の瞬間、堂々と声を張り上げる。

「あなたたち!

中谷省吾を――破壊神を、こちらによこしなさい!」

三人が振り返る。

青峰は優雅に、しかし有無を言わせぬ口調で続けた。

「さあ中谷君。一緒に行くわよ。

私と一緒に世界を手に入れましょう」

間髪入れず、水無月と冨永が声をそろえる。

「「させない!!」」

冨永は言った直後に内心で青ざめていた。

(……させない、とは言ったものの……)

自分の戦闘力は、限りなくゼロ。

剣も魔法もない、あるのは言葉だけ。

(いっそ……破壊神を青峰さんに預けた方が、精神的には楽なのでは……?)

そんな弱音を振り払うように、水無月が一歩前に出る。

剣を構え、冨永を振り返る。

「冨永君、行くわよ!」

「う……うん」

冨永は、水無月の背後に半歩下がりつつも、覚悟を決めた。

そのとき、省吾が声を荒らげる。

「なんでだよ!なんでみんな、俺の平和な水無月さんとの下校を邪魔するんだよ!」

感情の高ぶりに呼応するように、

地面が――ミシミシ、と悲鳴を上げる。

周囲のアスファルトにひびが走る。

青峰は、その光景を見て、恍惚とした表情を浮かべた。

「……すばらしいわ」

陶酔した声。

「さすが破壊神……素敵ですわ」

次の瞬間、青峰は巨大な斧を構え、一直線に水無月へと躍りかかる。

「邪魔なあなたたちには――消えてもらうわ!!」

水無月は歯を食いしばり、剣を正面に構える。

冨永は反射的に、その背後に隠れた。

――だが。

「危ない!!」

省吾が叫び、水無月の前に立ちはだかる。

振り下ろされた青峰の斧は――

省吾に触れる直前で、粉々に砕け散った。

金属音すら残さず、霧のように消える刃。

一瞬、世界が止まった。

静まり返る空気の中、

青峰だけが、ゆっくりと息を吐く。

「……すてき」

うっとりとした表情で。

「破壊神の力……本当に、素敵ですわ」

青峰はそっと省吾を抱きしめる。

省吾「!!!!」

言葉にならない驚き。

その光景を見た水無月の中で、何かが切れた。

「なによ!!中谷君!!」

怒りをむき出しに叫ぶ。

「他の女と!!!!!」

――バチン。

乾いた音が響き、省吾の頬がはじける。

水無月はそれだけ言い残し、踵を返して走り去った。

呆然と立ち尽くす省吾。

冨永は、胸をなで下ろしていた。

(……ある意味、最悪は回避した……)

省吾は我に返り、青峰を振りほどく。

「水無月さん!!」

走り出す省吾の足元で、

町中のあちこちにひびが走る。

その破壊の連鎖を見つめながら、

青峰は再び、恍惚と微笑んだ。

「……ああ」

「やっぱり、破壊神は最高ですわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ