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第38話 ユニコーン部隊の進撃

 ユニコーン型ロボットがカナクに上陸してから1週間後、準備を整えたサラル討伐隊がいよいよカナク南の山岳地帯に向けて出発する事となった。カーソン隊長率いる第一陣部隊は30台のユニコーン型ロボットと100名の隊員とから編成されており、カナクに残留する部隊は20台のユニコーン型ロボットと隊員達が予備隊として、第一陣に異変があればすぐに駆け付ける態勢を整えていた。


 まず、サラル討伐隊のジープの隊列は南の森地区に到着した。南の森はその昔、自由民達が多く住んでいた地区で、アルビン隊長たちの祖先のサムとポリーが出会った時代からは百年以上の時が過ぎ、今は古びた住宅用ドームの残骸が点在する地区となっている。カーソン隊長から指令が出され、いよいよ30台のユニコーン型ロボがジープから降ろされ、山の麓に広がる湖周辺に散開し周囲の探索を開始した。ユニコーン型ロボットはそれぞれジープに乗り込んだ数名の隊員が操縦・支援のための態勢をとっている。

 軽快に走り出した1台のユニコーン型ロボが樹上に隠れる数匹のサラルを発見しすぐさま消音機銃を連射して仕留めた。その他のユニコーンも周囲の樹林や岩陰へ疾走し、サラルを見つけ次第発砲を始める。驚いて逃げ出すサラルも赤外線センサーによる正確な射撃で仕留めていく。その日、南の森地区でユニコーンが仕留めたサラルは59匹を数えた。


 翌日、討伐隊は南の森地区からさらに南の山岳地帯へと進撃して行った。ユニコーン型ロボは四輪駆動のキャタピラーを作動させ、急な坂や段差のある岩場を軽快に乗り越えてサラルの探索を続けた。サラルは主に山岳地帯の岩場の陰や洞窟に群れとなって棲みついていたが、ユニコーン型ロボはすばやくサラルの棲みかに侵入しサラルを追い詰め銃撃により簡単に仕留めていく。悪鬼のようなユニコーン型ロボに驚いて棲みかから逃げ出すサラルも待受けた隊員達の銃撃で撃ち取られていく。


 この様にしてサラル討伐隊は山あり谷ありの山岳地帯を南へ進撃して行った。ユニコーンは高低差の激しい荒れ地を難なく乗り越え、サラルの群れを仕留める作戦を続けていた。討伐隊は左・中央・右の3隊に分かれ、それぞれ10台のユニコーンと支援する10台の新型ジープを装備していた。時折、サラルは群れとなりユニコーンに接近し投石攻撃を仕掛けたが、金網で覆われたユニコーン型ロボは余裕でサラルの投石を跳ね返し飛び交うサラルを撃退していた。

 こうして前進を続けるユニコーン部隊はサラルに対して容赦ない攻撃を続けていたが、子供のサラルに対しては殺さず、羽根を切り取る事で逃がす事も多かった。その逃がしたサラルの子供は大きくなっても飛べないのでいつでも退治出来るという判断だった。サラル討伐隊が進撃を続けていくと、次第にその羽根の無い子供のサラルが取り残され、仲間のサラルの群れが救出に来るという現象が見られるようになった。2週間が過ぎユニコーン部隊が仕留めたサラルは数百を超えた。


 3週間が過ぎたある夜、討伐隊はいつもの様にユニコーン型ロボを円陣を組んで配置し、隊員たちはその中のテントで宿営していた。そこに突然、数百匹はいると思われるサラルが襲来した。サラルは発砲にもひるまず、円陣を作るユニコーンに黒い塊となって襲いかかった。サラルは金属棒を振り回しユニコーンの金網を破壊し、円陣の中の隊員達にも襲いかかった。陣地内に入り込んだサラルに対する発砲は同士討ちを避ける為に困難となり、暴れ回るサラルにより隊員達に多大の犠牲が出た。数十分後サラルは数十匹の死骸を残し飛び去って行ったが、隊員26名の死傷者が出た。混乱の中、カーソン隊長もサラルの襲撃に遭い重傷を負った。

 サラル討伐隊から無線で戦闘被害の報告を受けたカナクのアルビン隊長は、直ちに自ら増援部隊を率いて南の山岳地帯に急行する事を決定した。ユニコーン型ロボ20台の増援部隊にはカナクの警備隊も同行する事になり、ジャックの小隊も応援部隊としてジープに乗り込んだ。


 2日後サラルの襲撃に備え厳戒態勢の討伐隊宿営地に、アルビン隊長率いる増援部隊が到着した。サラルの襲撃で死傷した隊員26名は後方に移送される事になった。

 アルビン隊長は、包帯姿のカーソン隊長がカナクに送られるのを見送る事になった。

「油断してサラルにしてやられた。面目ない。しかしここで討伐隊を引き揚げる訳にはいかない。討伐隊の指揮を頼む!」

「討伐隊は素晴らしい成果を上げた。ユニコーン型ロボがサラル討伐に有効であることは確かだ。我々は全面的に協力する」

「討伐隊の任務は一匹でも多くのサラルを仕留めこの島からサラルを追い払う事だ。ここでユニコーン部隊が退却する事があればサラルに弱みを見せる事になり、更にサラルの攻撃を誘発する事になる。サラルどもを徹底的にやっつけてくれ!お願いする」

「その事は充分に理解している。サラル討伐隊の指揮は任せてくれ」


 討伐隊はサラルの襲撃に対する防衛策を検討する事になり、夜間の宿営の際は山や崖から離れた平地に三箇所に分かれて宿営し、陣地から近い距離に幾つかの離れ陣地を造る事になった。そうすればひとつの陣地がサラルに襲撃されても近くの陣地から援護射撃をすることが可能となる。これは十年程前、アルビンの祖父母のリッチとルーシーが防御陣地の後方に離れ陣地を造り援護射撃で隊員達を救ったという事に由来している。それ以降、カナクでは、防御陣地を一か所に集中せず前方や後方にも離れ陣地を造ることが常識となっていた。

 この複数の陣地を造る設営方式はその夜から実行された。その当日も夜間にサラルの襲撃があったが、一か所の陣地に侵入しようとしたサラルの群れは、他の陣地からの集中砲火を浴び多くの犠牲を出して早々に退散していった。

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