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異世界闇金 ~元ヤクザ幹部、剣と魔法の世界で闇金始めました。~  作者: と゚わん


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終焉のゲート、そしてヤクザのケジメ

「寝言は、地獄で言いやがれ!」


俺と氷川の、最後の戦いの火蓋が切られた。

奴の振るう蛇鱗の剣は、もはや人間の技とは思えねえほど速く、そして重い。一太刀浴びれば、骨ごと断ち斬られちまいそうだ。

俺は、ベイルとドワーフたちが鍛え上げたオリハルコン入りの戦斧で、必死に応戦する。だが、奴の力は圧倒的だった。


「どうした、虎之介! それが貴様のケジメか! こんな力もねえお前が、俺に説教するつもりだったのか!」

氷川は、俺を嬲るように、的確に傷を増やしていく。

奴の赤い目が、嘲笑うかのように俺を捉えている。

「黄昏の蛇」の力と融合した氷川は、もはや俺の知っている、あの気弱な弟分じゃねえ。ただの、力に溺れた化け物だ。


ゲートからは、次から次へと異形の魔物どもが這い出してきて、俺たちの仲間たちに襲いかかる。

「ミリア! ゴードン! ベイル! バルガン! 死ぬんじゃねえぞ!」

俺は叫びながら、氷川の猛攻を凌ぐ。


「無駄だ、虎之介! このゲートが完全に開けば、この世界も、そして元の世界も、全てが『蛇神様』の御力のもとに一つとなる! 新しい時代の幕開けだ!」

氷川の狂信的な叫びが、洞窟に木霊する。


クソッ、このままじゃ、ジリ貧だ。

何か、何か奴の意表を突く手は……。

その時、俺の脳裏に、玄武の最後の言葉が蘇った。

『……氷川の小僧……奴は……蛇に……魂を……喰われて……』


魂を喰われている?

もしそうだとしたら、奴の強さの源泉である「黄昏の蛇」の力そのものが、奴の弱点になるんじゃねえか?


「ミリア! 聞こえるか! 氷川の力の源は、奴自身じゃねえ! 奴に取り憑いている『蛇』だ! その蛇の力を、どうにかして引き剥がせねえか!」

俺は、後方で魔物と戦っているミリアに向かって叫んだ。

「……やってみます! 虎之介さん、時間を稼いでください!」

ミリアの声には、悲壮な覚悟が滲んでいた。


俺は、懐のオフクロのお守りを強く握りしめた。

お守りが、再び熱を帯び始める。

「氷川! てめえの新しいオモチャの遊び方は、もう覚えたぜ!」

俺は、戦斧を構え直し、再び氷川に突進した。


だが、今度の俺は、ただ力任せに斬りかかるだけじゃねえ。

奴の攻撃パターン、呼吸、そして、奴の体から溢れ出す禍々しいオーラの流れ。その全てを、ヤクザの喧嘩で培った勘で読み切る。

氷川の剣を紙一重でかわし、奴の体勢が崩れた瞬間を狙って、的確にカウンターを叩き込む。

傷は浅いが、確実に、奴の集中力を削いでいく。


「小賢しい真似を……!」

氷川が、焦りからか、大振りの一撃を放ってきた。

俺は、それを待っていた。

わざと攻撃を受け、左肩に深い傷を負う。だが、その代償に、奴の懐に潜り込むことに成功した。


「――喰らえやぁっ!」

俺は、戦斧の柄頭を、氷川の鳩尾に全力で叩き込んだ。

「ぐふっ……!」

さすがの氷川も、内臓に響く一撃に、一瞬だけ動きが止まる。


その瞬間だった。

「――今です! 聖なる光よ、彼の者の魂を縛る呪いを打ち砕け!」

ミリアの澄んだ声が響き渡り、俺のオフクロのお守りから、今までとは比較にならねえほど強烈な、黄金色の光がほとばしった。

その光は、まるで意思を持っているかのように、氷川の体に吸い込まれていく。


「ぐ……うあああああああああっ!」

氷川が、この世のものとは思えねえ絶叫を上げた。

奴の体から、黒い蛇のような影が、もがき苦しみながら引き剥がされていくのが見えた。

あれが、「黄昏の蛇」の呪縛か!


蛇の影が完全に消え去った瞬間、氷川の体から、あの禍々しいオーラが嘘のように消え失せた。

奴の赤い目も、元の黒い瞳に戻っている。だが、その瞳には、深い絶望と、ほんのわずかな、正気の色が浮かんでいた。

「……とら……のすけ……?」

力なく、俺の名を呼ぶ、かつての弟分の声。


だが、俺に感傷に浸っている暇はなかった。

ゲートが、最後の輝きを放ち、完全に開こうとしている。

その向こうには、言葉では言い表せねえような、巨大で、邪悪な「何か」の影が蠢いていた。


「氷川! てめえとのケジメは、後でゆっくりつけてやる! 今は、あのクソみてえなゲートを閉じるぞ!」

俺は、呆然と立ち尽くす氷川の腕を掴み、無理やり立たせた。

「……だが、どうやって……」

「ヤクザの喧嘩はな、最後は気合と根性だ! ミリア! ベイル! ゴードン! バルガン! ありったけの力を、あのゲートにぶち込め!」


俺の号令に、仲間たちが最後の力を振り絞る。

ミリアの聖なる光、ベイルとドワーフたちが作った強力な爆薬、ゴードンとバルガンの渾身の一撃。

そして、俺と、わずかに正気を取り戻した氷川の、二人のヤクザの、最後の意地。

それら全てが、ゲートの中心へと叩き込まれた。


凄まじい閃光と轟音。

空間が歪み、世界が軋むような感覚。

俺は、そこで意識を失った。


……どれくらいの時間が経ったのか。

俺が再び目を覚ました時、そこには、静けさが戻っていた。

ゲートは、跡形もなく消え失せ、禍々しい気配も感じられねえ。

洞窟の天井には、ぽっかりと穴が空き、そこから、朝の光が差し込んでいる。


俺の隣には、ミリアとゴードン、ベイル、そしてバルガンが、ボロボロになりながらも、確かに生きていた。

そして、少し離れた場所には、氷川が、静かに横たわっていた。

その顔は、苦しみから解放されたような、穏やかな表情をしていた。


「……終わったのか……?」

俺が呟くと、ミリアが、涙を浮かべながら頷いた。

「はい……虎之介さん。私たち……勝ったんです……!」


俺たちは、勝った。

神嶺組の野望を打ち砕き、「黄昏の蛇」の侵攻を阻止し、そして、この異世界に、一応の平和を取り戻した。

代償はデカかったが、それでも、俺たちは生き残った。


俺は、氷川の亡骸に近づき、静かに手を合わせた。

こいつが犯した罪は許されるもんじゃねえ。だが、最後に、ほんの一瞬でも、元の氷川に戻れたのなら……それで、少しは救われたのかもしれねえな。


「……さて、と」

俺は、仲間たちの顔を見回した。

「戦争は終わった。だが、俺たちの『シノギ』は、まだ終わっちゃいねえぜ」

俺の言葉に、仲間たちは、疲労困憊のはずなのに、ニヤリと笑みを浮かべた。


柳瀬組の、異世界での本当の「ケジメ」は、これから始まる。

この世界で、俺たちが築き上げる、新しい伝説の始まりだ。

ヤクザのやり方で、この腐った世界を、少しでもマシなもんに変えてやる。

それが、俺、柳瀬虎之介の、新しい生き様ってもんだ。

とりあえず完結です

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