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政治経済エッセイ

選択的夫婦別姓制度は「運用面」が最大の脅威であると思える理由について

作者: 中将

◇夫婦同姓で不具合が生じる場面



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は選択的夫婦別姓制度について個人的な意見を述べていこうと思います。



質問者:

 小泉進次郎さんが公約に掲げて再び話題になりましたよね。


 そもそもどんなことが論点になっているんですか?


 

筆者:

 まず夫婦同姓になっていることで女性が困っている(95%が女性側が男性の姓に変更している)論点からまとめてみようと思います。


 経団連が24年5月に実施したアンケートにより夫婦同姓で不具合を感じた場面として、


・海外のホテルが旧姓で予約されており、パスポートの姓名と異なり現地でトラブル


・希望の金融機関で旧姓で口座やクレジットカードを作れず


・旧姓での契約書サイン・不動産登記を行う事が認められず


・国際機関で働く際に公的氏名での登録が求められ、姓の変更でキャリアが分断


 などが挙げられています。

 住民票や運転免許証、パスポートなどに関しては旧姓併記が行えるようですが、イマイチ広がっていないことも上記の問題点として上がっています。



質問者:

 でも、例え制度上の不利益が無くなったとしても、生まれた時の名字と名前の組み合わせが変わるって言うのが嫌なのも何となく分かりますね。



筆者:

 世論調査においては媒体にもよりますが大体6~7割ぐらいが夫婦別姓に賛成。

 

 全体の2割ぐらいは夫婦同姓に憧れないというデータもあります。


 女性の社会進出の社会、家族に縛られない個人の方が重要視されるような時代の変化に対して、法律としては対応する必要性はあると僕は考えています。


現状は、夫婦同姓を国側から押し付けられてしまう形になっていますからね。



質問者:

 へぇ、筆者さんは国防について熱く語られたり、積極的な移民受け入れ反対だったりするので、


 どちらかと言うと「保守」や「ナショナリスト」だと思っていたんですけど意外と賛成寄りのお考えなんですね。



筆者:

 そもそも僕の考え方は何かにカテゴライズされるものでは無いと思っています。


 個々の事案を是々非々で見ていきます

 そして、社会的要求や起きている事象、起こりそうな問題などを総合的に勘案してプラスになると思えば賛成しているという次第です。


 ちなみに、自民党に反対議員が多いのは、

 日本会議や神道政治連盟といった伝統的宗教組織が夫婦別姓に反対しており、

 さらにそれらの団体が自民党を後押ししているためです。


※これらの団体は『夫婦別姓に反対する国民大会』などを開催し自民党議員を呼んでいます。



質問者:

 なるほど、どちらかというと支援団体の影響で政策が歪んでいる形なんですね……。



筆者:

 僕は夫婦別姓を強制的に押し付けないのであれば、個人の信条の自由に近いものであり問題ないと思います。


 実際に平成27年の最高裁判決では、


 〇 例えば、夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制度について、そのような制度に合理性がないと断ずるものではない、

 〇 この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである


 などの旨の判示がされているために、国会で論じるべきであるものの違憲では無いとしています。



◇反対派の主張している内容



質問者:

 そうなると反対派は何に懸念を持っているのでしょうか?



筆者:

 個人の思想信条と選択の自由に関しては誰もが自由であっていいと思います。


 しかし、それが他者に悪影響を及ぼしてはいけません。

 責任を伴わない「自由」を主張しすぎるばかりに他者に損害を与えていては社会が崩壊してしまいます。


 本件に関しては特に子供に対する影響については運用において考慮しなくてはいけません。

 反対派の方々も他人の選択なのにもかかわらず介入しようとしているのは、

「家族の解体」について一番憂慮していると言えます。


 先ほど紹介した平成27年最高裁判決では、氏(姓)についても言及しており、


〇 家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できる

 

〇 夫婦同氏制度の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいといえる


 という旨の判示もされており、同一の氏(姓)が子供の利益にも適っているという判断もしています。



質問者:

 そうなるとどのような別姓の運用が望まれるのでしょうか?



筆者:

 男性日本太郎さん 女性山田花子さん 子供の山田大和君 の家庭があるとしましょう。

 

 この際に「山田大和君のお母さん花子さん」「山田大和君のお父さん太郎さん」みたいな表記にすることが大事になると思います。


 特に夫婦同姓の家庭であっても同じ表記にすることで別姓である家庭を分かりにくくすることが大事です。


 子どもと言うのは些細な違いに気づきそれをイジメに発展させてしまう可能性がありますからね。


 別姓であるというだけで子供に不利益が生じないような配慮を社会全体や学校単位で行う必要があると思っています。



質問者:

 なるほど、自分のエゴで別姓を選んで子供に被害が及んではいけませんからね……。


 お子さんが2人以上いる場合はどういう運用になるのでしょうか?



筆者:

 法務省の『選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について』と言うページにおいては、


『いろいろな考え方がありますが、平成8年の法制審議会の答申では、結婚の際に、あらかじめ子どもが名乗るべき氏を決めておくという考え方が採用されており、子どもが複数いるときは、子どもは全員同じ氏を名乗ることとされています。』


 と、現在有力な考え方としては子供が名乗るべき氏(姓)は最初から決めて統一するという事になるようです。


 僕もこの意見・案であれば賛同したいです。


 兄弟の間で名字が違う事が学校で分かった場合(小学校などでは大いにあり得る上に名字を表記しないことは考えいにくい)それはそれでイジメに発展する可能性があると僕は考えますからね。



質問者:

 なるほど、そう言った運用になる可能性が高いという事なんですね。


 戸籍制度が危ぶまれるという話もあるそうですがそれについてはどうなのですか?



筆者:

 僕は戸籍制度については、

 日本国民であることを遡ることが出来るために存続した方が良いと考えています。


 それを考慮した上で先ほどの法務省のホームページでは、


『選択的夫婦別氏制度が導入された場合の戸籍について、平成8年1月の法務大臣の諮問機関である民事行政審議会の答申では、別氏夫婦、同氏夫婦いずれについても同一の戸籍に在籍するものとされています』


 とあり、戸籍制度に影響は与えないとしています。



質問者:

 なるほど、運用に配慮をすれば保守派の方々が憂慮しているような「家族の解体」のようなことは起きにくいという事ですか。



筆者:

 極端な話をするなら同姓の一家でも「兄弟は他人の始まり」と言う言葉があるように、相続で骨肉の争いをすることもありますからね。


 同姓であることが家族の絆の確認にも何にも繋がらないことは昔から証明されていると思います。


 冒頭にも申し上げましたが、社会の変化と共に法律も変わっていく必要があると思います。夫婦別姓に関して運用面で配慮をすれば問題は無いと僕は考えています。


 上記のように法務省においても一定の結論が出ているので、これを素案とするのであればそこまで法案提出に時間がかからないとも思われます。



質問者:

 そもそも、夫婦同姓も残るのにそんなに反発する意味がよく分からないですからね……。



◇「事実上の強制」が日本を破壊している



筆者:

 ただし、別姓に事実上統一するような半強制的な制度を運用をするようであれば全面的に反対したいですね。


 どんな形であれ権力者側の「価値観の押し付け」が最大の問題だと思っていますからね。


 例えば、別姓にしたカップルに対して10万円の補助金などの厚遇や、

夫婦同性を選択することに対する何らかの不利益などです。


 マイナンバーカードでは、マイナンバーカードを作る際にポイント付与。


 極少数しかマイナ保険証が利用されていないのに、現行の保険証廃止が決定。

(保険証廃止見直しを宣言する候補者が自民党内からも出る)


 保険証が身分証として使えなくなっていくなど


「事実上の強制」の前例がつい最近もあるために警戒はする必要があるように思います。



質問者:

 定額減税や子育て支援金なども含めて国民の事情を無視する政策ばかりをする今の国だとやりかねないところが怖いですよね。


 運用の配慮も何年か経ってようやく気付くとかそう言う間抜けなこともやりかねません……。



筆者:

 ただ、仮に小泉氏が首相になって選択的夫婦別姓制度を国会で採決する際には党議拘束をかけないということに関しては少しは評価ができるポイントだと思います。


 (経済政策や規制緩和に関しては微塵も評価できませんが)


 LGBT理解推進法案では自民党内に反対を懸念する議員が多かった(最低でも3分の1ぐ以上は存在した)にも関わらず、

 いざ評決となった際には自民党からは反対者ゼロ、衆参合わせて5人が評決を放棄することにとどまりましたからね。


 

質問者:

 あれは本当に民主主義が崩壊していましたよね。

 せめて内部でまとまっていないのなら党議拘束は無しにしないと……。



筆者:

 党議拘束そのものが日本の政治における無意味過ぎる慣習の一つだと思いますけどね。

 党議拘束に逆らえば除名・党員資格停止などになります。


 比例復活が無くなり、刺客などを送られれば落選危機になるために従わざるを得なくなるのです。


 結果的に議員の個性が無くなり、政権与党のトップの意向に逆らえないことになってしまうのです。

 (小選挙区制度の弊害)


 世界ではちなみにアメリカをはじめとして党議拘束が無い方が普通だということのようです。

 評価できるポイントが日本の民主主義のシステムのあまりの程度の低さからくるものだというのは何とも皮肉な話だと思いますね。


 規制緩和を訴えるのならこういった無意味な党議拘束も常に無くして欲しいと思いますね。

 何にせよ「事実上の強制」が社会を歪めていきますからね。



質問者:

 まるで押し切っている側が社会正義だと言わんかのような感じですからね……。



筆者:

 問題は議論すらまともに行わず、「問題はありません」と過小評価や半ば拒否していることです。


 基本的に反対意見・懸念点を解決せずに強引に押し切ってできた制度や法律にはロクなモノはありませんからね。


 法律や論点が議論されている際にはそういった点を見ていただきたいと思いますね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は夫婦別姓そのものについては不利益を解消するためや、社会の変容に対応するために必要ではあるものの、子供の不利益になる可能性があるために運用面で配慮する必要があること。

 “事実上の強制“のようなことが日本を破壊しているという事をお伝えしました。


 今後もこのような時事問題や政治経済について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。

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