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君にご馳走されるコーヒー

「尤さん、どうぞ」

音頭寧音がカウンター越しに渡してきたコーヒーを尤はいただきますと言い美味しそうに飲んだ

「食事の方は大丈夫でしょうか、いつも同じものを食べてるとのことですが」

「覚えててくれたんだ、嬉しいなぁ〜。大丈夫だよアレルギーもないし」

「私も同じものよく食べるので、これどうぞ」

「サンドイッチだ!ありがとう」


少し前

テスト終わりの休日の午前中

田中尤は寧音の言ったお店を聞いて愕然としていた

元カノと別れた例の店舗がよりにもよって寧音の実家なのだ、どうしても本間詩衣という元カノの顔がでてくる

その幻影を振り切るように尤は入り口の呼び鈴を鳴らす

「すみません、今は準備中ですがどちら様でしょうか?」

中から若い男性の声が聞こえてくる、おそらく成人男性ではある

尤は田中尤です、音頭寧音さんのクラスメイトですと自己紹介をした

「え!?寧音に彼氏!?」

中から驚きの声と同時に寧音の「志音!そんなんじゃないって!」という声がかぶさる

寧音が玄関で出迎えてくれるのと同時にさっきの男性の声の主がやってくる

寧音と雰囲気がそっくりなその男性は見た感じは成年を超えていて寧音のお兄さんにみえる

「おーなかなかな優男だな、寧音にはじめて彼氏ができて兄は嬉しいぞ」

「彼氏違うもん、話し聞いてってば!」

尤はあー寧音って慣れるとこんな感じになるんだと素の一部を感じ取った

「そういえば田中くんってどっかで見たような気がするなぁ、俺の気のせいか?」

「はは、気のせいじゃないでしょうか?」

元カノとここに来たことがありますとか死んでも言えない


やがて寧音と志音に案内されて現在に至る


「音頭さんってこのカフェで働いているの?」

「まぁお手伝いのようなものですけど、コーヒーは父が淹れたものしか提供してません」

「そっかそっか、いつかコーヒー淹れるのも手伝えるといいね」

「そういえば尤さんはバイトとかしているんですか?」

「コンビニでバイトはしてるよ、最近やっと慣れてきたところ」

「カフェでバイトとか考えなかったんですか?」

「いや〜落ちたんだよね、本屋とかカフェとかで働きたかったけど」

「容姿も悪くないですし優しいと思うので残念に思いますね」

「あっえ、えっと、ありがとう。それに、そんなに残念そうな顔で悔しがってもらえたの、その、うっ嬉しい」

落ちて落ち込んでいたところに一緒に悲しがってくれ、また容姿と内面の評価をしてくれた寧音が愛おしくこの時に思えた。


コーヒーとサンドイッチを食した尤はごちそうさまでしたとご満悦に言う

「好みの豆とかありますか?」

「モカマタリが好き!フレンチプレスで淹れるのが特にね!」

「え?私も好きな豆じゃん!」

「今日の淹れてくれたブラジルの豆も好きだよ」

「豆の味が分かるの!?私はちょっとしか分からないや」

はっ!としたように寧音はコホンと咳払いすると「豆の味が分かるんですね、尊敬します」と言い直した

「敬語も丁寧な感じで、いつも行儀よく授業受けてる音頭さんらしいけど敬語じゃない音頭さんも心開いてくれてるみたいでいいね〜」

「あっうっあっありがとう」


寧音の兄の志音はこっこり見ていた、敬語の寧音がタメ口になるぐらい親しみを持ってる田中尤にむけてエールを送っていた

テストの点数で寧音が70から80点、尤が国語と英語が98点、他が60ぐらいなどの話しになり今度、英語教えてもらってもいい?という流れになった

他にも学生らしい話しをたくさんして少し沈黙の時間が流れたあと携帯の通知音が寧音のポケットから聞こえる

ちょっと携帯みていい?と許可をもらった寧音は携帯を開くとすぐに閉じた

「携帯閉じるの速いね」

「ゲームのお知らせだった」

笑いながらそう答える寧音に何のゲームしてるの?って聞くとパズルゲームだよ、指でなぞって同じ塊を消すやつと照れながら喋った寧音に見惚れてしまった

タイトルを聞いた尤はその場でダウンロードして寧音にやり方を教えてもらった


そんなやりとりをして尤は心の底から楽しいなと思うのであった

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