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少し不快な気分になったので褒めた、後悔はしてない

起立 礼 着席

何回聞いたか分からない号令を聞き総合の時間がはじまる

この時間で自己紹介カードを作りお互いのことを知りましょうということだ

中学校からの親友である田中尤と田中奏は話し合いながら記入する

誕生日、血液型、名前と迷うことなく書けるものから趣味という書こうと思うと悩むものまである

ちなみに尤は6月29日のA型、奏は9月11日のO型である

「奏の誕生日ってある意味で覚えやすいよな」

「テストで出るなら絶対間違えないやつだな」

2人で笑いあうと趣味の欄を記入しはじめる

「やっぱ読書だよね」

2人の声が重なる


「2人って中学同じだった?」

前の席から声をかけてきたのは太刀脇進夢であり、見るものに安心感を与える容姿の持ち主だ

同じ中学校であることを教えてしばらく話しているとスポーツが好きな進夢は本に関するエピソード教えてほしいと懇願する

「例えばさ、田中さん…えと、2人ははじめて読んだ本ってなんだったか覚えてる?」

「尤でいいよ、同じ苗字だし。文字を見た本なら『星の王子様』、意味を理解して読んだのは『人間失格』」

「尤はなんでもきちんと読むからな、僕は基本的に恋愛ばっか読んじゃう」

「奏って『舞姫』でエリス!って泣きながら読むぐらいには登場人物に感情移入するんだよね」

「だってよ、はるばる日本に来たのに可哀想だよ?」

「帰らせ方は確かに酷かった記憶、はじめて読んだ本、確か奏は『真珠夫人』だよな」

「そうそう、ドロドロしすぎてて読むの辛かった、最後に真珠がそういうことかってはなったけど」

「古典の恋愛ってドロドロ系ばっかだよな」

「2人とも古典を最初に読んだんだな」

「まぁそうだね、でも最近の本も読むよ」


本の話しをしながら尤は寧音は古典も読むのだろうか?お気に入りの本はなんだろうか?と思いを馳せる

無意識に尤は寧音の方角を見てたのだろう、勘違いした2人がニヤニヤしながら進夢の方が訊いてくる

「尤って太田さんの方をよく見るよね、好きなの?」

「ううん、もしかして太刀脇は好きなのか気になるあたり太田さんのこと気になってるの?」

「いやまぁ可愛いじゃん?太田さん、仲良くなれるならなりたいよね」

「彼氏とかいそうだよな」と奏が言うので、

「聞いてこようか?」と親切心で尤は提案した

「ばっばか、お願いします」

2人の声が同時に耳に入る


男の友情というのはこういうものなのであろう

太田さんの席に近づき今、話しかけて大丈夫か確認をとる

大丈夫の返事を受け取った尤はまず、いつも誰と一緒に帰っているのか質問をした

寧音とかららと一緒に帰る旨の話しを聞いた後で本命の話しをする

「へーみんな彼氏さんとかと一緒に帰らないんだね」

「私はともかく寧音に彼氏できると思ってんの?寧音って私が言うのもあれだけど周りから可愛いって褒められたこと聞いたことないよ?」

しばらく尤は沈黙した後に寧音の方を笑顔で見る

「深美は可愛いからね、彼氏いないの不思議なぐらい」

「音頭さん、僕が彼氏になってくださいって言ったらどうする?」

「冗談でもやめた方がいいと思います、その、なんて返せばいいか分かりません」

「寧音もこう言ってるし、ちょっとひくよ、その発言」

「ごめんなさい、音頭さんが可愛いと思うのは本気で受け取ってね」

「お世辞だとしても、それはありがとう」

「寧音はそれでいいんかい」

「ありがとうの返事ってなんて返せばいいんだろうね、どういたしまして?」

「それでいいと思います」

「そっか、ありがとう。」

ちょくちょく寧音のカードを眺めてた尤は字も綺麗だな、姿勢が綺麗な寧音だから字も綺麗になるんだろうと思考を巡らせる


奏と進夢のところに戻った尤は朗報を告げる

彼氏がいないことに上機嫌になって盛り上がった、男というのは悲しいかな?こういうものだ


授業も終わり、後ろのロッカーの上のスペースにみんな自己紹介カードを貼り付けた

尤は寧音のカードに書かれてる誕生日2月29日、血液型O型をその目に焼き付ける、2度と忘れることはないだろう、いや忘れることはなかった

余談だが趣味はやはり読書だが古典は源氏物語しか読んだことがないらしい

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