第199話 タクマとシイナのお茶濁しRADIO/2
――宙色市内『異階』スタジオ。
シイナ:(スマホを見ている)
タクマ:(スマホを見ている)
シイナ:(スマホを見ている)
タクマ:(スマホを見ている)
シイナ:……くっ、熱いじゃないですか。(呟きながらスマホを見ている)
タクマ:……えっ、あ、そうなんのか!?(驚きながらスマホを見ている)
シイナ:…………。(ワクワクしながらスマホを見ている)
タクマ:…………。(ハラハラしながらスマホを見ている)
シイナ:わ、わっ、わぁ~っ!(瞳を見開いてスマホを見ている)
タクマ:お、おお、おおおっ!(大口を開けてスマホを見ている)
シイナ:…………。(鬼気迫る顔でスマホを見ている)
タクマ:…………。(鬼気迫る顔でスマホを見ている)
シイナ:…………終わってしまいました。(スマホから目を離す)
タクマ:…………あ~、終わっちまった。(スマホから目を離す)
シイナ:……タクマさん。
タクマ:……シイナさぁ。
シイナ:この先はどうなるんですかぁ! 来月まで遠すぎるんですけどッ!
タクマ:この先、どうなるんだよッ!? 来月まで待てってのかよぉ~ッ!
シイナ:…………。
タクマ:…………。
シイナ:(ニヤリと笑う)
タクマ:(ニヤリと笑う)
シイナ:やはりハマりましたね。私のおすすめの『なれらぁ系』コミカライズ!
タクマ:やっぱハマっちまったな。俺のすすめた『少年ジャンク』のコミック!
シイナ:くっ、ええ、ハマりましたとも。何ですか、この熱い展開の連続は……!
王道ド真ん中、ド直球と聞いて敬遠していましたが、すごい作品です。
正直、ナメてましたよ。読まず嫌いはダメですね……。
タクマ:いや、俺も同じだぜ。クソハマったわ、キャラいい味出しすぎだろ……!
世間の評判に流されて『なれらぁ系』は見てなかったが、スゲェ作品だ。
正直、ここまでとは思ってなかったぜ。俺も、了見が狭かったな……。
シイナ:これ、どうしますか?
タクマ:そりゃあ、どっちもコミックス全揃えっしょ。
シイナ:やっぱり、紙の本も欲しいですよね。
タクマ:見る分にはなー、電子だけでいいんだけどなー。
シイナ:何か、見たあとで手元に確保したくなっちゃいますよねー。
タクマ:それな。
シイナ:ところで、タクマさん。
タクマ:何よ?
シイナ:ラジオ、始まってます。
タクマ:おまえ、ここまでの流れからそれなワケ!?
シイナ:だって電波が来たんですモン! 私悪くない! 第2回、始まりま~す!
タクマ:うわぁ、本当に始めやがったぁ!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
シイナ:はい、それでは『お茶濁しRADIO』の第2回目です。
タクマ:お~す、タクマだぜ~。
シイナ:ど~も~、シイナです。……ところでタクマさん、私は悲しいです。
タクマ:え、何、いきなり。怖いんだけど?
シイナ:ちょっと! 彼女が悲しいって言ってるのに『怖い』って何ですかァ!?
タクマ:いやぁ、だって絶対ロクでもねぇことだもん。確信あるもん。
シイナ:ひっど! 私がこんなに悲しんでるのに!
タクマ:さっきまでスマホで漫画に熱中してたヤツが何言ってんだよ。
シイナ:それはそれ、これはこれ! 人はパンを食べるのみにあらずです!
タクマ:へいへい。で、何が悲しいって?
シイナ:む~、頬杖ついてその言い方、完全に聞き流すスタイルじゃないですか!
タクマ:いやいや、ちゃんと聞くって。それで、何がどうしたのよ?
シイナ:実は……。
タクマ:おう。
シイナ:推しの男性Vtuberが、今日、引退してしまったんですよ~!
タクマ:…………(眉間にしわ)。
シイナ:あの人の配信、毎日楽しみにしてたのにぃ~! もう悲しくて悲しくて!
タクマ:…………(眉間にしわ)。
シイナ:ううう、ビジュアルも声も性格も、全部私のド真ん中だったんですよ~。
タクマ:…………(眉間にしわ)。
シイナ:喪失感がすごいです。私は明日から何を楽しみに生きていけば……。
タクマ:…………(眉間にしわ)。
シイナ:でもいいんです。あの人が選んだことなら私……、って、聞いてます?
タクマ:…………ォゥ(眉間にグランドキャニオンみたいなしわ)。
シイナ:うわぁ~! タクマさんの眉間が大渓谷にぃ~~~~!?
タクマ:…………マ、イインジャネェノ?
シイナ:あ、タクマさんの声が硬い。ロボットみたい! しかも油が切れかけの!
タクマ:イヤ、ソンナコトネェヨ?
シイナ:あの、タクマさん……。
タクマ:ナンダヨ。
シイナ:もしかして、妬いてます?
タクマ:……別に。
シイナ:あー! 顔赤くなったー! 妬いたんですね、妬いちゃったんですね~!
タクマ:ちっげぇし、そんなんじゃねぇし! ベ、別に俺ァ……。
シイナ:バカですねぇ。タクマさんの方が大事に決まってるじゃないですか~。
タクマ:……だから、ちげぇってのに。(そっぽ向き)
シイナ:じゃあ、ここからずっとその男性Vの話、していいです?
タクマ:…………それはやだ。
シイナ:はい、しません。ごめんなさい、タクマさん。私も気をつけますね。
タクマ:バッ!? いいんだよ! おまえは好きなモン見てれば……!
シイナ:それでそっちに我慢させるのはダメですし、イヤですよ、私。
タクマ:……むぅ。――じゃあ、おい、シイナ。
シイナ:はい、何です?
タクマ:あとで、その男Vのチャンネル教えてくれ。見ておく。面白いんだろ?
シイナ:――――、はい!
タクマ:嬉しそうに笑いやがってよ~、ほら、さっさとラジオ! 進めろっての!
シイナ:わかりましたよ~。では、早速ですがお便りを――、
タクマ:…………。(目をまん丸にしている)
シイナ:うわっ、タクマさん、今日はリアクション激しいですね。どうしました?
タクマ:え……、来たの、お便り……?
シイナ:来てません!
タクマ:だよなぁ! え、じゃあお便りって、何?
シイナ:え~、過去に来た感想から、使えそうなものをピックアップしました!
タクマ:ああ、ここで取り上げられるとこういう扱いになりますよ、的な。
シイナ:そうですね~。今回は一例ということで。はい!
タクマ:ペンネームみたいなのとかは読み上げるのか?
シイナ:いや~、それはやめておきましょう。あくまでも中身だけで!
タクマ:へいへい、そんじゃ、どんなのが来てたんだ?
シイナ:はい、寄せられた内容はズバリ――、
『今後、性別が入れ替わった『出戻り』は登場しないんですか?』ですね。
タクマ:あ~、それかぁ……。
シイナ:はい、この作品も結構な話数となっていて『出戻り』も多いですよね。
その中にはジュンさんみたいな特殊な事例も存在しますしねー。
タクマ:今までに『人外の出戻り』とか『未来の出戻り』とかも出てるもんなー。
で、実際、どうなんだよ。その『TSした出戻り』が出る可能性は。
シイナ:え~っとですね~。(みょんみょんと電波受信中)
シイナ:あ~……、実は一回、出そうとしたことがあったみたいですよ。
タクマ:え、マジで? どの辺で?
シイナ:マリク兄様です。
タクマ:…………あ~~~~!(納得の大声)
シイナ:実は第七章で登場した時点で、マリク兄様、TSしてる予定でした。
タクマ:え、マジで? そうなん!?
シイナ:見た目美少女→実は男→と、見せかけてTSしてました! みたいな。
タクマ:え、そんな流れだったんか。……でも、普通に男だったよな。マリク兄。
シイナ:それはですね~、ちゃんと理由があってですね~。
タクマ:おお、どんな?
シイナ:マリク兄様って、バーンズ家でも最高の魔法の使い手じゃないですか?
タクマ:まぁな。『大賢者にして大司祭』だからな。
シイナ:TSくらい自分で治せるだろ、って、作者サンが気づいてしまいまして。
タクマ:まぁ、マリク兄ならその辺はどうとでもなりそうではあるな……。
シイナ:第七章に出てくる魔王の呪いでTSならどうだって思ったんですが、
タクマ:おう。
シイナ:でも、それだと、第七章が終わったらTS終わるじゃないですか。
タクマ:ああ、そこで終わっちまうくらいなら、最初っから男でいいや、と。
シイナ:そういうことです。なので、マリク兄様は男の子ちうことになりました。
タクマ:じゃあ『TSした出戻り』は?
シイナ:ネタとしては十分にありなので、今後出る可能性はあるんじゃないです?
タクマ:ま、そこは作者サン次第ってことか……。
シイナ:ですね~。っていうか、現時点でキャラ出しすぎなんですよ。
タクマ:それは言うなよ。序盤で子供十五人とか設定したのが全部悪い。
シイナ:せめて十人にしておけばよかったのに……。
タクマ:父ちゃんじゃねぇけど、笑うわ。
シイナ:母様じゃないですけど、笑えないですよねぇ……。
タクマ:ま、今回はこんなとこか?
シイナ:そうですねー・お便りが来た場合は、こんな風に扱われます。
中身によっては思わぬ裏話なんかが出てくるかもしれませんね~。
タクマ:結局、予告してた『バーンズ家の諸々ランキング』はやんなかったな。
シイナ:所詮、予定は未定ってことですねー。
それでは、今回はここまで~! 見ていただきありがとうございました!
タクマ:お便り、随時募集中だぜ~。なくても適当に何かやるわ~。
シイナ:さよなら~!




