【漫才】好き嫌いの話
ご覧のとおりですが、最初以降、ボケはボ、ツッコミはツになってます。
ボケ「人と話すのが苦手でさ」
ツッコミ「そういうタイプだよね」
ボ「会話続けられるようになりたいと思ってて」
ツ「そうなんだ」
ボ「どうしたらいいかな?」
ツ「話題じゃない? なんか話題出せば話続くじゃん。で、相手にも聞いてみるとか」
ボ「そうね。でも何の話したらいいかわかんないからさ」
ツ「好きなものの話とかすれば?」
ボ「好きなものね。わかった。じゃあ、ちょっと練習で話し相手やってくんない?」
ツ「オッケー、練習ね。はい、なんか好きなものとかある?」
ボ「水かな」
ツ「水?」
ボ「水」
ツ「水好きなの?」
ボ「水好きだよ」
ツ「なんで?」
ボ「毎日飲んでるし」
ツ「ん?」
ボ「体とかも洗えるしさ」
ツ「うん......」
ボ「水飲まないと生きてらんないしね」
ツ「ちょっと違うな」
ボ「え?」
ツ「それは好きとかじゃないよね」
ボ「そうかな?」
ツ「好きだからじゃなくてさ、必要だからでしょ、水が」
ボ「まあ必要だからでもあるけど、好きだからでもあるよ」
ツ「いや、そうなの?」
ボ「みんな好きでしょ、水は。水嫌いな人いなくない?」
ツ「好きかな? いやまあ、嫌いではないけど」
ボ「水嫌いだったらさ、自分の体の70%が水なの気持ち悪いでしょ」
ツ「いや、気持ち悪くはなんないよ。嫌いだとしても」
ボ「水が好きだから体の70%も水で作るんじゃないの?」
ツ「ごめん、それは違うわ。さすがに好きだからではない」
ボ「俺は好きだよ、水」
ツ「わかった、好きなものの話やめよう! 嫌いなものなに?」
ボ「嫌いなもの?」
ツ「なんかある? 嫌いなもの」
ボ「右車線だね」
ツ「右車線?」
ボ「右車線」
ツ「なんで? 右車線嫌いってどういうこと?」
ボ「危ないじゃん、右車線は。対向車来るから」
ツ「危ないけどさ。それ嫌いとかかな?」
ボ「嫌いでしょ、危ないのは。危ないの好きな感じ?」
ツ「そういうわけではないよ。でもさ」
ボ「嫌いだな、右車線は。ちょっと好きになれない」
ツ「......」
ボ「でもさ、自分は左車線走ってるって思ってるけどさ、相手から見たらこっちが右車線なんだよな。そう思うと、ぞわっとするんだよね。相手にも申し訳ないなって思うし」
ツ「だから、それは右車線が嫌いだからとかどうとかじゃないって」
ボ「そう?」
ツ「危ないとか怖いって思ってるだけでしょ?」
ボ「それが嫌いだから、右車線も嫌いなわけで」
ツ「そうかもしんないけどさ。わかった、嫌いなものの話やめよう!」
ボ「ていうか、好きなもの言っても嫌いなもの言っても話終わらせてさ。俺より話続けるの下手じゃない?」
ツ「......ゴメン」
(終)