誰の目にも触れない私は、私を連れ去ってくれる王子様を待っている!
私は、田舎育ちの貧しいルーリー。
私の両親は? 何の罪も犯していないのに、、、。
“貧しい育ちの者”という理由だけで、貴族に殺されしまった。
両親共に、見せしめの刑として!【火あぶり】にされてしまったの。
しかも? まだ当時、10歳だった私の目の前で私の両親は、炎に
包まれて死んでしまったわ。
・・・あの時の事を、10年経った今も忘れる事ができないでいるの。
私は、おばあちゃんと一緒に、人の居ない山奥で2人で暮らしているわ。
おばあちゃん以外の人達には、誰の目にも私の存在を知られていない。
私は、毎晩願っているの!
いつか? 私をここから連れ去ってくれる王子様がやって来るって!
そう、信じているのよ。
そんな時、山賊が私たちがいるこの山に入ってきた。
私は、秘密の場所に行っておばあちゃんに美味しいキノコを
食べてほしくって、一人でキノコを採っていたの。
・・・背中に背負っていた籠にキノコがいっぱいになったから
家に帰ると、、、?
おばあちゃんは、山賊に無残に殺されていたわ。
家の壁には、おばあちゃんの血があちこちと飛び散っていた。
きっと、逃げ惑うおばあちゃんを山賊たちが、刃物でおばあちゃん
を何度も切りつけたに違いないと私は、そう思ったの。
私が唯一! おばあちゃんにしてあげれることは、、、?
キレイに体を拭いて、土に埋めてあげる事。
私は早速、家の前に穴を掘りおばあちゃんをそこに埋めたわ。
私は両手を合わせて、おばあちゃんが成仏してくれるように願った。
・・・私は、たった一人の身内であるおばあちゃんもいなくなって。
ずっと泣いていたの。幾晩も泣き続けたわ!
ある日、泣き疲れて! 涙も出なくなると? やっと、私は今後!
どうしていけばいいのか? 考えれるようになったの。
*
・・・その頃。
街では? 王子様がお妃候補を一般市民からも選んでいたの。
王子様は、寛大な方でね! 小さな花にも目をお留になれる方。
王家の者だけではなく、市民からもお嫁様候補を初めて選ばれた方。
王子様の前には、綺麗に着飾った女性達が次々と並んでいたわ。
『みんな~ちゃんと並べ! 王子様は、逃げん! 王子様によく想われ
たいのであれば! 一例に並ぶんだ!』
女性達の声もたくさん聞こえていた。
『もぉ~押さないで!』
『ココは! 先に、私が並んでたでしょ? 割り込んでこないでよ!』
『ちょっと~! 次は、ワタシの番でしょ!』
『だから! 押さないでよ~』
『次の者! 入れ!』
『はい!』
次々と、女性達は、王子様と対面していく。
『君の好きなモノは? なんだい?』
『わたしは、王子様が好きなモノが好きです。』
『君の好きな場所は? 何処かな?』
『王子様の好きな場所が、わたしの好きな場所です。』
『・・・・・・』
目まぐるしく、次々と女性達は、立ち代わり入れ代わり
部屋の中に入っていく。
『次の者! 入れ!』
『はい!』
・
『君の趣味は? なんだい?』
『ワタシの好きな趣味は、“料理”でございます。』
『ほほう~どんな料理が得意なのかな?』
『シチューが、得意でございます。』
『美味しそうだね! 今度、僕にシチューを作ってくれないか?』
『滅相もございません! 貧しい私どもの食べる料理など、王子様の
お口には合いませんわ!』
『だけど? 一度でいいから、君たちの料理を僕は食べてみたい!』
『ダメです! そんなお粗末なモノ、王子様の口に合いません!』
『・・・・・・』
『次の者! 入れ!』
『はい!』
・
『君の好きな花は? なんだい?』
『わだずの好きな花っぺは? いろいろ草が好きだっぺ!』
『ほほう~いろいろ草か? 僕も好きな花だな~!』
『・・・えぇ!? 王子ざまも! いろいろ草好きっぺか?
オラと気が合うんだな~!』
『・・・あぁ! そうみたいだね。』
『うんだ! うんだ!』
『・・・・・・』
*
王子様のお妃候補は?
私の住む山奥まで、王家の召使い達が私に会いに来たわ。
『・・・こんな所に、家があるのか? 誰が住んでいるのかな?』
『誰も住んでいないかもしれないが、一応! 戸を叩くか?』
『・・・あぁ!』
【コンコン】
『誰か居るか?』
『はーい!』
私が返事をして、戸を開けると、、、?
そこには、二人の王家の召使い達が立っていたわ!
『・・・なんと!? 綺麗な女性だ!』
『こんな山奥に、どうして? 女性が1人で居るんだ?』
『・・・どうして、ここに?』
『今! 王子様がお妃候補を探してらっしょるのだ! 君も明日!
城に必ず来なさい! いいですね! これは、王子様の命令です!』
『・・・・・・ははい。』
私は、“王子様の命令”に逆らえず、、、。
しぶしぶ、山を下りて王子様の居る城に向かったわ。
『次の者! 入れ!』
『はい!』
・
『・・・なっ、なんと!? お美しい女性だ! 君の名は?』
『ルーリーと申します! 私は王子様のお妃には向いておりません。』
『そんな事はない! 是非、君にお妃になってほしい!』
『・・・それは! 無理でございます。』
『・・・どうしてだい?』
『貴方は、私の王子様ではございません。』
『・・・・・・』
『既に! 私の王子様はもう見つかっているのです。』
『そいつは、誰だ?』
『昨日、私の家に来てくれた王家の召使いの1人でございます。』
『・・・うん? そいつをここに呼ぼう!』
・
『昨日、彼女の家に行った王家の召使い2人をココに連れて来い!』
『はい!』
・・・しばらくすると?
王家の召使い2人が部屋にやってきたわ。
『お呼びでしょうか? 王子様!』
『お前たちの2人のうちの1人が、“彼女の王子様という訳か?”
白状しろ! 彼女にとっての、王子様はどっちなんだ!?』
『・・・・・・』
『・・・・・・』
『答えないのか? 答えなければ? 無理矢理にでも答えさせるぞ!』
『・・・どういう事ですか?』
『素直に名乗り出た者には、ご褒美をやろう!』
『わたくしめでございます。』
『ほほう~よく名乗り出てくれた! さあ~連れて行け!』
『・・・えぇ!?』
『お前ではない! 嘘をついた者には罰を与える!』
『・・・そんな、』
王子様は、私と彼を快く祝福してくれました。
彼が、最初に私を見つけてくれた人です。
彼は、王子様ではありませんが、、、。
私にとっての【王子様】は? 王家の召使いの彼でした。
私にとって! それだけで十分幸せなのです。
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