表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

誰の目にも触れない私は、私を連れ去ってくれる王子様を待っている!

作者: 七瀬






私は、田舎育ちの貧しいルーリー。

私の両親は? 何の罪も犯していないのに、、、。

“貧しい育ちの者”という理由だけで、貴族に殺されしまった。

両親共に、見せしめの刑として!【火あぶり】にされてしまったの。

しかも? まだ当時、10歳だった私の目の前で私の両親は、炎に

包まれて死んでしまったわ。




・・・あの時の事を、10年経った今も忘れる事ができないでいるの。

私は、おばあちゃんと一緒に、人の居ない山奥で2人で暮らしているわ。

おばあちゃん以外の人達には、誰の目にも私の存在を知られていない。

私は、毎晩願っているの!

いつか? 私をここから連れ去ってくれる王子様がやって来るって!

そう、信じているのよ。





そんな時、山賊が私たちがいるこの山に入ってきた。

私は、秘密の場所に行っておばあちゃんに美味しいキノコを

食べてほしくって、一人でキノコを採っていたの。




・・・背中に背負っていた籠にキノコがいっぱいになったから

家に帰ると、、、?


おばあちゃんは、山賊に無残に殺されていたわ。

家の壁には、おばあちゃんの血があちこちと飛び散っていた。

きっと、逃げ惑うおばあちゃんを山賊たちが、刃物でおばあちゃん

を何度も切りつけたに違いないと私は、そう思ったの。

私が唯一! おばあちゃんにしてあげれることは、、、?

キレイに体を拭いて、土に埋めてあげる事。

私は早速、家の前に穴を掘りおばあちゃんをそこに埋めたわ。

私は両手を合わせて、おばあちゃんが成仏してくれるように願った。





・・・私は、たった一人の身内であるおばあちゃんもいなくなって。

ずっと泣いていたの。幾晩も泣き続けたわ!

ある日、泣き疲れて! 涙も出なくなると? やっと、私は今後!

どうしていけばいいのか? 考えれるようになったの。




 *



・・・その頃。

街では? 王子様がお妃候補を一般市民からも選んでいたの。

王子様は、寛大な方でね! 小さな花にも目をお留になれる方。

王家の者だけではなく、市民からもお嫁様候補を初めて選ばれた方。

王子様の前には、綺麗に着飾った女性ひと達が次々と並んでいたわ。



『みんな~ちゃんと並べ! 王子様は、逃げん! 王子様によく想われ

たいのであれば! 一例に並ぶんだ!』



女性ひと達の声もたくさん聞こえていた。


『もぉ~押さないで!』

『ココは! 先に、私が並んでたでしょ? 割り込んでこないでよ!』

『ちょっと~! 次は、ワタシの番でしょ!』

『だから! 押さないでよ~』



『次の者! 入れ!』

『はい!』



次々と、女性ひと達は、王子様と対面していく。


『君の好きなモノは? なんだい?』

『わたしは、王子様が好きなモノが好きです。』

『君の好きな場所は? 何処かな?』

『王子様の好きな場所が、わたしの好きな場所です。』

『・・・・・・』




目まぐるしく、次々と女性ひと達は、立ち代わり入れ代わり

部屋の中に入っていく。


『次の者! 入れ!』

『はい!』



 ・


『君の趣味は? なんだい?』

『ワタシの好きな趣味は、“料理”でございます。』

『ほほう~どんな料理が得意なのかな?』

『シチューが、得意でございます。』

『美味しそうだね! 今度、僕にシチューを作ってくれないか?』

『滅相もございません! 貧しい私どもの食べる料理など、王子様の

お口には合いませんわ!』

『だけど? 一度でいいから、君たちの料理を僕は食べてみたい!』

『ダメです! そんなお粗末なモノ、王子様の口に合いません!』

『・・・・・・』




『次の者! 入れ!』

『はい!』



 ・


『君の好きな花は? なんだい?』

『わだずの好きな花っぺは? いろいろ草が好きだっぺ!』

『ほほう~いろいろ草か? 僕も好きな花だな~!』

『・・・えぇ!? 王子ざまも! いろいろ草好きっぺか?

オラと気が合うんだな~!』

『・・・あぁ! そうみたいだね。』

『うんだ! うんだ!』

『・・・・・・』




 *



王子様のお妃候補は?

私の住む山奥まで、王家の召使い達が私に会いに来たわ。


『・・・こんな所に、家があるのか? 誰が住んでいるのかな?』

『誰も住んでいないかもしれないが、一応! 戸を叩くか?』

『・・・あぁ!』


【コンコン】


『誰か居るか?』

『はーい!』



私が返事をして、戸を開けると、、、?

そこには、二人の王家の召使い達が立っていたわ!



『・・・なんと!? 綺麗な女性ひとだ!』

『こんな山奥に、どうして? 女性ひとが1人で居るんだ?』

『・・・どうして、ここに?』

『今! 王子様がお妃候補を探してらっしょるのだ! 君も明日!

城に必ず来なさい! いいですね! これは、王子様の命令です!』

『・・・・・・ははい。』





私は、“王子様の命令”に逆らえず、、、。

しぶしぶ、山を下りて王子様の居る城に向かったわ。



『次の者! 入れ!』

『はい!』



 ・


『・・・なっ、なんと!? お美しい女性ひとだ! 君の名は?』

『ルーリーと申します! 私は王子様のお妃には向いておりません。』

『そんな事はない! 是非、君にお妃になってほしい!』

『・・・それは! 無理でございます。』

『・・・どうしてだい?』

『貴方は、私の王子様ではございません。』

『・・・・・・』

『既に! 私の王子様はもう見つかっているのです。』

『そいつは、誰だ?』

『昨日、私の家に来てくれた王家の召使いの1人でございます。』

『・・・うん? そいつをここに呼ぼう!』



 ・


『昨日、彼女の家に行った王家の召使い2人をココに連れて来い!』

『はい!』




・・・しばらくすると? 

王家の召使い2人が部屋にやってきたわ。


『お呼びでしょうか? 王子様!』

『お前たちの2人のうちの1人が、“彼女の王子様という訳か?” 

白状しろ! 彼女にとっての、王子様はどっちなんだ!?』

『・・・・・・』

『・・・・・・』

『答えないのか? 答えなければ? 無理矢理にでも答えさせるぞ!』

『・・・どういう事ですか?』

『素直に名乗り出た者には、ご褒美をやろう!』

『わたくしめでございます。』

『ほほう~よく名乗り出てくれた! さあ~連れて行け!』

『・・・えぇ!?』

『お前ではない! 嘘をついた者には罰を与える!』

『・・・そんな、』





王子様は、私と彼を快く祝福してくれました。

彼が、最初に私を見つけてくれた人です。




彼は、王子様ではありませんが、、、。

私にとっての【王子様】は? 王家の召使いの彼でした。

私にとって! それだけで十分幸せなのです。





最後までお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ