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女子大生の自粛ライフ備忘録  作者: 仁代(ひとよ)
9/10

5月9日 2020

こんにちは。仁代(ひとよ)と申します。


本日は散歩のおはなし。最近は天気も良くて散歩日和ですね。

8:30のアラームの音と一緒に、亜希は元気よく起き出した。待ちに待った朝ごはんだ。


早速キッチンに立った亜希はトーストを取り出すと、慣れた手つきでバターを塗ってそれをトースターに入れる。それが終わるとフライパンを用意してハムエッグを作った。

無論ここまではいつもの朝ごはんと変わらない。


一通りのことを終えると、亜希は冷蔵庫を思い切りよく開けて、昨日作った蜂蜜レモンのタッパーを取り出した。待ちに待った朝ごはんとはこの事だ。


食べたい気持ちを抑えてほとんど手をつけずに一晩置いたのだから、きっと食べ頃に違いない。

タッパーからは食欲をそそる甘い匂いが既に漂っていた。


コップを用意してレモンをふた切れ入れる。同時に蜂蜜レモンの液も入れて氷と水で薄めたら、簡単蜂蜜レモンジュースの完成だ。


「いただきます!」


昨日からずっと食べたい気持ちを我慢していたからだろうか、いつもより元気な声がでた気がする。


蜂蜜レモンは期待通りの美味しさだった。蜂蜜の甘さと時々アクセントで入るレモンの酸っぱさが丁度いい。底に沈んだレモンを口に入れると、レモン本来の酸っぱさが広がった。


一晩頑張って待った甲斐があったというものだ。亜希はひとり頷く。この勢いだと明後日までにはタッパーは空になっているだろう。


朝ごはんを食べ終えて食器を流しに置くと、流しの隅に昨日の蜂蜜の瓶が乾かしてあるのが目に止まった。丸くてぽてっとしたフォルムと金縁のラベルが愛らしい。


そうだ、この瓶に生けるお花を買いにいこう。ついでに駅前のバーガー屋さんに寄って、今日のお昼ご飯をテイクアウトしちゃおう。


昼前、あらかたの家事を済ませた亜希は簡単な服に着替えるとアパートを出た。近くの公園からは元気よく遊ぶ子供たちの声が聞こえる。


早くマスクをせずに遊べる日がくるといいね。


亜希はマスクを耳にかけ直すと、通りの向こうの少年たちに心の中で声をかけた。今日は風が気持ちよくていい散歩日和だ。亜希は大きく息を吸い込むと、駅の方へと歩き出した。


駅までの道中、ふと足元を見るとアスファルトの隙間にスミレが咲いているのを見つけた。小さい紫の花が風にたなびいている。その健気な姿が可愛らしくて、亜希はしゃがみこむと、スマホのカメラを向けた。


待ち受け画面にしようかなぁ。


思わぬ出会いにマスクの下で微笑む。

見知った道も意識を変えて見ると、新たな発見があるもので、駅までの道すがらにスミレをもう6本、知らない形のお花を5本、美味しそうなご飯屋さんを2軒、野良猫を1匹見つけた。

あのピンクのお花の名前、後で調べてみようかな。自粛が明けた最初の外食はあの定食屋さんにしよう。あの野良猫にもまた会えたらいいな。


長い散歩からの帰宅後、亜希は買ってきた花を別の花瓶に生けると、蜂蜜の小瓶にピンクのちいさなお花を生けた。


そのちいさな花の名前を亜希が知るのは、また明日の話。

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