5月5日 2020
こんにちは。仁代と申します。
今日は思い出の味のお話。
昨日買った芍薬の花は、思いもよらないスピードで一気に咲いた。
買って帰った時には蕾だったはずなのに、その日の夕暮れ時には中の花びらが見えるくらいに、そして今朝起きてみたら、手のひら以上の大きさに開花していた。
本当に部屋が明るくなったみたい。
蕾の時の艶やかな朱色は健在で、殺風景な部屋の明度が格段に上がった気がして亜希はその花をもう一度眺めた。花びらが幾重にも重なって大輪をなす様子がやはり美しい。すらりとした茎も芍薬の華やかさを引き立てている。
「芍薬は中国が原産のお花なんです」
と言っていた昨日の花屋の店員さんを思い出す。
朱色の花びらや力強く伸びる茎は、確かに中国を彷彿とさせた。最も、亜希の知りうる中国のイメージは三国志のゲームと横浜の中華街くらいだが。
中華街と言えば、麻婆豆腐が食べたいなぁ。
亜希は芍薬のことを忘れて、昔家族で食べた麻婆豆腐の事を思い返した。中国人の若い夫婦が営むお店で、人生初の麻婆豆腐を食べた時。
まだあのお店あるのかなぁ。
コロナウイルスの影響は飲食業にも出ているらしい。地元を離れた亜希にはどうしようも出来ないが、残っていてほしいな、と思わずにはいられなかった。
よし、じゃあ今日のお昼ご飯は麻婆豆腐にしよう。
作ってお母さんに写真を送って、あのお店がテイクアウトとかやってないか聞いてみよう。
料理サイトを見ると、1万以上のレシピがヒットした。どうやら麻婆豆腐には色々な作り方があるらしい。
迷った挙句、コンビニにひとっ走りしてCookDoをお迎えすることにした。普段スパゲッティとレトルトカレーで生きている亜希にはそれが精一杯だ。
出来上がった麻婆豆腐は、思い出のお店の味には遠く及ばないものの、亜希の麻婆豆腐を食べたい欲を満たすのには申し分ない味だった。
実家のお母さんに連絡すると、あのお店は今も営業しているらしい。
次実家に帰った時、絶対に行こう。
思い出の麻婆豆腐へのリベンジを楽しみに、亜希は電話を切った。
亜希のリベンジを待たずして、先に家族で麻婆豆腐を堪能したことを知ってなんだか悔しいような嬉しいような思いをするのは、また明日の話。
花より団子。