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女子大生の自粛ライフ備忘録  作者: 仁代(ひとよ)
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5月4日 2020

こんにちは。仁代(ひとよ)と申します。


本日は、亜希の気分が明るくなるものを買いに行きます。さて、なんでしょう?

朝。ベットから窓の外を見ると、既に太陽は空高く登っている。

ということは朝、というよりかは昼だ。


ふぁあと間抜けなあくびが出た。

2日連続で早起きだったとしても、それが習慣になるにはまだ早い。亜希はさっきより大きなあくびをして、もう一度布団を被り直す。


今日はなにをしようかなぁ。


なかなか起きる気分になれなかったので、スマホを充電器から抜いて、ベットの中へもぐる。今日中に緊急事態宣言の延長が正式発表されるらしい。


大学はオンライン授業になるからいいけれど、バイトはどうなるんだろう。かれこれ1ヶ月休業しているのだから、クビも覚悟しておかないとかなぁ。


小さくため息をつきながら、寝返りを打つ。

連日のコロナウイルスのニュースは、仕方がないのは分かっていてもやはり気が滅入ってしまう時もある。


むくりと起き上がると、殺風景な部屋が広がっていた。自分の思い描く「女子大生の部屋」から程遠いそれに、亜希は思わず苦笑いをする。


なにか華やかな、気分が上がるようなものが欲しいよね。


あっ、そうだ、お花を買いに行こう。


そう思った途端、急に花が恋しくなる。あまり種類は知らないけれど、なにか気分が明るくなるようなものが欲しい。


ちょうど冷蔵庫の中が寂しくなってきたから、買い物ついでに駅前のお花屋さんに行こう。


亜希は勢いよく起き上がると、意気揚々と洗面台に向かった。




駅前に花屋さんがある事は知っていたが、意外にも入るのは初めてだった。


このご時世花を愛でたくなるのは亜希だけではないらしい。店内には他にも3人ほどお客さんがいた。


店内を物色していると、一際目立って鮮やかな朱色が目に入った。プレートには〈芍薬〉とある。まだ蕾のそれはぷっくりと丸く、大きかった。またとない色合いに興味をそそられる。


開いたら、どんなお花なんだろう。


近くにいた店員さんに話しかけると、一緒にどうですかとレモンリーフをオススメされた。レモンの形に似ているからレモンリーフらしい。濃い緑色が芍薬の朱色とよく合う。


どこに飾ろうかなぁ、日差しが当たらない方がいいのかな?


亜希は紙で丁寧に巻いてもらった芍薬を覗き込みながらうーんと首を傾げる。


よし、テーブルの上にしよう。朝起きて1番に見れる所がいい。


立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花。その言葉を知ってか知らずか、家までの帰り道、亜希の背中がいつもよりしゃんとしていたのは、また明日の話。


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