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女主人、暴走

ゆっくりとリーシュはこちらに近づきつつ口を開く。


「どうやら終わっているようだな。私が目的なのだろう?

 このまま着いて行けば話は終わるわけだ。

 それなら・・・・・・」


 続きを言おうとしたとき、男が一人リーシュに殴りかかってきた。

 それを受け流すリーシュ。


「抵抗するつもりは無い。だから落ち着け。

 ・・・・・・おい、大丈夫か?」

「死ねよ、とにかく死ね!」


 様子がおかしい。

 まるで親でも殺されたかのような表情で、よだれをまき散らしつつ怒鳴っている。

 ざわつきが大きくなるのに気がついたリーシュが辺りを見回すと、同じような雰囲気の者達が、口々に「死ね」や「殺す」等々物騒な言葉を出しながらリーシュに近づいてくる。


「小ぉぉ娘ぇぇぇぇ!!」


 コンフィが突如叫び、バラトゥースが人々を飛び越えてリーシュの前に立つ。

「おまえが! とっととこないから! 町がざわついたじゃないかい!

 生かしてやろうと思ったがもう良い!

 屠殺して! 剥製にして! こいつらに渡してやる!」


 その言葉を聞き、コンフィを尊敬していた者達は悲鳴を上げたり気絶したり、逆に笑いが止まらなくなった。


 盗賊も驚いた。

 美女の剥製なんて売りつける当てなど無く彼ら自身もそんな悪趣味は無い。

 さすがにこれは、と親分は抗議しようとした。

 

 ケレスも動いた。

 押さえ込んでいた者達の手が、ショックで緩んだそのすきに、バラトゥースを止める事が出来そうな手段へと向かっていった。


 その全てが、暴れ出したコンフィによって吹き飛ばされた。

 リーシュを囲みつつあった者達は踏み潰された。

 ケレスはとっさに避けようとしたが、大きく吹き飛ばされ、その場所から遠ざかってしまった。

 盗賊達は唖然とするしか無かった。


「待てぇ!」


 逃げるリーシュをバラトゥースが追う。

 突進で、ロッドの一振りで、走る際の蹴りで、どんどん家々が壊されていく。


「待ってくれコンフィ! 町が!」


 これで正気に戻れと願いを込め、アラードが立ち塞がる。

 長年連れ添ってきたからなのか、バラトゥースが足を止める。


「これが君の望みなのか!?

 20年育ててきた町をダメにしてまで、君の思い通りにするのが望みなのか!?」

「アラード・・・・・・」

「君は少し血が上っているんだ。冷静になってくれ。

 そうすれば、本当に良い手段が見つかるはずだ。君はそういう人なのだから!

 何時ものコンフィに戻ってくっ!!」

「黙れ邪魔もんが!」


 説得の最中だった。

 アラードはバラトゥースのロッドの一振りで染みとなった。

 言葉それをきっかけに完全に見境が無くなったと判断し、これ幸いと思った盗賊達も巻き込み、今のコンフィについて行けない人達が逃げ出す。


 ケレスはその混乱に乗じ再び遺体が散らばる場所へ向かう。

 一瞬で決着が付きあのJOBの損傷は少なかった。

 あれは核さえ砕かれていなければ、勝手に直ると故郷で聞いていた。

 ならばあの程度の損傷であれば、すでに修復されているのでは無いかと考えたのだ。

 アンダルスを安全なところへ逃がした後ケレスは急いだ。


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