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軽い思い、重い腰

 自己紹介をし合いながらアビアの案内に従う。

 大通りと繋がる路地に入りたどり着いた宿は清潔感がある見た目だった。

 内装もこれまでケレスが見てきた宿と比べればきれいな物だ。

 簡素な絨毯が敷かれた待合は、しっかりとした椅子とテーブルが置かれている。

 おそらく村や町にあれば、何かしらの宿の材料と交換しないと部屋を貸してもらえないような所だった。


「これ・・・・・・大丈夫なのか? 俺たち手持ちがもう無いんだけど」

「意外と安いんですよ。

 それにリーシュさんは私と一緒に泊まれば良いと思います。

 私は天気が良ければご飯はいらないので、お一人分であれば出せます」


それならば、とアビアの提案に乗ることにした。

受付の若いヒューマンの男性に話しかける。


「すみません。男2人女1人で2部屋お願いします。」

「聞いていましたので大丈夫ですよ。

 1部屋お2人までで5000ガベル、アビアさんのお部屋に泊まられるのであれば、

 引いていた食事サービス代の600ガベルを頂きます」


 前世の感覚で大体1㎏の鉄くずは4ガベルで交換された。

 大体20円くらいだと聞いたことがあるので1ガベル=5円と考える。

 25000円の内、3000円が食事代というのはいくら何でもこのくらいの宿では割高だと思ったが、通貨制度があるこの街の市場を思い出して考えを改めた。

 キャベツに似た野菜が、市場では670ガベルくらいで売られていたことと、地元の特産である三鈷サボテンの実は20ガベルだった事から輸送費の概念がここにはある。


「すみません。ガベルって他の街でも使えるんですか?」

「街から出るときにも言われると思いますが、使えるところもありますよ。

 だけど全て遠くにあるので、使う前に風化してしまいますね。

 それこそ輸送体の人でもない限り」

「たとえ大事に持てていたとしても、

 使える体を保っているか解らないということも理由ですか?」

「そうですねぇ・・・・・・明日も知れない世の中ですし、

 良い印象をこの街に持って貰いたいって思いもあります。

 特産だけで無く他の街の食材も使って作っていますので割高になっています。

 それが気になられたのでしょう?」

「すみません。なんかケチつけるみたいで」

「いえ、気づいてくださりありがとうございます。

 よく高いって言われるんですよ」

「ガベルにしろ物にしろ、護衛に何も渡さないわけにはいきませんしね。

 街の中のお使いとは訳が違います」


 そんなことしたら誰も護衛を受けてもらえなくなるだろう。


「中には説明しても騒ぐ方もおられますので・・・・・・

 大通りみたいに街と街をつなぐしっかりした道があれば、

 もしかしたら安くなるかも知れないですねぇ・・・・・・

 なんて無理ですよね。リーダーが不要って思っていますし」


 受付の男性は少し疲れた表情でそう言うのだった。


(そういえばバルトネで道作りをさせたことがある。

 あれは近い村と村を繋げるだけだったが、かなり流通に効果があったな。

 ・・・・・・挑んでみる価値はあるか?)


 元は意地で旅を始めた故に目標を持っていなかった。

 これを成し遂げられれば故郷に錦を飾れるだろうと思ったのだ。


(でも軽い気持ちと野心だけでやる物じゃ無いな。街の計画にも関わることだし)


 本気で思うようになればやろうとケレスは思った。


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