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町民達の気持ち、2人での旅立ち

 ほとんどが破壊された町。

 ボルティーダと名無しのクラスレスが佇んでいる。

 そこに縛られていた人達を助けようと、残った住民が近づいてきた。

 憎悪の面を浮かべていた人達はその多くが踏み潰され、残った人達も今は縛られている。

 ロドマーが前に出たので、ケレスは手に乗せていたコンフィを引き渡した。


「畜生、あの小娘が居なければぁ・・・・・・

 あたしもこんな事しなくても良かったのにぃ・・・・・・」


 どうあっても因果はリーシュに帰結すると思っているらしく、コンフィは未だに恨み言を言っている。


「コンフィ・・・・・・なんてことだ。なんでたった10日で・・・・・・」


 ロドマーはずっとうつむいている。


「・・・・・・止めてくれたことは礼を言うよ。

 発端の一件も、今居る奴らはほとんどが、嬢ちゃんが悪いとは思っていない。

 桃髪の人、あんたもだ」


 誰もが沈黙している中、どんどんと震えてくるロドマーの声。

 例外はコンフィと、同じくリーシュを憎む者達の怨嗟の声のみ。


「でも、出て行ってくれ。気持ちの整理が付かない。

 このままだとあんた達にひどいことをしてしまうかもしれないんだ」


 町が滅び、しかもそれを行ったのがかつての英雄自ら故に、誰もが苦しんでいた。

 彼らにとっては行き場のない怒りであるが故、ケレスとリーシュに矛先が向かないようにしたいので、ロドマーは追い出すしかなかった。

 すでにアンダルスは荷台をつけられて連れてこられている。

 ケレスはJOBを格納し、リーシュもそれに合わせた。


「アンダルス」


 愛馬に話しかけ荷台に増設した、ふかふかした席にリーシュをエスコートする。


「ご老人。これを」


 リーシュは乗る前にロドマーの娘婿に向かって、コンフィが使っていたシェムジェムを投げ渡す。


「あなたが使うと良い」

「・・・・・・コンフィはまだ生きているぞ?」

「今、契約を行えば解る。『我、汝の繰り手なり。答えよ。』そう唱えてくれ」

「・・・・・・『我、汝の繰り手なり。答えよ。』」


 すると娘婿に契約の証が浮かび上がった。

 それを見ていた人達、特にコンフィが驚きの声を上げた。


「小娘ぇ! あたしのバラトゥースに何をしたぁ!」

「初期化だ。もうあなたと、このシェムジェムの間には繋がりは無い。」


 そんなこと聞いたことがないと、納得いかない様子のコンフィ。

 一方娘婿は目をむきつつ、リーシュの指示に従う。


「今度は召喚してみてくれ。」

「あ、あぁ。

 『汝、司るは紫電。汝の位階は魔道士。数多の知識を持って我と共にあれ。出でよ凄まじき骸』」


 娘婿が吸い込まれ、新たなクラスメイジが姿を表す。


「瓦礫の撤去と盗賊よけぐらいにはなると思う。

 この女性に預けたままでは、我々を追ってきて村に戦力が無くなるだろうからな」

「そうか。・・・・・・ありがとうな」


 ロドマーからの礼の言葉を受け取り、リーシュは荷台に乗る。

 それを見届けケレスはアンダルスにまたがり、2人と1匹で町から去って行った。




「シェムジェムの初期化なんて、俺初めて知ったよ」

「おそらく私しか知らないだろうな」

「君、本当にすごいんだな。JOBもそうだし、知識まで」

「いや、君には負けると思う。何なんだあの爆発する杭は」

「いや、元はただの妄想なんだよ。

 もしかしたら同じようなことできる人はいるかもしれない。

 それにこれ、実は今朝使えるようになったものなんだ。

 経験が少ないから活かせなかったし」


 本当は前世の記憶から出てきた物だが、説明がめんどうくさい上、必要ないと思っているのでそういうことにした。

 ただ一つ、使えるようになってから間もない事は伝えるべきだと思った。


「だがあの場でそれを以て立ち向かっていたのは君だけだ。

 それも守るため。賞賛に値すると思うぞ」

「そうかな。・・・・・・そうか」


 リーシュはケレスを少しだけ信頼した。

 下心があろうと、味方をしてくれるのは本当だと思ったので、印象が良くなったのだ。

 長らく味方をしてくれる者などいなかったので、それが緩めているかもしれないことも解っていた。

 ・・・・・・それでも完全には信用してはいない。


 ケレスは照れくさかった。

 結局自分がやったのは足止めと、そしてとどめ。

 8、嫌9割彼女の活躍だからだ。


(一緒に旅するなら、俺も頼れる奴にならないと!)


 主人の力みを感じたのか、まるでなだめるようにアンダルスが嘶いた。

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