ボルティーダ、それと男の子の意地
「リーシュ!?」
「君のおかげで呼び出せた。ありがとう」
「あ、ああ。それって」
「私のボ・・・・・・JOB、クラスはウォーリアー。名はボルティーダだ」
バラトゥースが立ち上がる。
その中でコンフィが納得いかないように、忌々しげに叫ぶ。
「何でこんな奴が名付けに耐えうるJOBを持っているんだい!?」
属性や位階であれば、既にアセンションした強いシェムジェムを見つけたと言うことで解る。
ジェムの継承を行えば、アセンションしたまま繰者を変更することができるからだ。
しかし名は違う。
JOBは名をつける事でも強化ができるが、与える側には膨大な魔力とJOBによほど気に入られなければならない。
もし不用意に与えよう物なら前の繰者の血縁であろうと暴走、新たな繰者を殺すことだろう。
つまり名付けはJOBの信頼を勝ち取った物のみが許されるのである。
見た目は15~17程のリーシュが、なぜ名前を持ったJOBを所持しているのか、コンフィは解らなかった。
「まぁ良い! そのJOBごとぶっ潰してやる!」
両の拳に、バラトゥース自身の機能である電撃をまとわせ殴りかかる。
ボルティーダは盾で防ぐのを止め、少しだけ横に避ける。
空振ったバラトゥースの後ろに回り、その背中を狙う。
させまいと、バラトゥースの腰の入った肘鉄砲が襲いかかる。
とっさにバックステップしたが、剣に肘があたり一瞬電流が流れボルティーダが硬直する。
そこをバラトゥースの拳が襲う。
「はっ! 名あり属性持ちのウォーリアーなら簡単だとでも思ったかい!?
対JOB戦はあまりやった事が無いようだね!」
その通りであった。
大抵の場合そのクラスを見ただけで逃げていくのである。
立ち向かってくる場合も、そこに至るまでに大抵死ぬのでコンフィほど鍛えられてはいない者ばかり。
よってリーシュが相手取るのは巨大なミュータントがほとんどであり、彼らは力量が解ればすぐに去って行く。
「人の頭は本当にやっかいだ。」
人は知恵とコミュニケーションで進化した生き物、知恵のある巨人ほど強い者は無い。
そもそも人は勝ち目があろうと無かろうと、勇気や恨み等の精神的要素により立ち向かうことなどざらである。
ケレスを連れて逃げ出す隙も無いので、このままでは腑をひり出す羽目になりそうだと思った。
ボルティーダが電流に包まれるのを見て、ケレスは先ほど回収し損ねたパージした武装を集めるのを急いだ。
リーシュが時間を稼いでくれたおかげでクラスレスの修復が動けるまでに回復したのだ。
(容量があるのは解った。ある分全てミサイルに変えてやる!)
反動がどうなるか、そもそも十分に生み出せるのかは解らなかったが、このままリーシュとボルティーダに任せて見ているだけというのは彼にはできないことだった。
コンフィは苦い顔をしていた。
最初こそ彼女が押していたのだが、対JOB戦の経験は浅いものの訓練はしっかりしてい多様だ。
メイジなのに魔法を使えないというハンデもあり、今では互角になっている。
「なれやがって! これじゃ決め手がない!」
それはリーシュも同じだった。
バラトゥースは的確に躱しながら狙いにくる。
電撃を警戒するが故に盾を使えないため、こちらも防戦一方である。
何かきっかけがあれば、と思っていた。
「離れろ! リーシュぅ! 全弾発射ぁ!」
両名共その声の方へとJOBの顔を向ける。
そこには箱のような物をつけたクラスレスが仁王立ちしていた。
そして蓋が開いたかと思うと、高速で杭のような物が1本、こちらに向かってきたのだった。