テリブル((((;゜Д゜)))))))
「
諦目晶は、今日も、愉快だった。空が青いことに、愉快になった。人がいっぱいいることに、愉快になった。死体が見当たらないことに、愉快になった。だれかがいることに愉快になった。
」楽しいですか?「」
「」まぁ、ううん「」
「」みんな、楽しそうですねえ「」
「」そう見えますか?「」
「」いいえ、全く「」
「」じゃあ、なんでそんなことを?「」
「」楽しいからじゃないですかねえ「
そう言って、この空間の床に座りこんだ。
」どうして、そんなに楽しそうなんですか?「」
「」じゃあ、あなたはどうしてそんなにつまらなそうなんですか?「」
「」いやいや「」
「」なんですか?「」
「」なんで答えないといけないんですか?「」
「」楽しいですねえ「」
「」いや……楽しくないですけど「」
「」そんなあ。楽しくないんですかあ?「」
「」ええ。まあ「」
「」ふふ。楽しいですねえ「」
「」いや、だから、楽しくないんだって「」
「」そうですかあ? 私は楽しいですけどね「
そうして、一瞬だけ表情を曇らせた。
」昨日、あんなことがあったのに、なんで、こんなに楽しいんでしょうね。ふふ。不思議ですねえ。もしくは、不謹慎ですか「」
「」昨日、なにがあったんですか?「」
「」あなたが知らないはずがないじゃないですか「」
「」え「」
「」だってあなたって私じゃないですか。私はあなたで、あなたは私。同一人物なんですけど。もしかして、心当たりはありませんか?「
諦目晶は死にたそうにシニカルにそう言った。しかし、死にたそうな言動というものが、つまり、死にたそうな死にたい人と、死にたくなさそうな死にたい人の区分はだれにもつかなかった。だれにもわからないのだ。だから、彼は無視して聞かなかったことにした。因みに彼はだれなのか、だれも知る由もない。
「」同一人物ですよ。楽しいですねえ「
そう言って、空を見上げた。よく見たら、青空ではなくて、空は真っ暗だった。黒くて、綺麗だった。
」もうどうだっていいですけどね。無気力なんで、もう全て、楽しくて、愉快で、それで完結しちゃってますからねえ。希望も絶望もない境地まで達して、いまはすごく安定してるんです。それはもう、すごく、すごく。ねえ、楽しいでしょう? もう、みんな死んじゃってます。私以外みんな。
」なにが楽しいんだよ。俺はここにいるぜ「」
「」だれですかあなたはっ「」
「」おまえだよ「」
「」違いますあなたは私ではありません「」
「」そうかい。なら、俺はおまえとは違う。これでいいな「」
「」だとしたらどうなるんですか?「」
「」だとすると、みんな死んでねえってことになるな「」
「」オール・オア・ナッシングですか。楽しいですねえ。まあ、事実、あなたは、私でしたけど。私でしたので、世界は滅びました。私以外だれもいません。私以外世界を観測する者のいない、要するに——世界の終わりです「
そう定義した。
」