予定調和(予定帳は)
ああもう、なにも考えたくない「
泥沼矛盾は言った。
」はん。常になにも考えてないお前が言うな「
赫赫鹿鹿は言った。
鼻で笑うように、言った。トイレで用を足しながら、言った。チャックを閉める音がして、本題に入る。もしくは、前置きに入る。
」それで、お前はなにを考えて、行動したっていうんだ? この惨状を、どうやって、止めようとしてたってんだ? 答えてみろよ「」
「」それは「」
考えれば考えるほど、泥沼にはまると思った、思っただけの泥沼矛盾は間髪入れないでこう言った。
」まさか、ここまで、だとは考えていなかったんだ。想定外だよ。こんなことになるんだったら、最初っから「」
「」最初っから? 想定していたってのか?「」
「」ぃや「」
「」はははっ! これだから楽観者は困るぜ! 『こんなことになるんだったら』だって!? そんな戯言や馬鹿は休め休めに言えよ。これは、お前みたいな人間の鈍さが招いた悲劇なんだって、気づけよ。あー、もう笑える。これだから、これだから、これだから「」
「」ぇ、赫赫ん? どうしたの?「」
「」どうもしねーよ。それよか、これ、どうする?「
手に持ったのは、死骸だった。だれかの死骸だった。
」うわぁ、すご、よく持てるね。可哀想「」
「」ふん「
そう言って、手から離した。
」お前ほうがすげえよ。これをみて『可哀想』だなんてな、なかなか言えるセリフじゃねーな「」
「」そ、そんなこと「
泥沼矛盾はおどおどとし始めた。
——おどおどおどおど——
連れ小便、略してツレションしていた二人以外はだれもいなかった。閑散した空間。まるで、ゾンビ映画における静寂の一コマのように、この薄暗い場所は、これからおこるなにかの予兆のようなものを醸し出していた。
なにもおこらないかもしれないが。全ては、ハッタリで、全ては曖昧で、全ては、悪い意味のなし崩しかもしれないが、それでも——物語は続く。
だれも望んじゃあいないのに続いた。
こうして、かくかくしかじか色んなことがあって、物語は佳境を迎えた。わけがなかった。
」くっそ笑う、なんなんあいつ「
泥沼矛盾はおどおどしていた。
」