話しが進む(話し以外進まない)
「
ロリ川 笑美は悩んでいた。なぜ、あんなことをしてしまったのか、と悔やんでいた。どうしたら、してしまったことをなかったことにできるのか考えた。だが、成果は上がらない。どれだけ考えたところで、袋小路。これから先の未来はもう、暗闇だった。未来が真っ暗。お先も真っ暗。
だから、既にしてしまったことは、たとえそれが、取り返しのつかないことであってもなくても関係ないくらい、どうしようもないのだ。したという事実は変えられない。不変なものなんて、どこにもない。そのはずなのに、事実というものだけはどうあがいても変えられなかった。無駄な足掻き以前の問題だ。それはもう、事後確定で、終結された過去であって、それ以上でもそれ以下でもないくらい寸分違わない。過去は変わらない。今はこんなにも、変わっていくというのに。
ロリ川笑美は、意味を求めた。自分のしたかったこととはなんだったのか。なぜ、そんなことをしようと思い立ったのか。その動機がほしかった。意味なんて、意味がないと思っていた彼女にとって、動機という意味付けを探すのは不毛以外のなにものでもなかった。
意味さえ意味がなく。
真実なんて事実じゃない。
絶望は希望の助走でしかなくて。
無気力こそが、絶対的な完成形。
だって、そこにはなんにもない。そこに虚実入り混じろうが、そこに、正しさがあろうが全てを零に還元できる。その』無『気力こそが、彼女の求めていたものだったのだと、そう直感した。そう気づけたんだ。そして、彼女はここにいる。こうして、虚ろな目でなにかを見ている。なにか骸のようなものを見て、不敵な笑みを浮かべている。だって、それこそが完成形。そこには、過去しかない。死んでしまえばそれで終わりだ、変わらない。不変で、安定している。
だから心地よい。
だから——彼女は安心した。
やってしまったことは反省しないといけない。でも、彼女は、冷静だった。こんなにも、心が穏やかだったのはいつ以来だっただろう、と過去を振り返る。その過去を懐かしみゆっくりと笑筋をあげた。
」未来は変わる。変わらないのは、そう。うちらくらいなもんだよ。結局、人間以外、なんにもなれなかったけれど、悪くはなかったな「
夜の帳が下りる。漆黒の夜の帳が。そして、黒に染まる。世界は黒になる。やっと一日が、終わった。
」




