第18話 王都へ②
アイリス王女に返事をしてから1時間が経った。部隊の準備が整ったみたいだ。
「閣下、近衛騎士隊準備終わりました。いつでも出発出来ます。」
「了解した。アイリス王女、出発致します。」
「お願いします。」
俺はアイリス王女の返事を聞いてから出発の合図を出す。本来の立場上、王女殿下を無視することが出来ないからな。
「レン様、何故依頼を受けてくれたのですか?先程の話からするとこの世界に来て、そんなに時間が経っていないですよね?」
「ここに来たのはアイリス王女を助けた時ですよ。それとは関係なしに自分の知っている人たちが、困っているのならいくらでも助けます。」
「そうですか。レン様、改めてありがとうございます。」
アイリス王女から改めて礼を言われた時、先頭の方で何かあったみたいだ。前から伝令が来た。
「申し上げます。現在、先頭にてゴブリン10匹と遭遇。ルーネ団長が対処にあたっております。」
その報告を受けた直後、後方と側面から新たにゴブリンが現れた。
(どういうことだ。俺の気配察知に引っかかることなく現れるなんて…。まさか。召喚士がいるのか。とりあえず周りを探るか。)
「アイリス王女殿下、今回のゴブリンの行動が少し気になったので、少しの間離れます。」
「分かりました。私たちはこの場で対応にあたります。」
「了解です。伝令!ルーネに伝えろ。少しの間離れる。」
「御意。」
俺は指示を出して部隊から離れ、森の中の気配を察知する為に木の上に転移した。
(久しぶりにするか…。《気配察知・影》)
《気配察知・影》…全てのものは光を浴びることによって影が生じる。人、魔物、植物等、生じる影は異なっている。このスキルはそれを正確に分別することが出来る。
(ここに部隊がいて、ゴブリンが25匹、北東1km、召喚士とテイマーの2人。とりあえず行くか。)
『ルーネ、聞こえているか?召喚士とテイマーを発見した。確保してから合流する。それまで待機だ。』
『了解です。閣下、お気をつけて。』
とりあえずルーネには指示を出した。これでアイリス王女にも伝わるだろう。ただ気になることがある。さっき気配察知を行なった時、子供の反応があった。たぶん召喚士とテイマーのどっちかだろう。こんな所に連れて来てはいけないだろう。
「まぁいい。捕まったら分かるだろ。」
俺はそう呟いて反応があった所に向かった。