第12話 迷いの森②
(ゴブリンを任せておけと言ったけど、他の魔物がいる可能性もある。足手まといがいるし、さっさと終わらせるか…。)
「終わらせるまで、持たせろよ!」
俺は騎士たちにそう言って、ゴブリンの群れの中に突っ込んだ。獲物が飛び込んできたと思ったゴブリンたちは一斉に攻撃してくるが、俺に触れることすら出来ない。反応する速さが違うのだ。触れようとする瞬間に刀で斬りつける。残り半分となった時、ゴブリンたちは逃げ出そうとした。
「武器作成 魔銃 、火弾[フレイムバレット]」
逃げ出していくゴブリンに撃ち込んでいく。そして最後の一体を倒したところで周囲の確認する。ゴブリンの死体は残っていない。あるのは騎士たちの遺体が6人分だけだった。これがこの世界の良いところだ。魔物を倒すとドロップアイテムと経験値、お金が勝手に計算されて入るようになっている。そして魔物の死体だけは消えていく。
「とりあえずは魔物の反応は無くなった。」
俺は姫を守っている騎士たちに告げる。それを聞いて安心したのかその場に座り込んだ。戦闘と仲間の死ではこたえたのだろう。そんな中で馬車の中にいた姫と呼ばれている女の子が降りてきた。
「私たちを助けて頂き、ありがとうございます。」
そう感謝の言葉を述べている彼女を見て驚いた。容姿は金髪、身長が低く、顔には幼さが残っている。年齢は14、15歳ぐらいだ。そして俺は彼女のことを知っている。
「ア、アイリスがなんで…。」
小さい声で呟く。彼女はアースティア王国の第2王女でシャルの実の妹だ。俺にとっては義妹にあたる。アイリスは俺が戸惑っているのを不思議そうに尋ねてきた。
「どうか致しましたか?えっと…。そういえば自己紹介していませんでしたね。私はアイリス=アースティアです。この国の第2王女です。御名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「蓮、神谷 蓮です。旅の冒険者です。」
俺はそう言ってギルドカードを見せる。
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名前:神谷 蓮 年齢:16歳
冒険者ランク:SSS 所属:星天の剣
クラス:剣士、魔法師
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ギルドカードについて簡単に説明すると冒険者ユニオンが発行している公式な身分証だ。ランクはG〜SSSの10段階あり、クエストの達成率や試験を行うことによりランクを上げることができる。所属は自分が属しているギルドの名前だ。ギルドに入る為の条件は各ギルドによって違う。クラスはユニオンで登録されている。自分の戦い方だ。
「えっ…。ランクSSS…。」
アイリスは俺のランクを見て驚き、声を上げる。 SSSのランクにいるのは数えれるぐらいしかいないのだ。それは驚くだろう。