第9話 親子対決⁉︎ ②
『炎装天衣 火炎焔』
俺は炎の鎧を纏う。身体に張り付いていた氷が溶けていく。この姿を見せるのは初だ。全員が目を見開いて見ている。
『聖剣召喚 クラウソラス、魔剣召喚 レーヴァテイン 聖魔融合 レーヴァソラス』
さらに俺は聖剣と魔剣を召喚し融合させる。眩い光が辺り一面を照らす。その光が収まると俺の手には一本の焔の剣が握られている。
「あの姿はまさか…!」
隼人は俺の姿に見覚えがあるみたいだ。一回も見せたことはなかったはずだ。俺以外の全員が隼人の言葉に耳を傾けている。
「《炎帝》…。勇者不在の王国を魔物一万から守った英雄…。これも蓮のことだったのか!」
ああ…。そういえば、そんなこともあったなぁ。
「姿が変わったところで、同じことだ。蓮、静かに眠れ!」
親父が容赦なく切り掛かってくる。女神が援護射撃を行っている。なんだかんだで仲良しみたいだ。そこからは激しかった。自分たちが持つ全ての技を出し、相手に勝つ為に攻撃を続ける。
それから数時間が経過した。一向に決着がつかない。
観戦者も各々の好きなことをやり始めた。
「みんなが飽きてきたみたいだから、次の一撃で終わりにしましょう。」
俺は2人に提案する。そしてレーヴァソラスに魔力を込める。
『全てを焼き尽くせ。灼熱地獄〔ムスペルヘイム〕』
俺を中心に燃え広がって行く。それに対抗する為に2人は切り札である対抗しようとする。
『全てを凍て付かせ。絶対零度〔アブソリュートゼロ〕』
『神々の神罰。神の断罪〔ジャッチメントレイ〕』
3つの攻撃がぶつかり合い激しい爆発が起こった。
そして立っているのは俺だけだった。
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「やっぱり勝てなかったか…。」
勝負が着いてから数分後、治療が終わった親父がそう呟いた。イシス様の方はまだ伸びている。その側にシャルとアリシアがいて、回復魔法を施している。
「そろそろ教えてくれ。親父。」
「ああ。力を確かめられたし、時間がないから話すぞ。さっきので確信したがお前は強い、だが召喚された時点でその力を持っていたらおかしい。だから隼人と蓮には力を封印させてもらう。」
「確かにな。だが自由に動けない。」
「そうだな。だからこれを付けているだけ力を解放出来るようにする。顔を隠すことで誰かわからないように出来るし蓮の場合、容姿を変えることが出来る。正体を隠すにはちょうどいい。隼人には悪いが段階的に解放出来るようにする。全員のサポートに入ってもらいたいからな。」
「分かりました。それが妥当でしょう。」
隼人が親父の話を聞いて了承する。俺も親父の話を聞いてそう思う。
「そろそろ時間か…。」
親父がそう呟いた。さっきからずっと時間を気にしていたが…。そう思っていたら俺とシャル、アリシア、イシス様以外が臣下の礼をする。
「御約束通り、時間を稼ぎましたよ。シャルル殿下、アリシア殿下。」
親父がシャルとアリシアにそう言う。どう言うことだ?俺以外全員知っていたのか?
「ありがとうございます。今後の行動はイシス様に話してあります。また会える時を楽しみにしてます。勇者ハルト様。」
「はっ。殿下もお気を付けて。」
そう親父は言うと俺たちを置いて、転移していった。
もう1話だけ現実世界の予定です。