プロローグ
前回書いていたものと繋がってます。そっちの更新を再開するのでよかったら読んでください。
俺は何の為に戦っているのだろうか?
もうこの世界には愛する者たちはいないのに…
どうしたら正解だったのだろうか?
「俺はもう疲れたよ…シャル、君に会いたい。」
そう呟いていたら、部屋の扉をノックされた。
誰が来たのだろうか? 俺はもう疲れたというのに。
「レン様、入ってもよろしいでしょうか?」
扉の前から女の子の声が聞こえる。どこかで聞いたことがある。けど、俺にはどうでもいいことだ。
「ああ。入っても大丈夫だ。」
俺の返答を聞いたので、その女の子が入ってきた。
容姿は銀髪で長い髪。顔も整っていて、誰もが可愛いと認めるだろう。年齢は17歳ぐらいだろうか。纏う空気はどこか大人びている。
「準備が出来ましたので、お呼びに来ました。」
そういえば、何か言っていたか…
「わかった。それでは行こうか…」
俺は女の子の案内に従って歩いていく。見覚えのあるところだが、思い出せない。そのまま、歩いていくと1つの扉の前で止まる。扉の前には2人の兵士がいて、誰も通さない様に守っている。兵士たちは俺たちに気づいて話しかけてくる。
「アリシア様、レン様。このような場所に来られるとは、如何様でしょうか?」
「理由はわかっているはずです。そこを開けてください。」
アリシアと呼ばれる女の子が答える。
「わかっているからこそ、通すことが出来ません。これは王命です。例え第1王女と英雄でも通すことが出来ません。」
「なら仕方ないですね。《女神イシスの代行者》として命じます。そこを通しなさい!」
「ぐぅ。アリシア様、このことが陛下に伝われば貴方様は罰せられます。どうかお考え直しを!」
「ありがとう。でも、これは私が為すべきことだから。お待たせ致しました。レン様、行きましょう。」
アリシアは自分の身を案じてくれる兵士に礼を言い、俺に扉の中に促す。
扉の中に入ると、どこか懐かしい感じがした。
部屋の中心には魔法陣があり、その周りに松明が置かれている。それだけの部屋なのに、それを見ているだけで涙が出てきた。
俺はどうかしたのか…。涙が流れて止まらなくなっている。
「レン様。時間がないので手短にお伝え致します。これから過去の世界に送ります。レン様がこの世界に召喚される前の時間です。そこからやり直してください。私が出来るのはそれまでです。今度こそ、正しい選択をしてください。」
「どうして君はそこまでしてくれるのだ?君には関係が無いことなのに…」
「それは私がこの国の第1王女であり、聖女だったお母様の願いだからです。なので行ってください。もう少しで陛下の騎士たちが来ます。だから早く!」
「ああ、ありがとう。アリシア、感謝する。」
そう言い終わると魔法陣が光りだす。そして最後にアリシアの声が聞こえる。
「ようやく私の名前を呼んでくれましたね。お父様」
最後の部分が聞こえなかったが、仕方がない。
過去へと戻れるのだから、今度こそ愛する者を守ってみせる。