2話「拒む王と憎いジジイ」
「って・・・おいおい」
王がいない。いつもこのバカでかい椅子に足を組みながら座っている王がいない。
「おいグリアン男爵、王はどこだ」
グリアン男爵、王の世話係のジジィだ。
イメージカラーは緑、おとぎ話に出てくるような小人のような見た目でサンタクロースのような白い髭、緑色のとんがり帽子をつけている。
「口を慎め糞餓鬼のひよっこ風情が。しっかりと名前を言え」
前言撤回する、クソジジィだ。
「あー・・・アングリーナ王はどこでしょうか」
俺は笑顔で言った。もちろん作り笑顔だ。
グリアン男爵は指を椅子の方に指し言った。
「後ろだ」
・・・は??
俺は椅子の後ろに回った。
・・・いた。
毛布らしきものにくるまっている。
「何してんすかあんた」
毛布を強引にとった。
王がこちらを見る。綺麗な紅色の長い髪、紅色の目、長いまつ毛。髪には怒ってる顔の可愛らしいバッジを付けている。
服装は赤いセーター、グレー色のジャージみたいなズボン、赤と白のストライプ色の靴下。女性の部屋着という感じのもの。
可愛らしい見た目から発された言葉は
「な・・・ッ!!何でとるのよ!!このアホンダラッ!!」
目をつぶりながら強気な発言。怒りの王なら当たり前か。いや違うだろ。
「いや王の格好じゃないでしょそれ。しかもなんで椅子の後ろにいるんすか」
「なんだ・・・あんたね。なら良かった」
王はホッとした顔をした。
「あなたの紹介が視聴者にできないでしょう。顔を視聴者に向けて、ほら」
「なんの・・・こと?」
おっと、俺としたことがメタい発言をしてしまった。失敬失敬。
「アングリーナ王、着替えをなさってください。マイルス王が王会室でお待ちです。」
グリアン男爵が椅子の向こう側から話しかけてくる。
その「王会室」というのは王達が会って話しをする場所だ。
「ねぇ!あんた空飛べたりするでしょ!あたしを連れて人間界に逃げて!マイルス王が苦手なのあんたが1番知ってるでしょ!」
無茶な願いをする人だなこの人は・・・。
あんた人間界嫌いだろうが。
俺は彼女の腕をガシッとつかみグリアン男爵の方へと突き出した。
「ちょっ・・・ッ!!あんたァァ!!!!」
「マイルス王を怒らせたら毒舌がめっちゃ飛んできますよ。あの人は流石に怒らせない方がいいっすよ」
グリアン男爵に似た小人のような奴らがアングリーナ王を抱えて着替え室へと向かっていく。
「こんの・・・ッ!!裏切り者ォォォォ!」
ジタバタしながら俺を裏切り者扱いしてくるがこればかりは仕方が無い。
喜びの王、マイルス。この人は怒らせたらマズイからな。