人間やめたら、すっごい事になっちゃったよ
自分たちの住む世界には法則がある。
どのような生物もは生まれながらにして限界が存在する
どんなに努力して脚力と技術を向上させても
人は馬には走って勝てない
どんなに握力を鍛えても人はゴリラには勝てない
世界王者の格闘家も、本気の熊には素手では勝てない
骨格、遺伝子情報でそのように決まっているからだ
それでも、アニメなどの影響からか限界のその上へ挑戦をする者もいる
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俺、斎藤一は現在とある山奥で熊と対峙していた。
俺は馬鹿だ、どうしようもなく・・・
幼い頃から柔道、剣道、合気道と習い
そのすべてを一応ながら段を持っている
そして、そのすべてで全国には到底届かない
どんなに努力しても、もっと努力している者はいる
天才、才能というのは実在する。
同じ人間が出来るのなら自分にも努力したらきっと出来るのでは
否、できなかった。
本当に限界まで努力してみたのか?と問われれば答えられない
学力、体力、その全てに置いて、同じ人間でも上は山ほどいる
どんなに高みにいる人間でも、同じ人間
努力すればきっと届く・・・わけがない
僻みになってしまった。
年は30にも、なろうというのに小さいな・・
そんな考えの自分、それ自体を抜け出したくて
野生の熊が出るから危険だという山に来ている
誰もが憧れる、人間が素手で熊に挑んで勝つを実行する為に
ぶっ飛んでる?阿保がいる?
・・・知ってる。
けど、自分のこの感情、理屈、その考えをすべて壊したかったんだ。
そして、現在熊と対峙して実感する
-素手で挑むなんて不可能だ勝てるわけがない-
だめだ、だめだ!また同じ考えだ
努力しても勝てないとか、不可能とか越えられない壁だとか
そんな考えは止める為に来たんだ!
俺は全身全霊を込めて熊に挑むんだ
「恨みはないが、挑ませてもらうぞ!」
「うぉぉぉ~~~~」
叫びながら、しっかりと構えて熊に近寄っていく
熊の方も戦闘態勢に入ったようだ
まずは、近づいての顔面への攻撃だ
しっかりと熊を見てよく動きを見ながら・・・
ブォンッ!
熊はその巨体を起こし腕を振った
ハジメは、防御をしたが体ごと持っていかれた
そして、一撃だった・・・
熊の一撃が頭部に入り
頭蓋骨は粉砕し、あたり一面に血をまき散らし
絶命していた。
薄れゆく意識とかそんなものはない
まさに、一撃死
一瞬の出来事であった。
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真っ暗だ
感覚もまったくない
俺は死んだのか?
意識が徐々にはっきりしていく
俺は何かを食べていた。口に中に血の味がする
視界もはっきりと見えてきた
俺はその瞬間口の中のモノを吐き出した。
目の前にはぐちゃぐちゃになった俺らしきモノがあった。
どういう事だ・・・
俺は俺を食ったというのか?
理解が追い付かない、自分の手を見てみると
毛に覆われていて爪があり、肉球がある・・・
俺は思考が追い付かづパニックになりその場から逃げ出した
全速力で山の中を走り出す、二つの手と二つの足で。
それは完全に人ではなく熊そのものであった。