第五話 可能
クラウス君はチートです★
異世界召喚。
よくラノベや、ネット小説で出てくる王道であり、定番。
昨今では巻き込まれた人物による無双、改革、チート、奴隷、ハーレムや、クラスまるごと、学校まるごとの召喚もあった。
他にも異世界トリップ、転生、異界渡り能力などがある。
まさか自分がこうなるとは思っていなかったが……
あ、このお菓子美味しい。
弟達にも食べさせてやりたいな。
「理論上、異世界からの召喚が叶うのは知っていました。」
少年ーークラウスと名乗ったーーはティーカップを静かに置き呟くようにそう言った。美形は声も美しいのか〜と思いつつ美月は促すように頷いた。
クラウスは懺悔するように呟く。
「その気になれば、異世界からの召喚は可能です。おそらく、1ヶ月もかかりません。貴逆ですから、理論展開自体は組み立て終わっているので死ぬ気でやればおそらく半年で還せると思います」
……以外にはやく還れそう?
美月が頬を緩めても、クラウスの表情は変わらない。すっきりとした一重の目に浮かぶのは後悔の翳り。
「それでも私がやったことは変わりません。私の罪は重い。それにそろそろ三十年ぶりの魔物の繁殖期なのです」
「魔物の繁殖期?」
「普段は騎士や、冒険者が討伐出来るレベルの魔物が一流魔法師レベルまで引き上げられます。凶暴化し、人を見れば襲い掛かってくるのです。特に今回は神託で、『ゴッメーン★間違えて力入れすぎちゃった☆』とのことですのでかなり骨が折れるでしょう」
「軽っ!神様軽すぎる!」
「神様ですから。たまに友人が締め上げてますよ他の神と混じって」
「アレ!?実は他の神ってそんな軽くない?というか友人何者というかスルーしてたけど貴方も何者さ!?」
全力でツッコミぐいっとカップを傾ける。
……大変美味しい紅茶でした。
「そうですね。正式に名乗りますと、私の名はクラウス-S-アザール。アーネ王国魔法師長を勤めさせて頂いています」
……なぁに?そのいかにも偉そうな役職名
……あ、これマドレーヌっぽくて美味しい
他の三人がだせないorz