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アーネ王国勇者伝  作者: 鈴宮 風花
第1章 異世界召喚
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第四話 ザ・異世界

 あの方達はこちらで寝かせても宜しいでしょうか?


 少年は開口一番にそう言った。


 美月はハッと我に返る。彼が指しているのはこのだだっ広い部屋の隅で、なるほど、ソファらしきものと布団が見えた。


 少年はサッと一人を抱え、ソファに連れて行く。

 男も同じように運ぶものだから、そういう趣味を持つ私の友人はいい笑顔を浮かべそうだ。


 なんとなくそう思いながら、羽織っていたローブをかけ、なにやら本を持ち、若草色のものを新たに纏いつつ、歩いてくる少年を見つめる。


 やはり彼はとびっきりの美少年だ。


 

 切れ長の琥珀の瞳はつらそうな翳りをうかべていて、睫毛はいっそ腹が立つ程に長い。

 整った顔立ちには気品が滲みで、今まで美月が見てきた美形達にはない迫力があった。

 フードを取った彼の髪は日本では染めるしかない萌黄色で、顔の両脇の一房は端に綺麗な髪飾りがついている。

 青年になりきらない少年という言葉がしっくりくる華奢でも貧弱さを感じさせない細身の体。


 意味不明の事態にも関わらず、美形観察に勤しむ自分に呆れつつ居住まいを正した。


 黒の瞳と琥珀の瞳が交錯する。


「此処はどこ?」

「アーネ王国です」


 ……そこ、どこや


「アーネ王国?」

「南アボガドロ大陸にある国ですね」


 ……アボガドロ定数ですか


「何で私達は此処に?」

「申し訳無い、正確には分かりません。ただ、おそらくは私の魔法が失敗、もしくは神々の意思が働いたと思われます。多分異世界との扉が開いてしまっていると……」

「魔法?」

「無かったのですか。まぁ、不思議を起こす力ですね」

 あっさりと知らないことを受け入れられて少し驚く。ラノベとかでは定番のえっ、ないの?とか期待していたのだが。


 まぁ、異世界は良い。否、良くはないが、なんとなくそんな気がしていた。


 そしてーーたぶん、この人は悪くない、と思われる。勿論、根拠なんて全くない。嘘をついてるかもしれないが、信じていい気がする。完全な勘だが。


「魔法は失敗したのですか?」

「少し魔力がいつもより多く込めているだけで他はいつも通り……神々もこの1世紀近くちょっかいは出してきていないはずです。たまに突然天変地異が起こる位ですし」

「神々の扱い酷っ!……という事は原因不明?」

「そうなります。それに異世界との扉を開くには面倒な呪が必要なはずで、自分は唱えていないはずです」


 美月は最後に重い口を開いた。



「私達は、家に還れる?」



 クラウスの髪飾りが光る。



「還します」



 即答だった。

説明会でした☆

クラウスはかなり優秀な子です★

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