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アーネ王国勇者伝  作者: 鈴宮 風花
第1章 異世界召喚
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第二話 ここは?

 樋口美月は自他共に認める平凡な少女だ。


 クラス委員長という面倒臭い役割に就いてはいるが、一緒にやる子が推薦したからであって、美月の意志はない。雑用係なんてやりたい物好きそうそういない。


 だいたい、美月にはこれといった技能がある訳でもなく、目標がある訳でもない。

 自分はモブで充分なのだ。


 趣味だって敢えて言えば美形観察、少女漫画展開考察位なものである。

 特技も人を見る目はあると自負しているぐらいだ。


 美月の通う夜鷹高校は、かなり人気の高校であり、美形が集まりやすい高校でもある。夜鷹高校は地元で一番の歴史があり、名家のご子息が多く集まるからだといわれている。


 そんな中、美月の顔は平凡だ。和風的な顔立ち、つまりあまり彫りが深くないのが特徴といえば特徴か。そして貧乳。


 美月は主人公には成り得ない少女だ。そう思ってきたし、傍観で巻き込まれちゃった♪など、どこの小説、乙女ゲームだと思っている。

 

 

 否、思っていた。



 見覚えのない広い部屋。

 積み上がったたくさんの本。

 床に描かれた美しい形の紋様。

 少し開いて、光が差し込む窓辺。

 周りを囲むようにしておかれた燭台。

 ふんわりと香る薬草と、古い本の香り。

 自動的にこめかみに浮かんだ、冷たい汗。

 息を呑んだ様な自分かもわからない小さい声。

 

 

 そしてーー宵闇のローブを纒った少年。



 「☆♪★▼♪○▼†∀@♦♡♬★☆♥」


 美月は本能で知った。この場所が夜鷹高校ではない事を。更に言えば自分の居るべき場所ではない事を。


 美しい歌の様な言葉で理解した。せずにはいられなかった。


 少年が何かをいった時に美月の呆然自失状態は終了している。


 何故、ここにいるかは知らないが、後ろで倒れている三人は守らなければ。


 妙に冷静な自分に疑問を抱きつつ、彼女は少年が味方かどうか分からないことに気づいた。

  

 美月の思案は一瞬。


 意識のない三人を庇うように、美月は近くにあった委員長(雑用係)必須アイテム、書類の束をかまえ、少年に鋭く誰何した。


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