表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アーネ王国勇者伝  作者: 鈴宮 風花
第1章 異世界召喚
4/16

第一話 召喚

 赤色に染まる世界。

 

 緑の大地を照らす赤い太陽。


 どこまでも細長く伸びた建物の影。小さな子供達がはしゃぎながら帰っていく。


 ここは、神に愛されし土地。神が見守る世界。


 その中でも類を見ない、白竜と天上の乙女が創国した美しい国。危ない時もあったが、戦火に包まれたこともないこの国には失われつつある民族達が大勢住まう。



 

 アーネ王国。




 古き言葉で『平和』を意味するその国は、今まで一度たりとも戦を起こさずにいられるように願いが込められたそれは、民の心に染み渡っている。



 誇りと自由、安寧の民達。



 その王国の象徴とも言える白亜の城、そこには『魔窟』と呼ばれる塔がある。



 その塔は、魔法具によって中がとてつもなく広くなっており、たくさんの魔法師が巣食う。


 魔法師はある意味素晴らしいまでの研究バカであり、研究の為ならば自分で死地に行くことも辞さない。国に忠誠を尽くしてはいるが、無意識に研究の為に情報をうっかり売ってしまうこともある。とは言ってもそんなうっかりをするのはごく一部ではあるのだが。



 その馬鹿共のトップであり、一番の実力者である魔法師長、クラウス-S-アザールは非常識を率いる事のできる唯一であり、魔法師にはとても珍しい真っ当な常識人でもあった。





 ーーとは言っても、常識人の皮を被った非常識人。というのが彼の友人達の見解なのだが。




 その彼は、今現在進行形で、魔法師長の仕事に励んでいた。


 魔窟の一番上のその部屋に少クラウスは立っていた。美しいというより、可愛らしいという言葉が似合いそうな彼は萌黄色の長い髪から滴る汗を拭いもせずに、一心不乱に魔力を練り上げていた。


 今までこの魔法に使ったことのない程の魔力を注いでいることに彼は気づいてはいたが、手を止めなかった。


 そしてーークラウスは眼を開く。


【我が名はクラウス。時と空間を繋げし者我が魔力に惹かれし者よ、我の元に来たれよ】


 紡がれるのは彼の言霊がこもった言葉。

 目の前に広がる魔法陣が高速に回転する。


【アークラスト】


 そして、クラウスは素早く臨戦態勢で黄龍の杖を構えた。


 油断なく前を見据える琥珀色の瞳には、高い集中力と警戒心が垣間見える。


 その表情は凛々しく、美しい。



 ーー魔法陣が一際強く光る。



 すぐに落ち着いた光から現れたのはーー四人の男女。



 「!?」



 アーネ王国初めての異世界召喚(事故)であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ