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アーネ王国勇者伝  作者: 鈴宮 風花
第1章 異世界召喚
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第九話 第二グラウンド

 白雪は息を呑んだ。


 目の前の少年は何も変わったこともなく立っている。


 その細く美しい声も、ピシリと伸ばされた背筋も何も変わらない。


 なのに。何だ、この威圧感は。

 思わず気圧された。彼が纏うのは殺気でも何でもないというのに。

 違う。今までの奴らとは次元が違う、彼が誘拐犯である筈がない。

 そうだとしても美月をみすみす逃す隙は与えないだろう。


 なるほど、これは一筋縄では行かない。……美月が餌付けされていたのは交渉材料に覚えておくが。


「……失言をお許し下さいまし」


 白雪は彼を見誤った。咄嗟にスイッチを切り替える。

 ……私もまだまだですね。


「こちらこそ。サキノミヤ家のご令嬢。私の話を聞いて下さりますか?」

「ええ、勿論」

「ではまず彼ら二人が何故気絶しているのかからお聞きしても?」



 白雪のかんばせには既に『妖精姫』の微笑みが浮かんでいた。



 ゴーンとゴングが鳴った。



 ……第二グラウンド、開始。

 



 ちなみに。

 美月はその間プルプル震えていた。


 怖い、怖すぎる

ちょい短いかな?

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