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ケモノテスト  作者: ヤタ
2章 獣修決戦!!
20/39

獣修決戦3

今回はついに上位クラスの戦いが!

そして新キャラも結構出てきます!


 先生によるアナウンサーがあってから、僕たちは様子を見るためにとりあえず体育倉庫に隠れたままでいた。

 8組をやっとの思いで撃退した僕らにとって、4組、5組、6組、7組が同時に撃退されたのは喜ばしいはずなのだが、僕たちの間には不穏な空気が流れていた。


「中盤レベルのクラスが一気に失格だなんて……」


 いくら考えても分かりはしないのに、何度も唸ってしまう。


「とりあえず情報を待つぞ。っと、言ってる間に来たみたいだ」


 僕たちは、影の薄さを利用して情報収集してくれている悠太を待っていたのだ。


「……宮の成績は」


「オール5」


「うんちょっと待って、何今の合言葉」


「何って合言葉には絶対あり得ないようなことを入れなきゃバレちゃうだろ」


 いつの間に合言葉を決めていたのだろう隼人は、何を当たり前な、というような顔をした。


「大体オール5て結城さんレベルじゃなきゃ誰も取れないし!」


「そんな迦具土くん、私も流石にオール5は……」


 謙遜しているが、結城さんがこの前雲母と話してるのを聞いたので、前校での成績がオール5というのは知っているのだ。

 本人は知らないが、結城さんは一部の人に「模範解答(パーフェクトアンサー)」という異名で呼ばれているのだ。


「ちょっと! そろそろ流石に怪しまれてきたよ!」


 人避けをしていた雲母が忠告をしてきた。

 確かにずっとその場に動かず、寄る男子達をいつも涙目で追い払えば怪しまれるだろう。


「そうか、なら悠太の情報を聞き次第移動するぞ」


 開始から時間も結構経ってきている。

 残りのクラスが半分を切っているところを見るに、そろそろ獣修決戦も佳境に入ってくるだろう。


「……どうやら失格した4クラスが協同して1組を襲撃したよう……」


「ちょっと待って!? それってその4クラスが束になっても1組に勝てなかったってこと!?」


 いくら中盤レベルのクラスだと言っても単純に考えて4倍の人員だ。


「これは想像以上に厳しいことになったな……」


 普段、どんな状況でも依然としている隼人も、珍しく頭を抱えている。


「……ただ、1組も結構痛手ではあったよう……」


 流石に1組も無傷とはいかなかったようだ。


「そうか。ならばまだ分からないぞ」


 隼人が何かを閃いた顔をした。


「どういうこと?」


「いいか?全クラス共通の意識として、最強はやはり1組だ。そんな1組が痛手を(こうむ)ったと知れば、2組や3組が黙ってないだろう」


「なるほどね! それなら残ったクラスもダメージがあるから、私達でも倒せるかもしれないわけね」


「そういうことだ」


 確かに、雲母の言う通りダメージを負ったクラスを叩くのならば勝率が上がる……いやむしろそれしか僕たちの勝つ術はないだろう。

 でも……


「なんかずるくない?」


「おいおい、戦略が良いと言ってくれよ」


 隼人はかっこいい顔が残念なほど残忍な顔をした。


「何ちょっと上手いこと思ったって感じでドヤ顔してるんだ?」


「しーっ! こんな空気であんなこと考えてたって知ったら殺されるから」


 僕は小声で頭の上のユキに必死に(それはもうものすごく)訴えた。

 ユキには、雲母が突破されたときのためにネックレスを装備させておいたため、こちらの思ってることがバレバレだ。


「どうしたんだ宮? また変なこと考えてでもしたのか?」


 ギクッ!


「や、やだなあそんなことある訳ないでござろう?」


「ござろう……」


「ほら! そんなことよりこれからどうするの!?」


 僕は必死にごまかした。

 いや必死な時点で怪しいのはバレバレなんだけど……


「そうだなあ、ただ待つだけなのもあれだしなあ。それにこっちを先に潰そうとか考えるかもしれないし、隠れながら観戦でもするか」


 そういう隼人の顔は、少し楽しみなようだ。

 確かに、上位クラスのケモノテスト……今はケモノ戦争とでも言うべきか、には興味がある。


「悠太、1組が奇襲を受けた場所は?」


「……体育館」


「よしそこまで行くぞ!」


 おおー! という掛け声とともに僕たちは体育倉庫をひっそりと脱出した。



 ー



 ガサゴソっ


 僕たちは体育館の裏に回っていた。

 体育館の裏は、狭い通路になっているため誰も訪れない。

 そのせいか、草が生え放題になっている。

 中には腰あたりまで伸びている草もあるため、如何にほっとかれているかが分かる。

 そして大体の体育館には、下の方に小さい窓が付いている。

 僕たちははそこから中の様子を覗こうとしていた。


「誰にも会わなくて良かったですよね。私ずっとドキドキしてしまいました」


 結城さんの言う通り、体育倉庫から体育館までの道中、誰ともすれ違わなかったのだ。

 倉庫と体育館がある程度近いのもあるかもしれないが、やはり体育館への招集があるのが一番の理由だろうか。


「そういえば9組のみんなはどうしてるの?」


「ああ、どうやら天野が不良共を固めて近寄りづらくしてたようだぞ。後は……まあやられたんじゃないか?」


 つまり9組の戦力は天野くん率いる不良グループと僕たちだけということになる。

 まあまあ頭の良い天野くんが残ってくれているのは心強い。


「しっ! 来たわよ」


 雲母の言う通り、向かい合わせにあるドアがほぼ同時に開け放たれた。


「ほおー? 1組が弱ってるってのは本当のようだなあ」


「…………目標」


 片方は大剣でも振り回せそうなガタイの良い。

 髪は逆立っていて正直怖い。

 そしてもう片方はボーッとしていそうな、しかし戦意は確かにある女子生徒だ。

 髪色はユキに似た純白を、めんどくさいのか腰までストレートにしている。

 そして1組は立ち位置からして、代表者はおそらく生徒会長である佐々木さんだろう。


「俺は2組代表 西郷(さいごう) 龍平(りゅうへい)だ!」


「3組代表 巴里(ともえざと) (さき)


 2組と3組の代表者はそれぞれ名乗った。

 それはおそらく絶対に負けないという自信の表れだろう。

 断じて朝霧さんとは違うと信じている。


 ー


「ハックション!」


「朝霧さん風邪ですか?」


「いやきっと噂だよ! とびっきりかっこいい人が私のこと噂してるんだよ!!」


「はあー……」


 朝霧さんの妄言に隣の男子生徒は、やっぱりこの人アホかな、とため息を()くのでした。


 ー


「あー、2クラスで叩くってのはなんだかやる気が起きねえなあ」


遺憾(いかん)


 西郷くんは哀れな物を見る目をして、頭をぽりぽり掻いた。

 巴里さんも同意のようで、ボーッと呟いた。


「ふふ、別に構わないわよ? 2クラス同時でも」


 佐々木さんは、2クラスを挑発するように嘲笑した。


「ほおー、大した自信と度胸じゃねえか。なら3組さんよお、てめえらもまとめてぶっ潰してやんよ!」


 西郷くんの、片足で床を思い切り踏みつけながら叫んだ言葉が合図となり、三つ巴の戦争が始まった。

 やはり3人の代表者は指揮をとるためか、最後衛に控えている。


「うおらあぁぁ!!!」


 いや、西郷くんはむしろ積極的に戦いに参加するのか先陣を切って走っている。


「全てを虚無へと導く魔獣!!」


 掛け声と共に西郷くんの前に華美なエフェクトが弾けた。

 どうなっているのか器用に蹄で棍棒を持ち、2本の若干カーブになっているツノが異様な邪悪さをひしめいている。

 それは牛であるようでただの牛ではない。


「牛魔王ミノタウロス!!!」


 西郷くんが叫んだ通り、幻想上の生物、ミノタウロスだ。


「あの召喚の仕方かっこいい……」


「中二感半端ないけどな……」


「というかケモノって、召喚以外の掛け声でも呼び出せたんだね」


「それなら設定で変更できるぞ」


 この学園にあるパソコンから、自分の生徒IDにログインすればケモノのステータスや経験値など、様々な自分のケモノの情報が見れるのだ。

 おそらくその中の設定画面のことだろう。

 まあめんどくさくて一度も見たことないのだが……


「ご主人ご主人! オレもあんな風に呼ばれたい!」


 頭の上のユキが目をキラキラ光らせて訴えてきた。


「あーそうだな、最弱最小の珍生物、とでも設定しておくよ」


 僕はものすごい棒読みでそう言った。


「痛い痛い! 髪を(むし)るなよ!」


「うるさい! ご主人なんて禿げてしまえ!」


 この若さで禿げなんてとんでもないと思い、僕は頭を左右に振りまくった。


「純白の貴公子ユキ・シュバルツみたいなさあ!」


「いやお前改名するなよ……」


「そもそもユキちゃんはいつも召喚されてる状態だから無理なんじゃ……」


 ユキは、ガーンという効果音と共にうち崩れた。


「結城さんの言う通りだぞ?いっそこの機会に召還するか?」


「いや……あそこにだけは戻りたくない……」


 ユキは嫌なことを思い出したかのように顔を青ざめさせた。

 ファンタジーな世界にも色々あるのだろうか。


 ズガーンっ!


 轟音が響いた。


「ねえ……すごいことになってるよ……」


 1人ずっと見ていた(正確には悠太と2人だが忘れられている)雲母が呟いたのを聞いて、また窓から中の様子を覗いてみた。


「おいおいおいおい、こんなんじゃねえよなあ?1組さんよお」


 そこには、群がった羽虫をなぎ払ったかのような様子の西郷くんがいた。

 実際、周りには何人もの1組の生徒が倒れている。


「うぐっ……」


「これは私も黙っちゃいられないわね」


 仲間の呻きを聞いて佐々木さんの表情が変わった。


「古今と神に使われし獣よ、今こそその力解き放て!白夜(びゃくや)!!」


「うん、佐々木さんも意外とノリノリだ」


「まあそういってやるな」


 こちらも華美なエフェクトと共に見たことのある白夜と呼ばれた白虎(びゃっこ)が現れた。


「ひぃ……」


 ユキは一度あの虎にプチっと簡単に潰された。

 そのときのことを思い出したのか、ユキは身震いしていた。


 ガオォォォ!!!


 ビクっ!!?


 その強大な咆哮にほとんどの生徒が硬直しまった。

 窓の外にいる、僕たちの元まで咆哮による振動が伝わってきているのだから、直接の人達は相当の恐怖に駆り立てられていることだろう。


「余所見厳禁」


 いつの間に指示をしていたのか、2組のケモノ達が3組のケモノ達に背後をやられていた。


「召喚」


「あ、巴里さんはそのまんまなんだね」


「まあそういうのめんどくさがるタイプに見えるからな」


 光が溢れると共に召喚されたのは……


「ユニコーンか!……」


 西郷くんが叫んでいる通り、こちらも幻獣の馬……ユニコーンだ。


「すごいな。3人共幻獣かよ」


「流石、上位クラスの代表者……」


 巴里さんはユニコーンを召喚したと思ったら背中に跨った。

 短いスカートでそんなことしたため、少し見えそうで目のやり場に困る。

 しかし本人はそんな事気にもしていない様子で、移動を開始した。


「は、はやい!……」


 ボーッとしている本人とは裏腹に、ユニコーンはすごいスピードで体育館を駆け回った。

 あれなら指示している間も攻撃されないだろう。


 しかし……


 ゴバっ!


 直後、ユニコーンは転倒した。

 上に乗っている巴里さんはなんとか3組の生徒に受け止められた。

 どこから攻撃があったのか、皆が辺りをキョロキョロしているとバサッという音がした。


「あれは……」


 まさかの体育館上空、赤を基調とした色とりどりの羽、まるで見るものを幻惑へと(いざな)うかのような姿がそこにはあった。


「鳥井くん!」


「上空までは予想できなかったみたいですね。いくら速くとも肉眼で捕らえられればこっちのものです」


 鳳凰の背に乗って鳥井くんが舞い降りた。


「まだ……まだ」


 しかし流石幻獣、鳳凰の一撃を(もろ)に食らってもHPが底をつかない。


「いや、終わりです。僕の鳳凰の羽が刺さっていますね?それは痺れの状態異常になるんですよ」


「!?」


 ボーッとしている巴里さんが初めて少し焦ったような目をした。


「フィニッシュです」


 鳥井くんの掛け声と共に、鳳凰の火炎砲が決まった。


「3組失格!」


 これで残りは2組だ。


「ありゃあ、3組はやられちまったかあ」


「余所見している暇があるのかしら?」


 西郷くんが、鳥井くんと巴里さんの戦いを横目で見ていたのか、佐々木さんはその隙を逃さなかった。

 ……が、すんでのところでミノタウロスは白夜の攻撃をかわした。


「おっとっと。危ねえ危ねえ」


「なんかさ、西郷くんって豪快だね」


「ああ、言葉遣いとか荒いけど、粗暴には見えないな」


 むしろ懐の深さとかが広そうだ。

 まさに(おとこ)という漢字に相応しい。


「はっは、このミノタウロスの威力思い知るといい!」


 ミノタウロスが棍棒を振り上げて、そして地面に叩きつけた。


 ドゴーン!!


 たったそれだけで、体育館の床はボコンと大きく窪んでしまった。


「宮……」


「なに?隼人」


「前言撤回だ。粗暴過ぎる」


「僕もちょうど同じこと思ってたよ」


 衝撃で周りにいた、何人かの生徒が吹き飛ばされた。


「あなた、分かっていないわね」


「なに?」


 佐々木さんは深呼吸したと思うと、ミノタウロスの真正面から白夜を突進させた。


「いや、ちょ……あれじゃ格好の餌食じゃないか!」


「どういうつもりだ? 会長……」


 僕と隼人は訝しんだ。

 それは雲母も結城さんも同じようで2人共心配そうな顔をしている。


「はっはっは! 会長さん面白いことしてくれるじゃないかい! いいだろう、勝負といきますかあ!」


 ミノタウロスは、白夜が来る方向に棍棒を振り上げた。

 白夜は佐々木さんを信じているのか止まる気配が無い。

 棍棒の範囲に到達するまでほんの数メートル。

 僕たちは息を飲んだ。


 ブンッ!!


 ミノタウロスの棍棒が振り下ろされた。


「(ここまでか!?)」


 皆がそう思った瞬間、想像は簡単に裏切られた。


 ヒュンっ!


 なんと棍棒がぶつかる数センチ前のギリギリで、白夜は攻撃を避けたのだ。


「!!?」


 これには流石に驚いた様子の西郷くん。

 そして懐に入られ、しかもあの大きな攻撃の反動ですぐに動けないミノタウロスの運命は決まっていた。


「白夜! 噛み砕きなさい!」


 ガキゴガっ!!


 佐々木さんの一声により、ミノタウロスは文字通り噛み砕かれた。


「んなっ!?」


「あなたは分かっていない。確かにあの攻撃力は大したものだわ。多分私より高いわ。でも、当たらなければ意味が無い」


「2組失格!!」


「「「わああああー!!!」」」


 体育館は歓声で溢れた。

 いつの間にか観戦していた、4から8組の人達も一緒になって騒いでいる。

 それは、純粋に感動したものか。

 それとも圧倒的な差を見せられた絶望か。

 生徒たちは、敵味方なくつんざいている。


 さて、そういう僕も今の戦いはすごく感動した。

 そうすごく感動したのだ。

 しかし……


「ねえ隼人?」


「なんだ宮」


「こんな優勝ムードの中 最弱(・・)の僕らが挑むの?……」


 さあいよいよ最終決戦だ。

久しぶりに結構長く書きました。

疲れたあぁ。

でも多分他の人達はもっと長く書いてるんでしょうねorz

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