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ケモノテスト  作者: ヤタ
2章 獣修決戦!!
18/39

獣修決戦開幕!

やっと始まりました獣修決戦!

 晴れ渡る空。

 雲ひとつない今日は、言うなれば良い天気だろう。

 こんな日には部屋で日向ぼっこするのもいいし、なんならピクニックにはうってつけな天気だ。

 しかし、僕らの顔はそんな良い天気に似合わない真顔だった。

 いや違う、別に似合うとか似合わないではなく、ただ緊張しているだけなのである。

「獣修決戦」

 これから競技、いや戦争が始まろうとしていた。


「宮。覚悟はできているか?」


 隼人が神妙な顔で聞いてきた。

 きっとこれから始まる戦争に向けてのことだろう。

 なら答えは決まっている。

 クラスの絆を深めるため(正確には結城との距離を近づけるため)、そして修学旅行を最高に楽しむため今まで準備してきたのだ。


「もちろんさ隼人。今までの鬱憤を全てぶつけてやれ!」


 僕は溢れん限りの笑顔でグッドマークをつくった。


「そうか、お前がそこまで言うなら……」


 何故だろう、殺意を感じる。


「お前の顔面を粉々にしてやろう!」


「へぶしっ!!」


 隼人の拳が、僕の顔面にクリーンヒットした。

 いやこれはもはやヒットというレベルではない。

 ホームランだ。


「いきなりなにすんのさ!」


「うるせえ! お前のテスト結果があまりに悪かったからこんなに悩んでるんじゃねえか!」


 中間テストの結果は散々だった。

 特に酷いのが国語で15点だった。

 これは、攻撃力は期待しない方がいい。


「まあ過ぎたことを気にしてもしょうがないな。前向きにいこう」


 できればもう少し早く前向きになってほしかった。僕の顔面が凹む前に……


「そういう隼人はどうだったのさ」


「お陰様でまあまあの点数だったよ」


 流石に自分が悪かったら人にこんなこと言わないか。

 今回できなかったのは僕だけみたいだ。


「しかし、天野は本当に他の不良を勉強させたな……しかも自分はクラスでトップの方なんて。実はあいつ勉強できるんじゃ……」


 そうなのだ、結局天野くんは他の不良を勉強させて、僕の写真をかっさらっていったのだ。

 誤解しないでほしい。

 僕は嫌だったんだ!


「相当宮のことが愛しかったんだな」


「今誤解解いたばっかなのに、また誤解生むようなことするのやめてくれるかな!?」


 誤解だ! 誤解なんです! 信じてください!


「2人共、そろそろ始まるよ?」


「分かった雲母。じゃあ作戦を伝える。まずはルールの確認だ。結城頼む」


「はい。まず各クラスで、代表者を1人決めます。この人は、色々な制約がありますが、1番大きいのは相手チームのケモノに積極的に攻撃できないことです。相手が攻撃してきた場合のみ、迎撃できます。そして、代表者を倒されたクラスは失格となります。展開するフィールドは学校全体で、あとの人は簡単に言うと大乱闘ですね」


 結城さんは、長いセリフを噛まずに言い切った。


「ということだ。宮、ちゃんと理解したか?」


「む、なぜ僕だけに聞くのかな?でもだいたい分かったよ」


 つまり成績の良い結城さんを代表者にしようという考えなのだろう。


「代表者は……宮、お前だ」


「ええ!? なんで僕なんだよ。そこは結城さんじゃないの!?」


「おいおいちゃんと理解したんだろ? ならばこんなのも分かってた筈だ。まさかここにきて逃げるのか?」


 う、確かに理解したとドヤ顔しといて、やっぱそんなの知らないは格好悪い……


「まあなぜなのか説明してやる」


 きっとなにか、深い意味があるのだろう。

 僕にしかできないような何かが。

 それならばクラスのために一肌脱ごうじゃないか。


「それは1番苦しいのが、狙われて袋叩きにされるのが代表者だからだ。宮以外にはやらせられない……」


「結局嫌なことの押し付けかよ! 深いこと考えて損したわ!!」


「おいおいそれオレも被害被るじゃないか」


 ユキが反対してきた。


「じゃあお前らはこんな辛いことをクラスメイトに押し付けようってのか?……」


「押し付けた隼人に言われたくないよ!?」


「ほら諦めなさい宮とユキ。みんなこれで納得してるわ」


 雲母が満面の笑みで指差した方には、うんうん、と頷くみんなの姿があった。


「あと残りの作戦はー


 ー


 僕たちは、走っていた。

 正確には逃げていた。

 獣修決戦のスタートが切って落とされた瞬間から、なぜか全クラスがこっちを狙ってきたのである。

 僕が倒されてしまったら、クラスの敗北が決定してしまう。

 敗北が決したときのみんなの仕打ちが怖くて、よりいっそう足に力を込めた。


「隼人! いつまで逃げるんだよ!」


「まだだ! 宮! そこの階段を上れ!」


 今僕たちを追っているのは4組だ。

 僕たちの後ろでは、大きな悲鳴がいくつも鳴り響いている。


「隼人! 前から敵がくるわ!」


 雲母が叫んだ方向から集団が走ってきた。

 あれはおそらく5組だろう。


「よし、そこの階段を下りるぞ! 誰か5組を一瞬足止めしろ!」


「ほわあ〜、みなさん大変なことですね〜」


「了解だ隼人!」


 僕は、頭の上でくつろいでるユキを鷲掴みして5組にぶん投げた。


「え、ちょ!?ご主人!!?」


「いっけえぇぇ!」


「「「きゃーネズミー!!」」」


 僕の予想通り、5組の女子たちが、いきなり現れたネズミに悲鳴をあげて、少し連携が崩れた。


「よし! 今の内にそこを下りろ!」


 僕たちが階段を下りると、衝突した4組と5組の2クラスが、獲物の取り合いのように乱闘を始めた。


「なるほど、隼人の作戦はこういうことなんだね。」


「ああ、正面からぶつかっても勝ち目はない。ならば勝手に数を減らして貰えばいい」


 確かにこれならば僕たちはほぼ万全な状態で残った1クラス、おそらく1組と戦うことができる。


「おいご主人! なんてことしてくれたんだ!」


 横からボコボコにされたユキが叫んできた。

 流石ねずみなだけあって足が速い。


「別にいいだろ! ケモノ相手じゃないからHPも減らないし!」


「そういう問題じゃないぞ!」


「ほら! 次も来るぞ!」


 僕たちがギャーギャー騒いでいるのを隼人は一喝した。


 ー


 あのあと僕らは、何度か乱闘をぶつけていて気づけば周りが少し静かになっていた。

 ふと気になって結城さんの方を見ると走るのが苦手なのか、息苦しそうにしていた。


「隼人、少し休もう」


 結城さんを見て察したのか、隼人は黙って頷いた。


「全体! 少し止まれ」


 はー、はー。


 他の人たちも結構疲れていたのか、あちこちで息苦しそうに呼吸していた。


「隼人、このままじゃもたない。どうするの?」


「うーむ、しょうがないな。万全の状態で1組と当たりたかったが、防衛戦に変えよう」


 これは隼人の作戦のプランbだ。

 僕たちは、すぐ側にある空き教室に入って敵を待った。

 きっとこれはただの休憩だろう。

 防衛戦と聞こえはいいものの、単に追い詰められただけだ。

 必然的に襲ってきたクラスを倒さなければならない。


「大丈夫なの? 隼人。もし1組とか2組が来たら僕たちに勝ち目はないよ?」


 大火力の結城さんを持ってしても数で押されてしまうだろう。


「大丈夫だ、おそらくここに来るのは……」


 隼人が何か言いかけたとき。


「みーつけた」


 教室の外から声が割り込んできた。

最近忙しいんですよね…

投稿もろくにできなくてすみません。

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