ゲームを失った宮が具現化するはなし
具現化ってかっこいいですよね。
テスト5日前。
「宮、今日あたりからおまえの大好きなゲームは断ってもらうぞ」
今まさに、「今日はどこまで進めようかなあ。あんまり早くクリアしちゃうのも、後の楽しみがなくなっちゃう 」などと考えてた宮に、隼人は言い放った。
「いやいやいやいや、5日もゲームをやらないなんて死んじゃうから」
「いや死なないから……ていうかおまえはどんだけゲームが好きなんだ」
大袈裟な物言いの宮に、隼人はすかさず突っ込んだ。
「水とゲームがあれば生きていける」
どうだ、という顔で宮は宣言した。
「おまえは植物か……そしてゲームは太陽光か……」
「宮は雑草あたりがちょうどいいんじゃない?」
雲母がようしゃのない一言をつきつけて、流石の宮もひざを抱えた。
「まあ気にするな、雑草」
「その呼び方の定着はやめて!?」
これから雑草と呼ばれることを許してしまったら、人として大切ななにかを失う気がして宮は必死に叫んだ。
そもそも水とゲームだけで生きていける身体の時点で人としてはだめなのだが、宮はそれに気づいてないようだ。
「とにかくたった5日の辛抱だ、我慢しろ」
「5日もあったらカップラーメンが2400個も作れるよ!?」
「なんでそんなくだらないことには電卓並みの速さの計算ができるんだよ!」
隼人の呆れた突っ込みに宮はなに言ってるか分からないというような顔をした。
ー
テスト4日前。
「なんだ、意外と平気そうじゃないか」
「うん、これなら余裕かも」
ー
テスト3日前。
「迦具土くん!お弁当食べませんか?また作ってきましたよ!」
「あ、ありがとう結城さん。でもちょっと今日はごめんね」
宮の表情は少しげんなりしていた。
「そ、そうですか。ちょっと体調悪そうですけど大丈夫ですか?」
「うん……大丈夫。」
ー
テスト2日前。
「おい……迦具土のやつどうしたんだ?元気無い通り越して今にも生き絶えそうだぞ」
天野の指差す方向には曇天を頭上に掲げて、机に倒れこんだかのような宮がいた。
「……気にしたら負け。いつものこと」
悠太はあまり気にする様子も無しに、いつものようにボソッと呟いた。
「おいあれってまさかやべえのに手だしてないよな?流石に俺も手を出してな……」
ー
テスト1日前。
「ぐ、げげげげゲームうううう!ゲームをよこせえええええ!!」
「や、やべえついに壊れた!誰か鎮静剤!!」
「だめです!これだけじゃ足りません!」
「く、くそ……なにか……なにか手段はないのか!!」
ズドンっ!
ものすごい衝撃に、みなが振り返るそこには、悪の具現化をした宮のみぞに、こぶしをめり込ませる生徒会長の姿があった。
「討伐クエストがあったのだけれど、これは処分していいのかしら?」
「「「ブンブンブン!」」」
会長の鋭い眼差しに気おされて、みんなは首を躊躇無しにたてに振った。
さらば宮。
来世でまた会おう。
ー
テスト当日。
「おはようみんな。」
「「「ガタッ!?」」」
宮が普通にあいさつをしただけで、クラス中が臨戦態勢をとった。
「なになになに!?ちょっみんななんでこっちに、ハサミを向けてくるの!?そしてなんで隼人が指揮を取ってるの!?」
そこには片手を上げて、攻撃準備の構えをとっている、拡声器を持った隼人の姿があった。
「宮、貴様は本当に宮か?」
「なに言ってるのさ!僕は宮だよ!」
「信じられないな。ゲームに取り憑かれて具現化したなにかだろう!」
「言ってる意味が分からないよ!じゃあ何か質問してよ!証明するから」
隼人は思案するような顔をして、なにか思いついたのか、はっとして宮を見た。
「では問題だ。世界で最も小さな国は?」
(なるほど、僕が具現化したなにかならばこの問いを外すというわけだな?ここは間違えないように慎重に……確かバチ……バチ ……)
「バチスタ王国!」
「答えはバチカン市国だ。よし、みんなこいつは宮だ」
(助かって嬉しいはずなのになんだろう、この涙は……)
「ところでなんで臨戦態勢?」
「覚えてないのか……お前は昨日、危うく装備品にされるとこだったんだぞ。皮とか鱗とか剥ぎ取られて」
隼人が呆れ顔で説明したが、宮はやっぱり心当たりがないようだ。
「というかしっかり勉強したか?」
「ばっちりだよ!」
その後、テストを受けた後の宮の顔は、ばっちりと言ったときのドヤ顔と、真反対になったという。
すみません。
今回書きたいことをただ書いたので内容がめっちゃぐちゃくちゃです。次回はちゃんと書きますorz