作戦会議という名のお弁当
お弁当…屋上って現実だと禁止ですよね。
今は昼、僕たちは隼人の提案するという作戦を聞くために、あとついでにお昼ご飯を食べるために人気のないちょっとした秘密の場所に来ていた。
「じゃじゃ〜ん! 今日はお昼みんなの分も作ってきました〜」
「おお! 結城さんありがとう!」
「なんだ? 宮だけじゃなく俺たちの分も作ってくれたのか」
「あ、はい。どうせならと思って」
ちっ僕だけじゃなくて隼人もかよ……
「なんでおまえはこっちを憎らしげに睨んでるんだよ……あと悠太を忘れてないか?」
あ、忘れてた。
「ってもう悠太食べてるし!」
「……早い者勝ち」
「このまえのようにはさせないぞ!」
あれ?
雲母がなんかしょぼんとしてる……
(あーもう!出すタイミング完全に逃しちゃったじゃない! 私のバカ!)
「雲母たべないの?」
「わ、私ちょっと飲み物買ってくる!」
ちらっ
あれ?
なんか今可愛らしい布地が見えたけど……
「なんなんだ?」
隼人はやれやれという顔をしている。
悠太はボソボソ死ねと連呼してくるし……
「まあとりあえずいただきますか!」
どれにしようかな〜
あ、このエビフライにしよう!
「んおいしい!」
「そうですか!それはよかったです!あ、雲母ちゃんみんなの分持つの大変だと思うので私も行ってきますね」
「あ、ありがとう」
隼人も唐揚げを美味しそうに食べている。
「ご主人、オレもオレも」
「じゃあユキはこの卵焼きを……」
パク
「んー甘くてまろやか、舌がとろけそう…というか本当にとけ……んん!!?」
ぱたっ……
「どどどどうしたんだ!?ユキ!」
「おい!チビの口から煙がでてやがるぞ!」
「この匂い……塩化カリウム……」
「思いっきり危なそうな名前じゃないか!」
どうなっているんだ!?
なんで結城さんのお弁当に……
「……おそらく砂糖と間違えた」
「そんな塩と砂糖間違えちゃった〜みたいなかわいいものじゃなくなってるよ!?」
なんで結城さんの家にそんな毒薬があるんだ……
「これは砂糖の入ってるものは全部怪しいな……」
「そうだね隼人、だから一番丈夫そうな隼人がこの卵焼き等を食べてね」
「いやいや宮。馬鹿と煙は高い所が好きって言葉があるだろ?よかったな逝けるぞ」
「あはは、隼人こそバ……」
「スキあり!」
「ほがが!!?」
隼人が僕の口に砂糖の入ってそうなものを全て押し込んできた。
本当だ〜舌がとろける〜。
ばたっ
「宮には安らかに眠ってもらおう」
「……時には犠牲も必要」
「あれ?迦具土くんなんで寝てるんですか?」
「ああ、結城の弁当たくさん食べたら眠くなったってよ」
「そうなんですか〜。でも残念です……クッキーも作ってきたんですが……」
「「!!?」」
「あ、じゃあ私それもらおうかな」
「いやまて雲母!それはやっぱり宮が食べるべきだ!」
「……うんうん!」
「これは俺があとで宮に渡しておくよ!」
「そ、そうですか?じゃあお願いします?」
(あっぶねー!雲母が死んじまうところだった!)
ー
「じゃあ宮も起きたことだし作戦を話すぞ」
「起きたあ? キリストレベルの奇跡だと思うんだけど!」
「ごほん……まず今回のキーとなるのはやっぱり結城だ」
「は、はい」
「結城には最後の核となるべく体力をできるだけ温存しておいてほしい。そのために宮、おまえが盾となりずっと結城に付き添ってやれ。(これでさっきのはチャラだぞ)」
「(ちっしょうがないな)」
「(迦具土くんとずっと一緒!? あわわわわ!!)」
「そして悠太には影の薄さを利用して敵情視察をしてもらう」
「……了解」
「そして雲母だが……まあこの話は本番にしよう」
「うえ!? なんで?」
「まあ気にするな。あとは各々に細かいことは伝えよう。それと宮、おまえがこのまえ副会長に貰ってたやつだが……」
「ああ、あのペンダントみたいなやつね」
「それは調べたところ装備アイテムだ。ユキにつけてみろ」
「装備アイテム……なんかゲームみたいだ。ユキ、くびをこっちに向けて」
「ほいよ」
しかしこのペンダントユキには大きすぎるんじゃ……
ひゅん
「おお! ちょうどいいサイズに縮んだ!」
「どうだ似合うか?」
「ユキちゃんかわいいです!」
「お、おう。ありがとう結城……でもどうせならかっこいいのほうが……」
「それの効果なんだが、ユキこっちこい」
「ん?」
ぼこっ!
「「痛い!!」」
「なんでなぐるのさ隼人!てかなんでユキが殴られたのに僕も痛いのさ!」
「そう、それがこれの効果だ」
「それって意味ないじゃん!」
「そんなことないぞ。そのペンダントはケモノとの意思疎通をより正確精密にそして速くしてくれるんだ。痛覚の共有もその一部だな。つまりユキはこれまで以上に速く動けてそして相手の動きを二次的に捉えて避けられるということだ」
「「な、なるほど」」
「あはは! 二人とも揃ってる!」
「「そんな笑うことないだろ雲母!」」
「ふふふっ」
「「結城 (さん)まで!」」
むっ
こんなちみっこいのと同じなんて恥だ。
「ご主人だいたいきもち伝わってるからな?」
「これを利用して宮には結城の盾以外にやってもらうことがある。それは……」
短くてすみません。