生徒会とケモノテスト3
生徒会編終わりです。
「いよいよ次は僕の番だね」
僕はキリッとした声でそう言った。
「まあがんばれー」
「うん頑張ってー」
「がんば……」
「なんかすごい棒読み感あるよ!?」
「だって宮だしな」
「うん宮だからね」
「宮……か……」
「そんなに期待ないの!?」
そんな馬鹿な……
『頑張って!宮しかいないんだ!』的なこと言われると思ってた……
「迦具土くん!頑張ってください!」
「もう応援してくれるのは結城さんだけだよ!」
ああ、唯一の僕の清涼剤。
あとは全部汚物だ。
「おまえいつか友達無くすぞ……」
「隼人までついに僕の心の声を!?」
「いや普通に声にでてたぞ」
まあそんなこともあるだろう。
いやまて、ということは結城さんに清涼剤も聞かれていたのか!?
「ゆ、結城さん!」
「はい?」
「清涼剤というのはですね!結城さんのシャンプーの匂いがあまりに良くてまるで悪臭をも吸い取ってしまいそうだという意味でしてね!?」
「宮、それだと変態と最低の2つを同時に告白しているようなものだぞ」
な!?完璧なごまかしだと思ったのに!
「そろそろいいかな?迦具土くん」
「あ、次の相手佐々木さんなんですね。会長だから最後だと思ってた」
「私と君の件なのだから私と君が戦うべきよ」
よく分からない理由だけどまあいっか。
ん?ここで生徒会長倒しちゃったら僕すごい見直されるんじゃ?
『宮くん流石だね!宮くんは僕らの憧れだよ!』な〜んてね〜。(ニヤニヤ)
「分かりましたよ会長!正々堂々お互い全力を尽くして戦いましょう!」
「あれは下心満載ね」
雲母の言葉なんて聞こえない。
「それではいきましょうか。召喚!!」
「いけい!ユキ!」
「やっと出番かいご主人。」
僕はもともとユキをつれていたから召喚しなくてもいいのだ。
佐々木さんのケモノは……
白に輝く毛、なんでも引きちぎりそうなキバ。
そして全てをなぎ払えそうな咆哮。
「会長のケモノはなんと白虎だあぁぁ!いままでのケモノとは威圧が違うぞ!!ちなみに司会の野々 乃々花です!」
「ふっふっふ〜。見栄えだけの猫ちゃんとは実力が違うのだよ〜」
「おまえねずみなんだから猫天敵でしょ……てか普通にもはや猫に見えない……」
「いくぜ!みよこのスピードを!」
ユキはものすごいスピードで虎へと向かっていった。
ポコんっ
プチッ
「「え……」」
激突のダメージの無さとあまりにもあっけなく踏み潰されてしまったことにみんな呆然となった。
「しょ、勝者会長!!」
「宮、期待通りだ(グッ)」
「負けることへの!?」
しかしこれで2勝2敗……
つまり勝負の行方は……
「頑張って結城さん」
「はい!いってきます」
両者が並ぶ。
やはり最後は副会長のようだ。
「僕の名前は鳥井 和利だ。この勝負に勝ったら個人的に欲しい人材がいる。かわりに僕が負けたら君たちのある物を捧げよう」
え、それって誰か女の子が欲しいってこと?
それに負けたら何か捧げるっていうことはそうとう好きなんだなあ……
(おい……あいつ宮のこと見てるぞ。これってまさか……)
(うん、そのまさかみたいね……)
(本人気付いてないな……)
(そっとしておきましょう……どんな形でも恋は恋なのよ!)
(面白がってるだけだろ?)
(さあなんのことでしょうかー)
「さあ本日のラストバトル!最近引っ越してきたばかりの結城さん!実力はいかほどなのか!」
「「召喚!」」
副会長のケモノはどんなのだろう。
ケモノの召喚特有のエフェクトがかかり、副会長のケモノの姿が少しずつ見えてきた。
大空を駆けまわれる翼、それはまるで鳥だがそれにしては豪華すぎる。
「鳳凰!?」
化物のレベルこえてるでしょ……
でも結城さんだってきっとすごいはずだ……
理由は可愛いから!
にゃー
……猫?
いやそりゃ可愛いとは言ったけど猫か。
なんか強くは無さそう……
「鳳凰!焼き尽くせ!」
口から炎とかでるのかよ……
無敵じゃないか……
「たま!避けて!」
!?
すごいぞ、あの炎を全部避けている。
「次にひっかく攻撃よ!」
次はものすごいスピードからのひっかき。
速すぎて鳳凰も見失っている!
しかし流石の鳳凰だ。あんなに攻撃を食らって体力が底を尽きない……
「飛んで距離を置くんだ!向こうはこっちに攻撃を当てられない!」
むっ、考えたな。
ちなみにこの学園は結構豪華で広いので、あの大きな鳳凰が多少飛んでも大丈夫なのだ。
鳳凰の大きな羽が宙を舞い落ちてくる。
「たまちゃん!」
たまは結城さんの意思を読み取ったのかその場でジャンプした。
しかしそれでは流石に届かないだろう……
シュッ!
「な、なんとたま選手!宙に舞ってる羽を土台にジャンプを連続で行っている!」
「なっ!?」
「たまちゃん!ラスト!」
シュピン!
「勝者結城さんとたま!つもり3対2で生徒会の負けだあぁぁ!!」
「「「うおおぉぉ!!」」」
観客がどよめいた。
それもそうだろう、僕たちは最下位クラスなのだから。
「すごいよ結城さん!僕感動しちゃったよ!」
「そんな照れてしまいますよ」
結城さんは照れながらも嬉しそうだ。
「る〜な〜!」
「うわっ!?」
雲母が結城さんに抱きついてきた。
……けっして羨ましいなんて思ってないぞ!
「迦具土くん」
「会長」
「今回は私たちの負けよ。君たちの補習の件はなしということで。でも勉強はちゃんとしなさいよ?」
「は、はい……」
負けたのにしっかりと釘を刺してくる、流石会長だ……
「あとこれ副会長から」
「え、ああ。あの戦いの賭けですね」
「本人すごく悔しがっていたわよ」
やっぱり好きな人がいたんだ。
雲母かな、結城さんかな。
(ぷくくっ!だ、だめ笑いをこらえるのよ!)
「なんだろうこれ?」
ネックレス?
「宮くんにぴったりなものよ。それではじゃあね」
そう言って会長は去っていった。
「宮なにもらったんだ?」
隼人が聞いてきた。
「分からないけど僕にピッタリなものだって……」
「じゃあ宮くんが持っていてください」
「え!?いいの?これ結城さんが勝ち取ったものなのに……」
「宮くんにぴったりなら宮くんが貰ってください。え、えと。そのかわり、といってはなんですが。その……」
なんだかもじもじしてて言いにくそうだ。
「今度、お買い物一緒に行ってくれませんか!?」
へ?そんなことで?なんで僕と?
「え、いえ!そのお荷物を持ってほしいと思いましてね!?(アセアセ)」
「あ、ああそういうこと。それなら前世構わないよ!」
なーんだてっきり結城さん僕のこと好きなのかと。
そんなわけないか。
(結城って宮のこと好き……なの……?)
「これは面白いことになりそうだな」
「どうしたのさ隼人ニヤニヤして」
「いやちょっと昼ドなんでもない」
隼人はよくわからないな。
「結城さん、いつにしようか?」
「では今週の土曜日でお願いします」
「了解!」
(土曜日……)
「がんばれー雲母」
「ううぇい!?隼人!な、なんのこと!?」
「分かってるからさ(ニヤニヤ)」
向こうはなにを話してるんだろうか。
楽しみだな。
まあデートみたいなものだし?
というかデートっていってもいいだろう!
とりあえず一章終了ですかね。