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俺のように醜い獣が、あの美しい花に焦がれている姿はさぞかし滑稽だろう。
春の日、鼻先に降り注ぐ花びらのように、彼女はいつも俺を包み込んでくれる。
……俺に、抱かれてもいいと言った。
サクラ! お前は、それがどういうことなのか、本当にわかっているのか?
張り付いたような肉球は人間の指のように器用に動きはしない。口だって、こんなに大きくては、お前の小さな唇にぴったりと沿わせることはできないだろう。
どんなにお前を愛していようとも……いやむしろ、愛しているからこそ、俺がお前に注ぐ愛の形は、お前を嘗め回し、喰らい尽くす獣でしかない。
おまけに俺の中には、あのサディスティックな男と同じ心が潜んでいるに違いない。
泣かせても、引き裂いてでもお前に俺を刻み付けてやりたい。獣の本能に任せて、ただただ汚い俺の欲望で、ぐちゃぐちゃになるまで抱きつぶしたい。
……そんな俺で汚したくないからこそ、
ただひたすらに、優しくしてやりたい。舞い散る桜の下に立っているときのような、静かな気持ちで、優しさだけをお前に注ぎ込んでやりたい。
もうすぐ、彼女の月経も明ける。
そのとき、獣は花を抱く。




