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第93話 仮面の奥


 白い閃光が消えたあと。


 砦の中心に、静寂が落ちた。



 黒と蒼が拮抗していた空間は、いま歪みを残したまま震えている。



視聴者:1,024,002,441

【割れた】

【仮面ヒビ入った】

【正体見える!?】



 黒幕は一歩、後退していた。


 仮面の中央。


 蒼が触れた部分に、確かな亀裂。



「……上書きだと?」


 低い声が、わずかに揺らぐ。



 レインは何も言わない。


 蒼の紋様が、静かに広がる。


 封鎖式の内部へ、さらに深く。



 黒幕の背後の鎖が、ざわめいた。


 空間に固定していた鎖の輪が、微かに歪む。



視聴者:1,028,441,882

【効いてる】

【黒の領域揺らいでる】

【押せ押せ】



 黒幕が両手を広げる。


 砦地下の簡易原脈炉が、強く脈打つ。


 黒い出力が跳ね上がる。



 再生していた鎖兵の数が倍化する。


 砦の壁、地面、空間の隙間から、次々と湧き上がる。



視聴者:1,032,002,441

【物量で来た】

【第二波】

【めんどくさ強い】



 白銀の騎士が盾を叩きつける。


 槍騎士の蒼光が三体を同時に貫き、


 黒衣の魔術師が上空に多重紋様を展開し、落雷を走らせる。


 重装破砕型が、砦中央へ踏み込む。



 だが、黒の供給が止まらない。


 砦そのものが、式の増幅器となっている。



 エルフィナの声が鋭い。


「地下炉が完全同期に入ってる!このままだと黒幕の出力が跳ね上がる!」



 ミナが叫ぶ。


「レイン!」



 レインは、黒幕を見据えたまま答える。


「地下は任せろ」



 重装破砕型が方向を変える。


 地下へ。


 砕けた床をさらに抉り、原脈炉へ直行する。



視聴者:1,036,441,882

【ゴーレム任せた】

【二正面作戦】

【分業うま】



 黒幕が笑う。


「分断は愚策だ」



 その瞬間。


 黒幕の足元に、巨大な円環が展開された。


 今までより、明らかに濃い。



 黒い鎖が、空間そのものから引き抜かれる。


 砦の上空が裂け、闇が垂れ落ちる。



視聴者:1,040,002,441

【空間裂けた】

【ガチモード】

【黒幕本気】



 蒼の領域が、押し返される。


 封鎖式が再び厚みを増す。



 レインは、ようやく一歩前へ出た。



 足元に紋様が浮かぶ。


 それは今までよりも細かく、緻密だった。



「未完成なのは、お前の式だ」



 蒼が、黒円環へ触れる。


 ぶつかるのではない。


 隙間を探す。



 黒幕の式は、出力に依存している。


 精度よりも、量。



 レインの蒼は逆だ。


 量ではなく、接続。


 構造そのものへ干渉する。



視聴者:1,044,441,882

【理論派主人公】

【式の差】

【精度勝負】



 黒円環の縁が、わずかに歪む。


 そこへ蒼が食い込む。


 静かに、確実に。



 黒幕の仮面に走った亀裂が、さらに広がる。



「……っ」


 初めて、黒幕が息を乱した。



 その瞬間。


 地下から、轟音。



 重装破砕型が、簡易原脈炉を叩き潰した。



 黒の供給が、急激に落ちる。



視聴者:1,048,002,441

【コア破壊】

【供給止まった】

【形勢逆転】



 鎖兵の再生が止まる。


 砦全体の黒い輝きが、薄れる。



 レインの蒼が、一気に押し込む。


 黒の封鎖式が、ひび割れる。



 パキン、と。


 仮面が、半分砕け落ちた。



視聴者:1,052,441,882

【顔見える!?】

【正体くる】

【ここで止めるなよ】



 だが。


 砕けた仮面の下は、闇。


 顔は見えない。


 黒い式が、覆っている。



 黒幕は後退する。


 周囲の空間が再び歪む。



「……次は、完成させてから来よう」



 黒い鎖が、砦の残骸ごと引き裂く。


 空間転移。



 姿が、消えた。



視聴者:1,056,002,441

【また逃げた】

【でもボロボロ】

【勝ち逃げではない】



 砦を覆っていた黒の封鎖式が、崩壊する。


 夜風が戻る。



 レインは、消えた地点を見つめる。


 蒼が、静かに揺れる。



「……波形は残った」



 エルフィナが頷く。


「次は、もっと深い場所」



 ミナが拳を握る。


「追える?」



 レインは答える。


「追う」



 丘陵の向こう。


 さらに北。


 黒の痕跡が、細く伸びている。



 蒼の紋様が、再び静かに広がった。



(第93話・完)

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