第45話 地下に続く鎖と、沈黙する人々
――砂の町。
夜が明けても、
空気はまだ冷えたままだった。
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町を守ったはずなのに。
誰も、笑っていない。
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解放されたはずの人々は、
どこか怯えた目をしていた。
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レインは、その理由を知っている。
視線の先。
町の中央――
崩れた井戸跡。
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あの大蛇が現れた場所。
そして。
地下へ続く、
人工の階層遺構。
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視聴者:152
【行くのか…】
【絶対やばい】
【フラグの匂い。プンプンプン】
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老人が、震える声で言った。
「……もう、十分です」
「あなたは町を救ってくれた」
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だが。
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「……下には、
まだ“いる”んです」
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沈黙。
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「連れていかれた者たちが……」
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レインの足が、止まる。
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「……戻ってきた者は?」
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老人は、
ゆっくり首を振った。
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視聴者:181
【あっ…】
【察した】
【生き埋め感】
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風が吹く。
砂が、静かに流れる。
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レインは目を閉じ、
小さく息を吐いた。
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「……分かった」
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次に目を開いたとき。
そこにあったのは、
迷いではない静けさ。
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「行く」
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視聴者:205
【きた】
【主人公ムーブ】
【頼むぞ…】
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崩れた井戸の縁へ、
一歩。
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暗い穴の奥から、
乾いた風が吹き上がる。
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――冷たい。
生き物の気配が、
ほとんどない温度。
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それでも。
微かに残る、人の匂い。
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レインは、
ためらわず降りた。
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闇の中へ。
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視聴者:244
【地下ダンジョン編】
【探索回好き】
【でも怖い。でも好き】
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石の階段は、
長く、深く続いていた。
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一段、降りるごとに。
空気が、重くなる。
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魔力ではない。
もっと鈍い――
絶望の沈殿みたいな感触。
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やがて。
階段が終わる。
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広い空間。
天井を支える石柱。
そして――
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鎖の音。
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かすかに。
だが確かに。
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人の、息。
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視聴者:301
【いる】
【マジか…】
【やめてくれ】
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レインは、
静かに奥へ進む。
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松明の灯りが、
ゆらりと揺れた。
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その先にあったのは。
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檻。
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そして。
痩せ細った人々。
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鎖につながれ、
地面に座り込んだまま、
力なく俯いている。
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視聴者:388
【うわ…】
【きつい】
【これ無理】
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誰も、声を出さない。
助けを求める力すら、
残っていない。
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ただ。
足音に反応して、
一人の少女が顔を上げた。
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乾いた瞳。
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希望を忘れた目。
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「……また、
連れていくの……?」
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その言葉が。
静かに、
胸へ刺さる。
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視聴者:452
【だめだこれ】
【リーン!】
【ケーン!!】
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レインは、
何も言わない。
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ただ。
檻に近づき――
鎖を見る。
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魔力封印。
強制労働用の刻印。
そして。
奥へ続く、
巨大な採掘坑道。
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理解する。
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ここは。
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鉱山だ。
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人を使い潰して掘らせる、
地下の牢獄。
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視聴者:510
【鉱山きた】
【胸糞案件】
【でも逆に燃える】
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そのとき。
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坑道の奥から――
足音。
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ゆっくり。
確実に。
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誰かが、来る。
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視聴者:566
【敵きた】
【中ボス?】
【空気変わった】
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暗闇の中。
最初に見えたのは――
槍の穂先だった。
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次に。
重い鎧。
そして。
冷たい声。
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「……新しい労働力かと思ったが」
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灯りの下へ、姿を現す。
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長身の男。
砂色の外套。
無表情の瞳。
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腰には――
異様に長い槍。
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「違うな」
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視線が、レインを貫く。
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「侵入者か」
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――その瞬間。
檻の奥の少女が、
かすれた声を振り絞った。
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「だめ……!」
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震える指が、
必死にレインを指す。
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「その人には……
勝てない……!」
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息が詰まる。
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「お願い……
逃げて……!」
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それは。
自分の命より先に、
他人を案じる声だった。
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視聴者:603
【やめてくれ…】
【守りたい】
【胸が痛い】
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男は、
わずかに首を傾けた。
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「ここは――
“選ばれた者”の採掘場だ」
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「勝手に入っていい場所じゃない」
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静かな殺気が、広がる。
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檻の中の人々が、
さらに身を縮めた。
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レインは――
ようやく、口を開く。
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「……選ばれた、ね」
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その声は。
怒りでもなく。
冷たさでもない。
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ただ。
静かすぎる静けさ。
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視聴者:690
【このトーン来た】
【無双前のやつ】
【心臓バクバク】
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男が、槍を持ち上げる。
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「安心しろ」
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「すぐ終わる」
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次の瞬間。
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空気が、裂けた。
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(第45話・完)




