第16話 触れた場所から、世界は変わる
――巨大な影は、
完全に静止していた。
腕を振り上げたまま、
空間ごと凍りついたように。
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【また止めた…?】
【いや前と質が違う】
【重力おかしくない?】
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違う。
これは――
止めていない。
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ただ、
まだ触れていないだけだ。
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ゆっくり一歩、前へ出る。
土を踏む感触が、
わずかに変わる。
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その瞬間。
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足元の大地に、
淡い紋様が広がった。
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【新演出きた】
【魔法陣じゃない何か】
【仕様変わった?】
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止めてもいない。
消してもいない。
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ただ――
“置いた”だけ。
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境界を。
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巨大な影が、
わずかに軋む。
動こうとしている。
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だが。
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足元から、
石の柱が静かに伸びた。
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一本。
また一本。
音もなく、
影の四肢を囲む。
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【生成系きた】
【地形ごと支配】
【チート第二形態】
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リュシアの呼吸が止まる。
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「……なに、それ」
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答える必要はない。
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ここはもう――
俺の内側だからだ。
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手を軽く動かす。
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柱が、
ゆっくりと閉じる。
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圧縮。
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轟音すらないまま、
巨大な影の体が
形を保てなくなる。
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【静かな処刑】
【音ないの逆に怖い】
【格が二段上】
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次の瞬間。
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影は、
砕けることもなく――
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石の中へ溶けた。
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残ったのは、
静かな遺跡だけ。
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風が戻る。
森の音が戻る。
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【終わり方こわ】
【演出SSS】
【静寂系無双すき】
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リュシアが、
一歩も動けずにいる。
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天才の目が、
初めて理解を拒んでいた。
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「……そんな……」
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「魔法じゃ、ない」
かすれた声。
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「でも……
現象でも、ない……」
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正しい。
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これは――
支配だ。
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空間でも。
物質でも。
魔力でもない。
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境界そのもの。
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小さく息を吐く。
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そのとき。
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遺跡の奥で、
わずかな歪みが走った。
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【まだ続くのか】
【第二波くる?】
【嫌な静けさ】
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違う。
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今度は、
見ているだけ。
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もっと遠く。
もっと上。
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世界の外側から。
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そして――
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初めて。
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**わずかな“興味”**を
向けてきた。
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【ロックオンされた】
【神に見つかった感】
【ここから本章】
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リュシアが震える声で言う。
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「……あなた、
いったい……何?」
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少しだけ考える。
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答えは、
まだ分からない。
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だから。
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「……さあな」
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それだけ言って、
歩き出した。
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だが背後で。
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リュシアの世界は、
完全に変わっていた。
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(第16話・完)




