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第14話 境界の外、最初の一歩

 ――王都を出て、半日。


 街道の喧騒は消え、

 周囲には静かな森が広がっていた。



【新章フィールドきた】

【ここから本番感】

【冒険始まってて草】



 風が、ゆっくり木々を揺らす。


 穏やかだ。

 戦いの気配もない。


 だが――



 妙に、静かすぎる。



 足を止める。



「……レイン?」


 隣でセリスが小さく首を傾げる。



「気づかないか」



 周囲を見渡す。



「音がない」



 鳥の声も。

 虫の羽音も。

 風に擦れる葉のざわめきさえ――



 途中で途切れている。



【嫌な静けさやめろ】

【フラグ立った】

【初エリア絶対来る】



 その瞬間。



 地面の影が、

 ゆっくりと浮き上がった。



 黒い。


 だが第8話の影とは違う。


 もっと薄く、

 もっと現実に近い。



 影が形を持つ。



 人型。



視聴者:12,487,221


【新種モンスター】

【雰囲気つよい】

【空気重すぎ】



 セリスが剣に手をかける。



「……私が」



「いや」


 短く止める。



 一歩、前へ出る。



【もう行くの!?】

【主人公ターン即】

【安心と信頼】



 胸の奥の鼓動は、

 静かだった。


 王都で感じた圧も、

 上位存在の気配もない。



 だから分かる。



 これは、試しだ。



「……様子見ってわけか」



 黒い人型が動く。


 速い。


 だが――



 第8話の影ほどじゃない。



【比較できてるの強い】

【まだ余裕ある】

【これは勝ち演出】



 踏み込まれる前に、

 手を軽く上げる。



「止まれ」



 ――静止。



 空気ごと、

 ぴたりと凍る。



【外でも通常運転】

【チート継続確認】

【安心感バグ】



 セリスが小さく息をのむ。



「……今の、前より自然だった」



「距離が縮んでるだけだ」



 事実だった。


 ダンジョンとの繋がりは、

 確実に強くなっている。



 ゆっくり近づく。


 動けない影の前まで。



「悪いな」



 指先を、

 軽く触れさせる。



「――終わりだ」



 次の瞬間。



 音もなく、霧散。



 影は、

 跡形もなく消えた。



【はい優勝】

【テンポ良すぎ】

【この爽快感よ】



 静寂が戻る。


 森の音も、

 ゆっくり帰ってくる。



 だが。



 終わりじゃなかった。



 空の奥。

 ほんの一瞬だけ――


 歪みが走る。



【来てる来てる】

【上位存在ログ監視中】

【怖さの質が違う】



 胸の奥の鼓動が、

 わずかに重くなる。



 さっきの影とは、

 まったく違う。



 もっと遠い。

 もっと深い。



 格が違う。



 セリスも気づいたのか、

 小さく息をのむ。



「……今の、何?」



「……本命じゃない」



 短く答える。



「ただの――

 挨拶だ」



【挨拶の圧じゃない】

【スケールおかしい】

【神章の気配】



 空の歪みは、

 すぐに消えた。


 まるで最初から

 何もなかったように。



 でも分かる。



 確実に近づいている。



 小さく息を吐く。



「……行くか」



 前を見る。


 森の奥。


 まだ誰も知らない、

 新しい領域へ。



 その一歩が――



 世界の外側へ続いているとも知らずに。



視聴者:12,487,221(変動なし)



(第14話・完)

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