第12話 世界が、頭を下げた日
――沈黙が、
広場を覆っていた。
誰も動かない。
誰も声を出さない。
ただ一つ。
国家の決断だけが、
宙に吊されたまま止まっている。
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視聴者:842,119
【息止まる】
【はよ】
【心臓バグる】
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高官の額から、
汗が落ちた。
震える指先。
揺れる呼吸。
王国の歴史の中でも、
前例のない瞬間。
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S級を守るか。
核保持者に跪くか。
どちらを選んでも――
世界が変わる。
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長い、長い沈黙。
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やがて。
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高官が、
ゆっくりと口を開いた。
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「……王都中央評議会、
本件の最終判定を通達する」
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空気が、
完全に止まる。
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【来るぞ】
【心の準備できてない】
【無理無理無理】
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「蒼天の牙による――
核保持者レインの追放、資産剥奪、
および三年間にわたる不当拘束行為を」
一拍。
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「国家反逆級不正と認定する」
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どよめきが、
遅れて爆発した。
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視聴者:6,502,884
【うおおおお】
【反逆判定きた】
【完全終了】
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リーダーの男の瞳から、
光が消える。
三年間。
俺が味わった“無力”と、
同じ色だった。
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だが――
まだ終わらない。
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高官は続ける。
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「よって、蒼天の牙のS級資格を
永久剥奪」
「全資産を
国家管理下へ没収」
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群衆が揺れる。
歓声でも、悲鳴でもない。
歴史が動く音だった。
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【公式制裁】
【重すぎ案件】
【震え止まらん】
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それでも。
まだ終わらない。
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高官の声が、
さらに低くなる。
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「加えて――」
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全員が息を止めた。
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「国家は、
核保持者レインに対し」
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ゆっくりと。
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「最高位の謝罪を宣言する」
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世界が、
凍りついた。
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【は???】
【国家土下座案件】
【歴史確定】
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次の瞬間。
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高官が膝をついた。
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騎士団も。
文官も。
兵士も。
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一斉に頭を垂れる。
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広場の中心で、
立っているのは――
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俺、ただ一人。
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【鳥肌やば】
【頂点演出】
【ガチ泣き】
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静かだった。
歓声もいらない。
称賛もいらない。
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三年前。
欲しかったのは――
こんな光景じゃない。
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ただ。
普通に立つ場所だけだった。
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だから。
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「……もういい」
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小さく、呟く。
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高官が顔を上げる。
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「処罰も、謝罪も、
好きにすればいい」
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静かな声。
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「でも俺は――
もう戻らない」
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その一言で。
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すべてが終わった。
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【完全勝利演出】
【美しすぎる締め】
【主人公力カンスト】
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振り返る。
もう、この場所に用はない。
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一歩、歩き出す。
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その瞬間。
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空の奥で――
微かな歪みが走った。
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誰にも見えない。
だが。
俺には分かる。
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あれは、
さっきの“裂け目”より――
さらに上。
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世界の外側。
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そこから。
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愉しそうに、見ている。
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【空気変わった】
【まだ続くやつ】
【次のボス来る?】
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小さく息を吐く。
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「……いいよ」
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空を見上げる。
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「来るなら、来い」
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その瞬間。
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見えないはずの“向こう側”で――
何かが、確かに笑った。
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(第12話・完)




