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第11話 裁きは、まだ下されない

 ――王都全域に、

 緊急鐘が鳴り響いた。



 本来は、

 国家級災害の時だけ鳴る音。


 それが今、

 昼間の空を震わせている。



【何事何事】

【戦争フラグ立った?】

【いや配信案件だろこれ】



 中央通りは、

 人で埋まっていた。


 市民。

 兵士。

 貴族。


 全員の視線が、

 ただ一方向へ向いている。



 王都中央広場。


 そこに設けられたのは――

 即席の聴取台だった。



【公開処刑コース?】

【展開早すぎて草】

【国ガチでパニック】



 広場の中央。


 鎖で拘束された集団が、

 膝をつかされている。



 《蒼天の牙》。


 かつて王都最強と呼ばれた、

 S級パーティ。



【初期メンきた】

【本当に捕まってる】

【空気エグい】



 リーダーの男が、

 歯を食いしばる。



「……なぜだ」



 誰にも聞こえない声。



「なぜ俺たちが、

 罪人のように扱われる……」



 だが。


 答えは――

 広場の外から現れた。



【来た】

【一瞬で静かになった】

【本体登場】



 人の波が、

 左右に割れる。



 俺だった。



 ざわめきが、

 一拍遅れて押し寄せる。



視聴者:2,100,000



【200万は草】

【国の人口超えてね?】

【伝説更新中】



 何も言わない。


 ただ立つ。



 それだけで――

 広場の音が消えた。



 高官が、

 震える声で告げる。



「核保持者レイン……

 本件の聴取を開始する」



 だが。


 次の言葉が続かない。



 判断できないのだ。



 目の前の存在を、

 どう扱えばいいのか。



【国フリーズ中】

【判断バグってる】

【そりゃ無理】



 長い沈黙。



 そのとき。


 拘束されたリーダーの男が、

 顔を上げた。



 目が合う。



 三年間。


 何度も見た目。



 だが今は――

 完全に逆だった。



「……レイン」



 かすれた声。



「戻ってきてくれ」



 広場がざわつく。



【今さら!?】

【遅すぎて泣く】

【それは刺さる】



 少しだけ、

 考える。



 怒りは、なかった。


 憎しみも、

 もう残っていない。



 ただ。



「……もう、遅い」



 静かな言葉。



 それだけで、

 男の顔から血の気が消えた。



 だが。


 それでも。



 裁きは、まだ下されない。



 高官が、

 震える手を握る。



 国家は今、

 決断できずにいる。



 S級を切るのか。

 核保持者に跪くのか。



 どちらを選んでも――

 歴史が変わる。



【国家詰み盤面】

【重すぎて無理】

【息止まるやつ】



 そのとき。



 空の奥で、

 わずかな軋みが走った。



 誰も気づかない。


 だが俺だけが、

 はっきりと感じる。



 ――見ている。



 世界の外側から。



 この裁きを。



 小さく息を吐く。



「……早く決めろ」



 静かな声。



 それだけで、

 広場の空気が凍った。



 国家の命運も。

 元S級の未来も。



 すべてが――

 次の一言に懸かっている。



(第11話・完)

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