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44-1・全員集合

 石橋を駆け、城門を通過して下庭に到着したら、ほぼ同時に“下がり藤の旗”を掲げて赤い鎧を着た3人が南城門から飛び出してきた!


「武藤さん!旗を持ってきたんだ!?」

「私等は藤原組だ!フミヤが残したもんを持ってくんのは当然だろ!」

「うん!そうだねっ!持ってきてくれてありがとう!」

 

 これで、真田さん、吉見くん、北条くん、武藤さん、我田さん、長野さん、上杉さん、由井さん、平家さん、輪島さん、そして僕の計11人が合流。

 市街地の南側では龍造寺先生と楠木くんが帝兵を足止めしており、西側ではツカさんと若林さんがセイ軍の援護をしている。


「南の城門前にも中ボスいた?」

「うん。アジット親衛隊のムラサって人がいたよ」


 質問に対して吉見くんが答えてくれたけど、新たな疑問が湧く。僕等の班には戦闘系の特殊能力保持者がいるから中ボスを倒せたけど、南班は非戦闘系の3人だけ。どうやって倒したんだろう?


「ムラサって人、僕等が目の前まで接近してるのに長々と口上を喋っていたから、

 我田さんの延髄蹴りで不意打ちして、武藤さんの飛び蹴りで体勢崩して、

 武藤さん&我田さんのダブルラリアートで橋の下の水堀に落として終わり」

「そんな簡単に?」


 吉見くん達は「ムラサは『この場に俺を倒せるヤツはいない』と考えている」「『接近されても怖くない』と思われている」と予想して、舐められている間に先制攻撃をして倒したのだ。


「多分だけど・・・僕等の特殊能力、チート側に筒抜けになってる。

 だから、ムラサって人から、だいぶ見下されていたんだと思う」


 帝城突入時の交戦で、吉見くんは「守備兵の士気が低い」と感じ、我田さんの特殊能力テレパスで揺さぶりをかけた。しかし、数分後には封じられた。


「念の為に確認をしたら、武藤さんの合成シンセシスは発動可能だったけど、

 僕の戦略ストラテジーも使えなくなっていた。

 あのタイミングでチートが妨害したかったのは、攻撃系の特殊能力ではなく、

 戦況を覆す可能性があるサポート系の特殊能力だったんだろうね」

「僕等の方は由井さんの能力アダプトを封じられたよ」

「由井さんの特殊能力なら、チートが認識できないうちに喉元まで迫れるからね」


 チートが吉見くんと由井さんの特殊能力を知っているわけがない。それなのに封じてきたのだ。


「これでハッキリした。

 どんな理屈かは解らないけど、間違いなく僕等の特殊能力はバレている」

「ヤバいね」

「確かに“初見殺し”ができないのは辛いけどさ、

 バレていることに気付かずに交戦して、

 悉く攻略されて動揺するよりはマシだよ。

 だけど、それよりも問題なのは・・・」


 チートに仕掛けて、攻撃が届く直前で安藤さんに封じられるのが一番の問題。こちらの手の内が筒抜け=「誰がどの間合いで特殊能力を発動するか」のタイミングがバレている。これでは、チートを倒す手段なんて無い。


「言わなくても解ってるだろうけど、あえて言うね」


 吉見くんが決意を秘めた眼で仲間達を見つめる。


「チートと交戦状態になる前に・・・最大の脅威を削ぐしかない」


 それは「最優先で安藤さんを討伐する」を意味している。


「対象は安藤さんだけじゃない。

 菅原さん、前田さん、和田さんの制圧。

 僕等にとっての不確定要素は、全て排除する」


 非情の判断だけど、この場にいる全員が承知をしている。


「チートと安藤さんに関しては、排除の一択。一切の例外は無し」


 チートと安藤さんの場合、その場しのぎの降伏を信用して、土壇場で「現実世界に帰る」に反対をされたら、こちらがやられる。甘さを捨てて、2人の意思は選択数から排除するべき。


「源君、武藤さん、2人は辛い役割を任せてしまうけど、頼んだよ」

「ああ、覚悟はできている。アイミは任せろ」

「チートは僕がなんとかする」

「輪島さん、チートと安藤さん、和田さんの位置確認お願い」

「うん!・・・富醒!コンパス!!」


 矢印は3つとも帝城の中央ベイリー側を向くが、和田さんだけが僅かに方向が違う。


「今の状況で、チート達が城を出て町の北西にいるとは思えない」

「この方角だと・・・チートと安藤さんは宮殿、和田さんは主塔かな?

 チートに服従をしてるわけじゃないから、離れたところに幽閉されてる?

 もしかして、菅原さんと前田さんも一緒かな?」

「可能性はあるけど、都合良く考えるのは禁止だよ。源君」

「・・・ゴメン」


 ダメだ。無意識に「甘い考え」を発言してしまった。頭では解っているんだけど、気持ちが付いてきてくれない。


「尊人!こーゆー時は、決意表明をするんだよ!」


 武藤さんが宮殿(安藤さんの方角)を睨み付けて息を大きく吸い込んだ。


「どーせ、そっから見てんだろ、アイミっ!!

 首を洗って待ってろよっ!!オマエとはタイマン勝負だっ!!!」


 宮殿からの反応は無いから、武藤さんの言葉が安藤さんに届いたかどうかは解らない。だけど、武藤さんは仲間達の前で声を発することで、「自分がやる」と気持ちに活を入れたのだ。


「主塔には僕が行く。由井さん、申し訳ないけど一緒にきて」

「うんっ!」

「残りは全部、源君と一緒に行動して」

「おうっ!」×たくさん

「諄いようだけど、もう一回言っておく!

 仲間が何人倒れても、中央ベイリーにいる5人を全滅させればこっちの勝ち!

 生き残るのが1人だったとしても、現実世界には帰れる!」


 最終確認を終えたところで、中央ベイリーの主城門から馬を駆るアジット小隊が向かって来た!

 ここからは力攻めだ!僕等は、それぞれの武器を装備して突撃をする!

 直後に、地面が揺れて足元を大きな影が通過!見上げたら、巨大若林さんに一跨ぎされていた!


「ぬおぉぉぉっっっっ!!!若葉アターック!!」


 巨大若林さんがインサイドキックで押し寄せてきたアジット小隊を弾き飛ばす!

 これは酷い。「真田さんが頑張って倒したパプールを平家さんが問答無用で瀕死にした」「パプールと同等の実力者と思われるムラサが喋ってる途中なのに武藤さん達が奇襲で倒す」どころの騒ぎではない。「真田さんが頑張って倒したパプール」と同格の20~30人が一瞬で全滅しちゃった。


「まだこんな所にいたのかよ?」

「とっくに宮殿に突入したと思っていたわよ」


 若林さんを背負ったツカさんと、龍造寺先生が追い付いてきた。

 やる気のあるトーバス親衛隊が外ベイリーに繋がる石橋を渡って押し寄せてきたけど、下ベイリーの城門に立った楠木くんが地震を発生させて、石橋を崩落させる。


「待たせたな!これで全員集合だ!」


 一瞬で挟み撃ちにされる危機が去った!凄まじく荒々しい援軍のおかげで視界良好!


「若林さんが宮殿にパンチすれば全部終わるんじゃね?

 このストーリーのタイトル『メガタのキョジン』で良いじゃん」


 真田さんが、大活躍をした巨大若林さんを見上げながら、不満そうに呟く。


女型メガタが主人公?

 それで終わるなら、吉見くんが発案してるよ」


 大きく手を振って巨大若林さんに呼び掛ける。


「若林さんっ!これ以上、チートを刺激したらマズい!巨大化を解除してっ!」


 こちらの手の内はバレている。巨大若林さんが暴れ続ければ、チートは間違いなく無防備な若林さん本人を狙う。ツカさんが守っているけど、チートが潰す気になったら、纏めて倒されてしまうだろうな。


 若林さんに巨大化を解除してもらい、僕等15人は、中央ベイリーを目指して主城門に向かう!



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