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43-4・アジット親衛隊

「黄色い兵達は、抵抗するフリをしてるだけ!

 無理に戦わなくても通してもらえるっ!」


 馬から下り、僕と真田さんと長野さんで、由井さん&北条くん&平家さん上杉さん&輪島さんを守りながら、少しずつ前に進む。


「由井さんは頑張って付いてきて!

 輪島さん達は、由井さんの干渉域から外れないようにっ!」


 大半の兵が「抵抗するフリ」なんだけど、希に気合いの入った兵がいるので、由井さん達を無防備にはできない。


「尊人くんっ!走ろうっ!」


 味方全員が通過したら、帝兵達は「抵抗するフリ」ができなくなる。だから、大半をこの場に残して、パルー騎士10騎を伴って防衛隊を抜けた。その先は、下ベイリーを隔てる深さ5mくらいの水堀があり、石の橋が架かっている。


「・・・あの人は?」


 橋の真ん中で、紫鎧を着て紫のマントを纏った戦士が、単身で剣を構えて立っている。


「『ここは何人たりとも通さん!』的な人かな?」


 アニメの類いはあまり見ない僕でも「このパターン」は解る。


「うん、こ~ゆ~ストーリーの『最終決戦あるある』の人だね」


 真田さんが同意をしてくれた。最終決戦中盤の山場っぽい。要は、あの人を倒さないと、下ベイリーにある下庭には行けないので、吉見くん達と合流できないのだ。


「我はアジット親衛隊のパプール!ここは何人たりとも通さん!!」

「うわぁ~・・・まんま言った」


 彼等はチート直属の親衛隊。我田さんのネガキャンではチートへの忠義が揺るがないっぽい。


「俺はパルー騎士団・ホワイ!」


 ホワイさんが馬から下りて前に進み出て、剣を構える!


「いざ参る!!」

「えっ?ホワイさんっ!?」


 ホワイさんが剣を振り上げて、アジット親衛隊のパプールって人に突進していく!ホワイさん、こんなことしてて良いの?引き連れてきた騎士大隊と歩兵連隊を指揮はどうするつもり?


「はぁぁっっ!ライトニングっっ!!」


 パプールって人が気合いを発したら剣から雷が発せられて、突進中のホワイさんを直撃する!


「うぎゃぁぁっっっっっ!!」


 ホワイさんが石橋から弾き飛ばされて、5mくらい下の水堀に落ちた!


「ホワイさん弱っ!マジか!?」


 ありがとう、ホワイさん。噛ませ犬をしてくれたおかげで、アジット親衛隊のパプールって人が「見かけ倒し」ではないってことが解りました。


「全員で由井さんのアダプト干渉下に入って素通りするのはどうかな?」

「えっ!?最終決戦中盤の山場をスルーするの?」


 弱気な提案と解釈されたらしく、真田さんからの疑問が飛んで来た。


「だって、倒さなきゃなのは、この先にいるチートでしょ。

 パプールって人、関係無いし、戦力は温存しなきゃじゃん」

「まぁ・・・そうだけど」


 真田さんの説得に成功して、「中ボス無視」を決めた直後に、僕は重大な違和感に気付いた。


「・・・あれ?由井さん、いつ特殊能力アダプト解除した?」

「んぇ?発動しっぱなしだよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 アダプト発動中なのに、由井さん&北条くん&平家さん上杉さん&輪島さんを存在をハッキリと認識している。そう言えば、黄色い防衛隊と戦っている時も、普通に由井さんに話し掛けていた。


「由井さんの特殊能力が封じられている?」


 先ほどは聞こえていた我田さんの声も聞こえなくなっている。


「我田さんっ!応答してっ!!」


 我田さんからの返答は無い。この状況で考えられるのは1つしかない。安藤さんの特殊能力スキルシールで由井さんのアダプトと我田さんのテレパスを封じられている。


「真田さんと長野さんは、特殊能力を使える?」


 レンタルを発動したら、目の前に複数の特殊能力カードが表示された。真田さんはゾーン状態を発揮できるし、長野さんの槍からは竜巻が発せられる。


「これでハッキリした。

 ネガキャンを封じられて、中ボス無視を無効化されてるよ」

「ズルは無し。

 アイツ(パプール)を倒さなきゃ、先には進めないってことだね」


 真田さんと長野さんがアイコンタクトをして無言で頷いてから前に出る。


「真田さん?長野さん?」

「ここは、私と早璃に任せてもらうよ!」


 長野さんが、威勢よく両手で槍を廻してから構えた!


「ちょっと待って!なら僕もっ!」

「尊人くんはチート討伐のために温存しなきゃでしょ!」


 真田さんが魔石ダガーを抜刀して構える!


「でもっ!」

「あたしのこと、信用してないの?」


 真田さんを危険に晒したくない。だけど、僕は、この世界にいる誰よりも、真田さんの強さを知っている。彼女が「守られる」を嫌うことも知っている。


「ヤバいと思ったら直ぐに退いてね」

「うん!ヤバくなったら頼らせてもらうね」 


 真田さんは、僕が知る転移者の中で、一番努力をしている。彼女の今までの頑張りを否定したくない。


「富醒!ピークエクスペリエンス!!」 

「富醒!トルネードスピア!!」


 真田さんが先陣を切って突進!長野さんが後から続く!


「少女2人だと!?随分と舐められたものだ!」


 パプールが翳した剣から雷が発せられて、真田さんに襲いかかる!


「バカにすんなっ!時代はジェンダーレスだってのっ!」


 真田さんが魔力電気を放電させたダガーを盾にして、雷を受け止める!雷は一定量がダガーに埋め込まれた魔石に吸収されるが、完全な相殺はできず、真田さんの動きを止めた(通電で全身が痺れている)!


「ぬぐぐっ!凪ちゃんっ!!」


 真田さんの真後ろを走っていた長野さんが横飛びで真田さんの脇に出て、槍の穂先から竜巻を放つ!


「仲間を盾にして俺を撃つ・・・か?見え透いているんだよ!」


 パプールは、剣を盾にして楽々と竜巻を受け止める!


「やあぁっっっ!」 


 剣から雷の放出が止まったので、真田さんが動き出した!一足飛びにパプールの懐に飛び込んで、ダガーを振るう!


「なにっ!?もう動けるだとっ!?」

「魔法防御をしてくれるのは、ダガーだけじゃないんだよねっ!」 


 ゾーンで相手の行動を先読みして相殺できる魔力を発し、ダガーの魔石を盾にして、更に銀の胸当てでダメージ軽減する!


「ここまでやっても痺れちゃうんだからアンタ凄いよ!

 でも、アンタじゃ、あたしを戦闘不能にはできないっ!」 

「舐めるな、小娘っ!」


 真田さんのダガーとパプールの剣がぶつかる!パプールは剣に炎の魔力を送り込み、行動の先読みをしていた真田さんは氷の魔力で相殺!しかし、剣術ではパプールに軍配が上がり、真田さんは弾き飛ばされてしまう!


「はぁぁっっっっ!!」


 その間隙に長野さんが飛び込んで、パプール目掛けて槍の穂先から竜巻を放った!


「えっ!?」


 トルネードが発せられない!


「それならっ!」


 長野さんは素早く突きの連打に切り替えてパプールに突進!パプールは剣を振るって槍の穂先を弾く!

 長野さんが押し戻されて数歩後退したところに、体勢を立て直した真田さんが飛び込んだ!パプールは体の向きを変えて、真田さんを迎撃する体勢になる!


「真田さんっ!突っ込んじゃダメだ!」


 嫌な予感がする。見えないところで戦いを監視している安藤さんが、特殊能力封印スキルシールの対象を変更したのではないか?だから長野さんはトルネードを発せられなくなった。そして、おそらく今の真田さんは、ゾーンによる先読みができない。

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