43-3・チートの城
当たり前なんだけど、帝城の城壁前は黄色い鎧を着た帝軍で固められている。5000人くらいはいるだろうか?
「ミコト殿!ここは我らがっ!」
追随をしていた白騎士のホワイさんが並走をして、「血路を開く」とサムズアップで決意を示す。
「ありがとうござ・・・・・・・え?なんで?」
何故、本陣所属のホワイさんがここにいる?敵の真っ只中にいる総大将を守らなくて良いの?
「ミコト殿が『共に行動しろ』と言ったではありませんか!」
言ったっけ?言ったとしても「ホワイさんの兵を貸してくれ」くらいじゃなかったっけ?
「ま・・・まぁ、いいや。来ちゃったもんは仕方無いですね。
じゃあ・・・お願いします」
「承知しました!
者共、俺に続けぇっっ!!」
ホワイさんの号令で、パルー騎士団の大隊&歩兵連隊が移動速度を上げ、僕等を追い越して帝城守備隊に突撃していく。
「アイツ(ホワイさん)使えね~・・・今、そう思ったでしょ?尊人くん」
「・・・ノーコメントで良いかな?」
ホワイさんの行為は嬉しいんだけど「小さな親切大きなお世話」です。
セイ軍の総大将(シリーガルさんのお婿さん)が討たれたらマズいので、既に解除済みの巨大若林さんをもう一回出現させて、セイ本陣を囲んでいる帝兵達を牽制するしかない。
「若林さんっ!ゴメンけど、もうしばらく西門付近で暴れてもらって良い?」
巨大若林さんを発動できる距離には限界があるので、若林さんには来た道を戻ってもらわなければならない。しかも、特殊能力の発動中は若林さんが完全に無防備になるので、護衛役の司も一緒に戻ってもらわなければならない。おかげで、帝城突入時の手札2人分を使えなくなってしまった。
「ちょっとマズいと言うべきか・・・、
穴だらけすぎてフォローが必要になってると言うべきか・・・」
ここまでが既に「綱渡り」状態。その場しのぎが積み重なって、偶発的に好転しているだけなので、ワンミスで穴が開いて総崩れを起こしそう。
藤原くんなら、勢いと「俺に付いて来い」的な力強さで進められるだろうけど、小心者の僕に、そんなスペックは無い。調子に乗れば、その先には落とし穴があるだろう。
「慎重に考えないと・・・ね」
残ったのは、僕&真田さん、北条くん、長野さん、上杉さん、平家さん、輪島さん&由井さん。北条くんの特殊能力は破壊力がありすぎて使えないし、平家さんの特殊能力は全裸にならないと使えないらしい。上杉さんと輪島さんは非戦闘系。この4人は由井さんの特殊能力で隠して、僕と真田さんと長野さんで交戦をするしかないかな?ちょっと不安なので、早く南組(武藤さん&吉見くん&我田さん&楠木くん&龍造寺先生)と合流したい。
帝城守備隊が矢や魔法を飛ばすが、パルー騎士大隊は軽々といなして突入!守備隊の陣形が崩れたところに歩兵連隊が雪崩れ込む!
西都市のエリート部隊と言われるだけのことはあり、パルー騎士団メッチャ強い!さすがは、主人を護衛する精鋭達だ!・・・隊長の頭がちょっとアレなので、ご主人様の護衛を放棄しちゃってるけどね。
「僕等の本番はここじゃないから、無理はしないでね!」
藤原組が、セイ軍の後から突入!
「富醒!アダプト!!」 「富醒・レンタル!ファイヤーウインドミル!!」
「富醒!ピークエクスペリエンス!!」 「富醒!トルネードスピア!!」
由井さんが北条くん&平家さん&上杉さん&輪島さんの気配を隠して、僕と真田さんと長野さんで守備兵を蹴散らして道を開く!
「どうなってんの?」
「あたし達が強くなったってのはあるだろうけど・・・」
「帝兵が弱すぎる気がする」
戦いながら違和感を持った。帝兵の抵抗力が低すぎる。表面的な抵抗をしているだけとしか思えない。
〈オメー等、武皇チートに従う理由なんて無ーだろ!
武皇チートを引き摺り降ろして、先皇に復職してもらう!
私達は、この世界をどうこうする気は無い!
全部、この世界の住人に任せる!
力を貸せとは言わねーけど、邪魔をすんな!〉
我田さんなら、半径1㎞以内の相手の脳に、一方的に声を送ることができる。
「今、聞こえた?」
「うん、聞こえた!」
脳内に「我田さんの声」が聞こえて理解できた。南組の我田さんが特殊能力を発動させて、帝兵達の戦意を削いでいるのだ。
「吉見くんの采配かな?」
南組(武藤さん&吉見くん&我田さん&楠木くん&龍造寺先生)が近くまで来ている。昨日の作戦会議で、帝都突入の手順や役割は入念に打ち合わせたのに、帝城攻略は特に打ち合わせなかった。それは、「打合せは必要無い」「帝城の範囲なら我田さん1人で無力化できる」という吉見くんの算段があったからなのだろうか?
「我田さんっ!近くにいるの?」
〈帝城の南側にいる!〉
「みんな一緒なの?」
〈一緒にいるのは、武藤と吉見と紅武者隊だ!
楠木とセンコーは追っ手を蹴散らしているから少し遅れてる!
吉見からの伝言『このまま今いる場所から突入して下庭で会おう!』だとさ!〉
「了解っ!」
僕は、戦場での我田さんの役割は「伝言係」くらいに考えていた。我田さんを拡声器にして、敵軍の士気を下げるなんて発想は全く無かった。
「なんで吉見くんは、こんな発想ができるんだろう?」
改めて「彼がチート側ではなくてよかった」と感じる。




