表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/111

42-3・藤原組の役割

「秘境者を均等配置すれば、ある程度は対抗できるのでは?」


 白騎士のホワイさんが提案するんだけど、僕はそれすら思案せずに喋るほどバカではない。

 前線で戦える攻撃スキル、及び、補助スキルを持っているのは、真田さん、長野さん、平家さん、ツカさん、楠木くん、若林さん、龍造寺先生、僕の8人。北条くんの特殊能力アトミックボムは、この世界が丸ごと消滅するので除外する。


「広い戦場でチートが暴れたら、僕等では勝負になりません」


 厄介なのはチートの特殊能力イメージだけではない。安藤さんの特殊能力封印スキルシールを発動されたら、僕等は無力化をして、敵騎士モブに討ち取られてしまう。

 菅原さん、前田さん、和田さんは、敵か味方か解らないので、「都合良く味方」ではなく「最悪のパターンを考慮して敵」とカウントしなければならない。


「全軍の中で、チートを足止めできるのなんて、ブラークさんだけですよ」


 つまり、チートは北面のノス軍以外の膠着状態を崩壊させて、こちらを動揺させる。

 さっき、成り行きで沢山の人を戦いに巻き込んでしまったことを後悔したばかりなのに・・・僕は、戦局を膠着させないためには、沢山の犠牲者が出るであろう「非情の衝突」しか選択肢が無いと思っていた。・・・だけど


「さすがは源君。

 僕には、チートがそんなふうに動くことまでは予想できなかった。

 でも、解れば僕の特殊能力ストラテジーで裏をかける!

 しかも、意図的に戦局の膠着状態を作って・・・ね!」


 それまで黙って会議の成り行きを聞いていた吉見くんが自信のある笑顔を浮かべる。


「チートが最も警戒をする戦場・・・源君は、東西南北のどこだと思う?」

「僕等がいる南と、ブラークさんが所属する北・・・かな」

「なら、真っ先にチートが介入して戦線を崩壊させる戦場は?」

「それは、さっきも言ったとおり、ブラークさんがいる北以外のどこかだよね」

「チートが無警戒の西と東は戦いが激化して、

 警戒する北と南の戦場が膠着したら、チートはどう動くと予想する?」

「南・・・僕等の戦場を叩く」


 宣戦布告をした藤原組(というか僕)が真っ先に潰される。そんなことになれば、間違いなく全軍の士気に影響を及ぼす。戦いの定石なんて知らなくても、誰でも簡単に思い付く戦略だ。


「だからこそ、あえて南と北を膠着させてチートの注目を引き付け、

 西か東で防壁を突破するんだよ!」

「え?え?」


 西都市セイ軍と東都市アーズマ軍に激戦を強いるってこと?そうしたところで、この世界の人だけで構成された西と東では、チートが動き出す前に大きな戦果を上げるなんて難しいのではないか?

 脳内が「?」だらけの僕とは対照的に、ブラークさんは理解をしたらしく大きく頷いた。


「ヨウスケと言ったか?見事な作戦だ。

 軍師としてオブシディア騎士団に欲しい人材だ」

「評価をしてもらえるのは嬉しいですけど、僕は源君専属の参謀です」

「ああ・・・解っている」


 吉見くんに「僕専属」と言ってもらえるのは嬉しい。でも、吉見くんとブラークさんが何を納得しているのか、全く解らない。


「ミコト達が『意図的に膠着をする南』で燻る必要は無いと言うことだ。

 城壁突破後の内部制圧を考慮するなら、兵数が多い西に託すのが最も確実だな」

「では、南都市サウザン軍には最低限だけ残して、

 藤原組の主力は、西の戦場に投入します」


 やっと理解した。明日、僕等は、チートからの警戒が薄い西都市セイ軍として戦うのだ。チートから「僕等は南の戦場にいない」と気付かれる前に帝都突入ができうかどうか?正念場は、戦いの火蓋が切って落とされた直後から始まる。


「ブラークさんは北の戦場での膠着をプロデュースしてください」

「任せろ」

「僕は南の戦場で膠着状態を演出する。

 旗頭の武藤さん、僕の作戦を伝達できる我田さん、

 『藤原組が南で暴れている』を印象付けるために龍造寺先生と楠木くん、

 南都市サウザン軍に残るのは、この5人。

 源君、津田君、北条君、真田さん、長野さん、上杉さん、由井さん、平家さん、

 輪島さん、若林さん・・・10人は西都市セイ軍に所属してほしい」


 これで、大枠が決まった。引き続き、僕等は「それぞれの戦場で藤原組が具体的にどう動くか?」の打合せをする。



「チート打倒の要となる源君、安藤さん打倒を受けてくれた武藤さん、

 君達に負担をかけてしまうのは申し訳ないと思う。

 だけど、友達討伐の責任を君達だけには背負わせない。

 いいね、全員で立ち会い、皆で背負うんだよ」


 危険は承知の上で、藤原組の全員が帝城に集合する。藤原組の皆が、吉見くんの作戦に納得をして頷いた。


「よーし!藤原組、円陣組むぞ!」


 旗頭・武藤さんの発案で、皆で円に並ぶ。


「真田!一声を入れろ!」

「えっ?なんであたしが?」

「裏リーダーはオマエだろ!」

「リーダーしてるつもりはないんだけどなぁ~」


 真田さんが困惑の目で僕を見たので、「真田さんが適任」と頷く。いつも背中を押してもらっているんだから、お返しで背中を押したい。


「よーし!あたしが『千幸せんこう高、ファイト』って言ったら、

 みんなで足で地面を叩きながら『おう』ね」

「部活動の大会じゃないんだから、そこは『センコー高』ぢゃないでしょ」 


 由井さんのツッコミが入る。


「ああ、そっか!『藤原組、ファイト』『おう』ね」


 真田さんの発起で一声に声を上げ、皆で気合いを高める。


「よーし、仕上げた!尊人!檄を飛ばせ!

 もちろん、藤原組だけじゃなくて、作戦会議に集まった各隊の幹部と、

 西に布陣してるセイ軍の全員の前でな!」

「・・・・・・・・・・・ん?」


 武藤さんの言ってる意味がワカラナイ。


「真リーダーはオマエなんだから当然だろ」

「僕が?」

「藤原組の全員、ブラークさんやホーマン嬢達、君がいたから繋がった輪。

 皆が、『本当のリーダーは源君』って思ってるよ」


 吉見くんまで便乗しやがった。


「もしかして自覚無かった?あたし達の中で一番頑張ってるの、尊人くんだよ」


 僕、いじめられてる?さっき、真田さんの背中を押した仕返し?不意打ちで思いっ切り背中を蹴飛ばされた気分です。


「・・・マジか?」


 皆の前で話すの超苦手。15人の藤原組の前で話すだけでも緊張するのに、15000人の前でスピーチしろってか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ