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些細な疑問②上府さんの示す未来像

「でも、尊人くんの気持ちは解るよ。

 シリーガルさんやバクニーちゃんがどうなるのか・・・

 ちゃんと幸せになってほしいもんね」

「だよねっ!」


 さすがは真田さん。心配する対象は限定されているけど、僕の疑問に同調をしてくれた。僕等は、シリーガルさんとバクニーさんを、この世界の表舞台に引っ張り出してしまった。「彼女達の幸せ」を案じるのは当然の責任と考えて良いんだよね。


「でも、あたしたちが現実世界に帰らずに、見守るわけにはいかないし・・・

 期限が来たら帰れなくなっちゃうし・・・

 帰るのを10日や20日くらい先延ばしにしても、

 この世界の行く末を見極めるなんて不可能だろうし・・・」

「・・・だよね」


 心配しても意味が無い→考える価値が無い。吉見くんの意見に戻ってしまった。


「バウラ-さんとロズさんやホワイさんにお願いして、なんとかなるかな?」

「安請け合いはしそうだけど、ちょっと不安だね」

「この世界に残っている“信頼できる人”に託すしかない・・・かな?

 ブラークさんとか」

「ブラークさんは軍人でしょ。

 ちょっと向いてないっていうか、軍事政権になっちゃいそう」

「そうなると・・・」

「託せるのは1人しかいないね」


 軍人ではない人。政治家ではないけど、類い希な経営手腕を持つ起業家・・・というかヤク○かな?とりあえず、ゼロから公爵と同等の権力者にまで成り上がった実績のある上府さんしか託せる人はいない。



「うわっ!エンコー中だっ!邪魔かな?どうする、尊人くん?」

「偶然、一緒になってご飯食べてるだけでしょ」


 上府さん発見。お屋敷の近くにある酒場で、武藤さん&由井さんと食事(上府さんと武藤さんはアルコールあり)をしていた。カウンター席でもないのに、上府さんを真ん中にして、3人横並びで座っている。


「武藤さんと由井さんが一緒にいるなんて珍しいね」

「パパが、『ご飯に付き合え』ってゆーから、一緒に食べてんの」

「ただ飯とただ酒を頂戴して、お小遣いまでくれるって言うからな。

 そうじゃなきゃ、由井と同席なんてしてねーよ」

「ああ・・・そうなんだ?」


 真田さんが予想した通り、援交中だった。ちなみに、姐御肌で気風の良い武藤さんと、甘え上手な由井さんは、上府さんのお気に入りです。


「オマエ等も飯をおごってほしいのか?」

「ああ・・・いえ、おごってもらいに来たワケじゃなくて・・・」


 おごってほしいけど、真田さんを「エンコ-」で汚したくない。


「なら、何をしに来たんじゃ!?わし等のデートを邪魔するつもりか!?」

「ああ・・・いえ、そうじゃなくて・・・」


 ただ単に、「高校生が知人の大人に食事をおごってもらう」って話で済むのに、「エンコー」やら「デート」などのアダルトな単語のせいで、もの凄く居づらい。


「尊人くんはゴチャゴチャ考えすぎ!

 聞きたいことがあって来ただけなので、おごりとお小遣いは不要です。

 デートの邪魔をする気はないので、知りたいことが聞けたら直ぐ撤収しますね」

「その明確な受け答え、気に入った!真田ちゃんにもお小遣いをやろう!」

「だから、いらねーっての!あたしの話、聞いてましたか?」


 真田さんが向かいの席に腰を降ろしたので、「早く退席したい」と思いつつ隣に座る。


「単刀直入に言いますね。・・・尊人くんが」

「えっ?僕が!?」

「尊人くんの発議なんだから、当然でしょ」

「うん・・・まぁ・・・そだね

 えと・・・僕達が武皇チートを討伐したあと、新政権樹立が円滑に・・・」

「なんじゃ?

 オドリャー、そがいな下らん用件で、わし等のデートを邪魔しに来たのか!?」

「ひぃぃっっ!スミマセン」


 ヤク○は苦手です。上府さんが本物のヤク○なのか、ヤク○に憧れてるオッサンなのかは、よく解らないけど。


「安心しろ。無論、武皇が倒れたあとのこたぁ考えとる」

「え?そうなんですか?」

「ぶち冒険をしとるようだが、まだまだ小僧じゃのぉ。

 よ~く覚えとけ、ミナちゃん。

 大人ってなぁ、感情任せに暴れて終わりじゃない。

 騒動の後処理まで考えてから動くのが大人のやり方。

 オマエ等に呼応して兵を挙げた時点で、ガキ共の尻ぬぐいに算段を付けとる。

 それが大人のおとこってもんだでぇ」


 上府さん、今がエンコのーの真っ最中じゃなければ格好良い・・・てか、僕の呼び方が「ミナちゃん」?なんで、よりによって由井さんの呼び方をマネしてるの?


「武皇を退けたあたぁ、先帝に重祚ちょうそをしてもらう。

 ただし、そりゃああくまでも一時的な処置。

 武皇は民から一定の支持があり、

 且つ、敗れた帝に人心は戻らんじゃろうけぇな」


 前体制に戻して政を安定させつつ、新たなる帝を立て、北都市ノス西都市セイを中心とした新政権に移行する。シリーガルさんとバクニーさんが反乱のシンボルになったことで、ノスとセイは新政権の中枢からは外せない存在になった。そして、過去のノスとセイでは不可能だった協力体制が、今ならば容易に作れる。


「わしゃ、新時代にゃあ都市を囲む城壁は不要じゃ思うとる。

 新政では、軍による内地モンスターの総討伐と、都市の拡大を提案したい。

 目標は、内地からモンスターを排除して、内地全てを安全な地域にすること」


 城壁の内側だけでなく、外側も人が住める場所にする。それが、上府さんが思い描く「新しい政治」の方針。


「内地の総面積に対して、帝都、4都市、4村、4宿場、全てを合わしても、

 民が安全に住める面積は5%に満たん。

 内地全域の都市化など、壮大すぎて、何十年かかるかは解らんがな。

 肥大化した軍事力を武力衝突以外に向け、且つ、内地の総国力を上げられる」


 北都市ノスが押すハメツ主義と、西都市セイが押すゴツゴー主義の中間、これならどちらも納得をして推進しやすいだろう。


「穀倉地帯を広げれば、紙の原料も増えて、大儲けができるってもんよ!」


 内地からモンスターが減って人が住む場所が増え、且つ、秘境者狩りによる軍事増強が止まれば、僕等以降に転移する人達の脱落率は減少する。しかも、自分の利益もシッカリと計画している。



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