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38-1・黒騎士団招集

 異世界あるある作戦から2日が経過した。ブラークさんから「内側に入った令嬢達の安全は確保する」と言われたので信頼して任せたけど、シリーガルさん&バクニーさんと全く連絡が取れないのは不安だ。


「ミコト、ウタ、サリ、付いてこい」


 昼過ぎ、ブラークさんが宿を訪ねてきた。呼び出されるままブラークさんの家まで付いて行く。

 道中で教えてもらったんだけど、バウラー様とロズ様は一昨日の夕食にシリーガルさんとバクニーさんを同席させて以降、夜~昨日一日、寝室に籠もったまま出てこなかったらしい。


「元気に見えましたけど、具合が悪いんですか?」

「お元気すぎるから、出てこなかったのだろうな」

「ん?元気なのに寝てるんですか?」

「ご子息さん達が寝室にいる間、シリーガルさんとバクニーちゃんは?

 もしかして、ずっと行方不明とか?」

「その通りだ」

「えっ?どこかに監禁されてる!?それとも命を・・・」

「まぁ・・・ある意味、好んで監禁されている・・・とも言えなくない・・・な」

「ヤバい!助けなきゃっ!・・・え?『好んで』ですか?」

「尊人くん、純情ぶってる?それともド天然?

 シリーガルさんとバクニーちゃんも元気すぎるってことだよ」


 真田さんに詳しく聞こうとしたら「バカ」と言われ、上杉さんからはドン引きした目で睨まれた。なんで?


北都市ノス西都市セイの吉報になるかもしれぬと言うことだ」

「ちょっと信じらんないけど、尊人くんが発案した異世界あるある作戦が

 想定以上にドハマリしてるみたいだね」

「・・・意味が解んない」


 ブラークさんの家に入れてもらったら、オブシディア騎士の黒い鎧が3組用意してあった。


「強制はせぬが、この鎧を着れば夕方の集会に紛れ込めるぞ」

「集会って?」

「ご子息から騎士団に、直々の招集がかかった。

 このタイミングだ。十中八九、西都市セイの令嬢絡みで間違いないだろうな」


 バウラー様とロズ様が寝室に入る前に、ブラークさんは「同盟」について一定の進言はしてくれた。まぁ、そのあと、2日間も隠りっぱなしになるとは予想していなかったらしいけど。


「鎧を着たくらいで正体を隠せるんですか?

 警備、ザルすぎますよね?」

「『変装する気が無いとしか思えないくらい雑な変装でもバレない』とか、

 『警備はザル』が、こ~ゆ~世界のお約束だから、大丈夫だと思うよ」


 真田さんと上杉さんは、迷うこと無く黒い鎧への装備を完了させてマントを羽織った。黒騎に支給される鎧に“子供用”なんてあるわけが無いよね。上杉さんはともかく、真田さんには大きすぎる。子供がお父さんの鎧を着て“騎士ごっこ”をしている姿を想像してしまった。


「尊人くんはどうすんの?行かないの?」

「もちろん行くよ」


 ホントにこんな雑な変装でバレずに済む?全然納得はできていないんだけど、シリーガルさん&バクニーさんの安否確認はしたいので、僕も黒い鎧に着替える。



 北都市ノスの領主だったゴククア公のお屋敷の庭は、野球場10個分くらいの広さがあり、偉そうな人や黒騎士や一般兵が数え切れないほど集まっていた。


「うわっ!人だらけっ!」

「騎士と兵だけでも総勢で20000人程度はいるからな。

 官僚の数は、俺にも把握できん」

「公職の人が全部集まっているってことですか?」


 チームごとに整列するわけでもないし、こんなに沢山いるなら部外者の僕等が紛れ込んでいてもバレずに済みそう。・・・と思ったら、体格の良い中年騎士3人が真田さんをガン見しながら寄って来た。


「おい、そこのガキみてーな小柄な騎士!所属と名は!?」


 真田さんが小柄で鎧がブカブカすぎるせいで怪しまれた。


「やばっ!バレたかも!尊人くん、どうしよう?」

「え~っと・・・この人は、スンタ・ラーズ。

 先日までは僕と一緒に北東村ペイイスに配属されていましたが、

 今は北都市ノスに戻ってきたばかりで無所属です」


 僕が中年騎士達と真田さんの間に入って、適当に誤魔化す。


「あたしの名前、寸足らず!?それはヒドくね!?ドン・カーンくんっ!」

「鈍感って僕のこと?」


 即座に真田スンタ・ラーズさんから報復される。


「なんだ、貧弱野郎?オマエに用は無ーんだよ」

「おい、スンタラーズ!配属先が決まってないなら、俺達の部隊に呼んでやる!」


 ん?どう見ても「貧弱野郎」扱いをされた僕より真田さんの方が貧弱なのに、先に配属の声が掛かった?


「こんな体格で騎士の職務が務まるのか!?」

「戦以外では役に立ちそうだがな」


 中年騎士達は、厭らしい目付きで真田さんの体をベタベタと触っている。「部外者」とバレたのではなく、美少女だから興味を持たれた?真田さんが困惑している。ぶん殴ってやりたくなってきた。


「すまんな、その者達は、俺の隊への配属が内定している」


 僕が拳を握り締めて掴み掛かろうとしたら、ブラークさんが割って入って牽制してくれた。


「なんだよ?ブラークのところかよ?」

「けっ!いつまでも調子に乗ってんなよ!」

「オマエを特別扱いしたゴヨク・ゴククア様は、もう居ねーんだからな!」


 中年の騎士3人は「如何にも小物」みたいな悪態を付いて去っていった。


「すまん、嫌な思いをさせてしまったな」

「黒騎士団にも嫌な人はいるんですね」

「奴等はダン・シヨク、ボイ・ズラブ、ショウ・タコン。

 決して悪い連中ではないのだがな。

 男色で、美少年を見付けると、必ず声をかけるのだ」

「・・・ん?男色??」


 さっきまで困惑していた真田さんが、去っていく中年騎士達の背中を、殺意に満ちた目で睨み付けている。奴等は、真田さんを美少女認定して声をかけたのではなく、男の子だと思って誘った?

 なるほど、体格的にはまだマシな僕や、見た目的に100%女子の上杉さんがスルーされて、真田さんばかりが絡まれた理由が解った。

 ・・・てか、ブラークさんの今の説明、要らないじゃん。一連で、真田さんに一番「嫌な思い」をさせたのはブラークさんじゃね?


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